クリニック経営されている事業者様へ
医療法人の設立
医療法人設立の税金面、金融面についてお伝えします。
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医療法人の趣旨
あらゆる点で優遇されています。
医療法人は、国も推進している制度でありその趣旨は地域医療の継続となっています。
個人クリニックよりも医療法人の方が税制、保証、事業承継等あらゆる観点から優遇されており、ここではその優遇措置の一例を掲載させていただきます。
メリットばかりでなく医療法人のデメリットについても触れておりますのでぜひご覧ください。
医療法人制度の趣旨 (昭和25年8月2日厚生省発第98号厚生事務次官通知より)
医療事業の経営主体が医業の非営利性を損なうことなく法人格を取得する途を開くことにより資金の集積を容易にするとともに医療機関の経営に永続性を付与し、もって私人による医療機関の経営困難を緩和すること
医療法人の所得税節税
個人事業と医療法人での所得分散による課税額の違い
※法人税とは別に住民税(均等割が)7万円程度かかります。
※税金の他社会保険の影響もありますが、本ページでは税目の違いに着目するため割愛しています。
- クリニックの1年間の利益が3,000万円
- 医療法人の場合は先生に年1,500万円の役員報酬を支給
- 先生個人の所得控除金額150万円
- 法人実効税率は27%、住民税は10%で計算
- 国民健康保険、社会保険料の計算は含まない
個人 所得課税対象金額 | 2,785万円 |
法人 所得課税対象金額 | 0円 |
・所得課税対象金額 | 2,785万円 |
3,000万円-65万円(青色申告控除) -150万円(所得控除)=2,785万円 |
|
・所得税 | 834.4万円 |
2,785万円×40%-279.6万円=834.4万円 | |
・住民税 | 278.5万円 |
2,785万円×10%=278.5万円 | |
所得課税の税金 | 1,112万円 |
個人 所得課税対象金額 | 1,155万円 |
法人 所得課税対象金額 | 1,500万円 |
・法人所得課税対象金額 | 1,500万円 |
3,000万円-1,500万円=1,500万円 | |
・法人課税額 | 405万円 |
1,500万円×27%=405万円 | |
・個人所得課税対象金額 | 1,155万円 |
1,500万-195万(給与所得控除) -150万円 (所得控除)=1,155万円 |
|
・所得税 | 228万円 |
1,155万円×33%-153万円=228万円 | |
・住民税 | 115万円 |
1,155万円×10%=115万円 |
所得課税の税金 | 748万円 |
医療法人成りの消費税免税
消費税の免税期間の活用
課税売上高が1,000万円を超えると2年後の課税期間は消費税課税事業者になります。
ここで医療法人を設立すると設立後に課税売上高が1,000万円を超えるとその2年後の課税期間から消費税課税事業者となり、2年間延長して免税の適用を受けることができます。
- 自由診療報酬が2,200万円(税込)
- 簡易課税制度を適用
- 医療法人設立後に2年間免税
消費税の課税対象金額 | 2,000万円 |
・消費税の課税対象金額 | 200万円 |
2,200万円×10/110=200万円 | |
・消費税額 | 100万円 |
200万円×50%(100%-みなし仕入れ率)=100万円 | |
・消費税額(2年間) | 200万円 |
100万円×2年間=200万 |
消費税の税金 | 200万円 |
消費税の課税対象金額 | 0万円 |
・法人所得課税対象金額 | 0万円 |
免税事業者のためなし | |
消費税の税金 | 0万円 |
医療法人の相続税の節税
クリニック運営では設備投資などで多額の資金が必要になるケースがあります。しかし日本の法律ではその財産について相続税を課税されてしまいます。
また個人クリニックを事業承継することにより、後継者へ譲渡・贈与すると多額の税金が発生することになります。
平成19年4月1日に改正医療法に伴い、現在は持ち分なしの医療法人しか設立できなくなりました。 これは持ち分ありの医療法人にはその出資持ち分に対して相続税が課税されるのに対して、持ち分なしの医療法人には相続税が課されないため、病院の安定経営につなげることを目的としています。 医療法人の趣旨に沿った改正となりました。
- 30年前院長先生が1,000万円を元手にクリニックを開業
- 経営順調で毎年税引後利益が1,500万円出ている
-
先生のクリニック運営以外の個人財産は預金2,800万円
不動産2,000万円(相続税評価後) - 先生の法定相続人は奥様とご子息が2名
- 法定相続分で遺産を分ける
相続税課税財産の金額 | 5億800万円 |
・預金 | 2,800万円 |
・不動産 | 2,000万円 |
(相続税評価後) | |
・クリニックの純資産額 | 4億6,000万円 |
(当初出資額1,000万円+増加純資産1,500万円×30年) |
相続税(配偶者控除適用後) | 7,785万円 |
相続税課税財産の金額 | 4,800万円 |
・預金 | 2,800万円 |
・不動産 | 2,000万円 |
(相続税評価後) | |
相続税(配偶者控除適用後) | 0万円 |
医療法人の個人保証のメリット
先生の個人財産を保護
銀行から融資を受けている状態でクリニックの運営がうまくいかなくなった場合は先生個人の財産から銀行に返済をしなければなりません。一方医療法人においては経営者保証を外していれば、先生個人の財産から返済をする必要はございません。経営者保証については現在外すように国の方針があり、医療法人の場合は比較的容易に外すことができます。
医療法人設立のデメリットと対策
医療法人解散時の財産
このことにより医療法人成りをためらわれる先生方が多いのは事実です。
対策としては、解散時に先生に退職金という形で医療法人の財産を吸い上げることが可能です。
また、退職金については課税される所得金額が1/2になるので、課税される税金も低くなります。
交際費課税
個人事業には、交際接待費については限度額の規定はなく、事業必要経費であれば費用にできます。
・医療法人(持ち分なし)
持ち分なしの医療法人の場合は、下記により交際費の枠が変わります
<交際費の損金不算入額>
(1)医療法人の純資産▲当期利益×60%をした金額が1億円以下である等の法人の損金不算入額は、次のいずれかの金額となります