役員報酬はどのように決めればよいでしょうか?

利益に対する法人税と所得税とのバランスで決めることになります。

説明

ビジネスで得た利益に対しては税金を納めることになります。個人事業の場合は所得税・地方税となり、法人事業の場合は法人税・地方税を納めます。ここでポイントになりますのが、同じ利益でも個人事業と法人事業で税額は変わってくる、という点になります。具体的には利益が高額になってくると法人税の方が低く税金を抑えることができます。所得税は累進課税で所得に応じて5~45%、法人税は比例税率で中小法人の場合は所得800万円まで一律15%、という点で変わってくることになります。所得税は課税所得195万円までは最低税率が5%で済みますが、課税所得が330万円を超えると税率が20%となりますので、法人税の税率15%を超えることになります。厳密には地方税もかかってくるため、地方税も考慮して比較する必要がありますが、地方税は個人も法人もほぼ一律10%程度になりあまり大きな違いはありませんので、基本的には国税である所得税と法人税を比較して検討します。

個人
POINT1

法人税の税率と所得税の税率の違い 法人として事業を行い、売上1千万、経費400万の場合、利益600万に対して法人税と住民税・事業税がかかります。税率はおよそ25%程度です。
一方で個人として事業を行い、売上1千万、経費400万の場合、利益600万に対して事業所得として所得税と住民税(場合によっては事業税)がかかります。課税所得(税金計算上の利益)が330万を超えると住民税合わせて30%となりますので、法人税より負担が大きくなります。ある程度利益が多額になってくると法人税の税率の方が低いため税負担が低くなる、というの1つ目のポイントとなります。

POINT2

給与所得控除の適用
上記法人の場合で、法人の利益600万と同額600万(毎月50万円)の役員報酬を支給し、法人の利益が0円となった場合、利益はゼロですので法人税は発生しませんが、役員報酬を受け取った役員に対して給与所得として所得税が発生します。個人事業の場合は利益600万をもとに計算された課税所得に対し、事業所得として所得税が課されますが、法人事業の場合は利益600万に対して役員報酬として利益を回収しますので、給与所得として所得税が課されます。ここでポイントになるのが、給与所得の場合は給与所得控除という、いわゆる“みなし経費”を使えるという点になります。みなし経費とは実際に払った経費ではなく、給与収入に応じた概算で計算された経費をもとに税金を計算する制度となります。いわゆるサラリーマンは接待交際費、タクシー代、スーツ代などを払っても経費にならないのはみなし経費(給与所得控除)で経費計算されているため実費経費と二重で経費にできないためとなります。仮に役員報酬600万とした場合は給与所得控除は下記算式により174万円と計算されます。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下
収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下
収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下
収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超
2,200,000円(上限)

(注) 同一年分の給与所得の源泉徴収票が2枚以上ある場合には、それらの支払金額の合計額により上記の表を適用してください。

役員報酬は1年に一度しか変更できないのですか?

はい、基本的には役員報酬の改定は年に1回です。事前に届け出をすることにより臨時的な支給も経費として認められることになります。

役員報酬(毎月同額)又は
事前確定届出給与(事前届出)のみ
経費となります

説明

役員報酬は法人で得た利益を役員が給与として受け取る行為となります。従業員は雇用契約に基づき働いた時間に応じて給与の支給を受けますが、役員は委任契約に基づき経営に関与した責任と結果に応じて報酬を受け取ります。
委任契約は株主総会で1年契約にて締結しますが報酬も事前に確定した金額を契約で締結します。
したがって、事後的に支給した給与は事前に委任契約で確定した給与ではないため事前に確定した委任契約に基づかない役員報酬の支給は経費として認めらなれないということになります。
毎月同額を支給していれば事前に確定した金額を支給していることが客観的に説明できますので支払った役員報酬を経費とすることができます。

役員報酬の改定時期はいつになりますか?

事業年度開始の日から3か月以内の改定のみ認められております。

説明

上記でご説明した通り、役員報酬は株主総会により会社との委任契約に基づき支給されます。委任契約は通常は1年間となりますので、役員報酬は株主総会から次の株主総会までは同額で支給し、次の改定は次の株主総会の開催時という考え方となります。株主総会は通常は定款で翌期首から3か月以内に開催されると規定されておりますので、税務上も基本的にこの考え方を踏襲して翌期首から3か月以内の改定が認められているかたちとなります。

役員報酬を毎月同額支払わなかった場合はどうなりますか?

支払った法人側で経費として扱われなくなります。

説明

役員報酬を毎月同額支払った場合でも毎月同額支払わなかった場合でも、受け取った役員は会社が行う年末調整という手続きを経て給与所得として所得税を支払うことになります。
一方で役員報酬を支払う法人は、毎月同額の役員報酬を支払った場合は法人側で経費とすることができます。法人側で経費とできるということは法人側の利益を減らすことができますので、法人税の負担を減らすことができます。しかし、法人が役員に払う役員報酬につき毎月同額で支給しなかった場合、その同額でないとされた部分については経費として認められず、法人税の負担を減らすことができない、ということになります。

なお、毎月同額でない部分とは、一番低く支払った月の役員報酬の金額以上の金額部分となります。たとえば役員報酬を毎月30万円以上支払っていた場合で、ある月に50万円上乗せして80万円払った場合、この上乗せした50万円が法人の経費として認められない、ということになります。

臨時的に支払う役員報酬でも法人の軽費とする方法はありますか?

事前に届け出を行った場合は、臨時的に支払う役員報酬でも法人側で経費とすることができます。

説明

上記でご説明した通り、役員報酬は株主総会により会社との委任契約に基づき支給されますので、事前に確定した金額がどうか、というのが大事になります。毎月同額の役員報酬を支給していた場合、届け出を提出していない場合でも客観的に役員報酬が事前に確定していたことが説明できますので、「定期同額給与」として、法人の軽費として扱うことができます。ここでポイントになりますので、役員報酬が法人の軽費となるかどうか大事なのは、毎月同額か臨時的かどうかではなく、事前に確定していたか、確定していなかったかどうか、となります。したたがって、従業員への夏の賞与・冬の賞与といったように、臨時的な役員報酬の支払いでも事前に届出書を提出すれば「事前確定届出給与」として法人の軽費とすることができます。
ここでいう事前とは、原則的には株主総会から1か月以内ということになります。

コンフェレンスルーム

役員報酬はいくらに設定するのがよいでしょうか?

利益に対する所得税と法人税とのバランスで決めることになります。

POINT1

給与所得控除とは[平成29年4月1日現在法令等]
給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出しますが、この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて、次のようになります。
ただし、給与等の収入金額が660万円未満の場合には、次の表にかからず、 所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)により給与所得の金額を求めます。

給与等の収入が増加すると
所得控除金額は少なくなります

平成29年分

POINT2

[平成29年4月1日現在法令等]
所得税の税率は、分離課税に対するものなどを除くと、5%から45%の7段階(平成19年分から平成26年分までは5%から40%の6段階)に区分されています。
課税される所得金額(千円未満の端数金額を切り捨てた後の金額です。)に対する所得税の金額は、次の速算表を使用すると簡単に求められます。

(平成27年分以降)

課税される所得金額が増加すると税率が上ります住民税は一律10%です
課税所得330万を超えると所得税率20%(住民税を合わせると 30 %)となり、
法人税率を超えてくる可能性があります。

所得税の速算表

説明

所得税の税率が5~45%(利益330万までは10%で理系330万を超えると20%)、法人税が15%(中小法人で利益が800万まで)となります。
少し強引ですが、利益330万までは所得税が10%以下で法人税15%より有利となりますが、利益330万円を超えると所得税は20%となりますが、法人税は15%で済みますので法人税を納めた方が有利となります。
また、利益が330万を超えても法人の場合は役員報酬として支払うことにより、法人税を下げて所得税を支払うことができます。
例えばですが、役員報酬30万で年間360万の給与を支給したとした場合、給与所得控除は126万となり。給与360万から給与所得控除126万を差し引いた利益は234万となります。税金計算上は基礎控除48万などがありますので、この控除だけを差し引いただけでも課税所得186万となり、一番税率の低い5%が適用される195万円以下の課税所得となりますので、利益360万円までは給与360万円を支給した方が税金的には税負担は低く抑えることができるということになります。
もっというとは基礎控除48万円と最低給与所得控除65万の合計で年間113万までは所得税は発生しないため、利益113万(月9.4万)について役員報酬113万(月9.4万)を支給すれば所得税も法人税も発生しない、ということになります。
ただし、役員報酬に対しては社会保険(保険と年金)がかかってきます。40歳前後などで社会保険の金額は変わってきますが、負担額は法人負担と個人負担で合計30%程度となります。

計算機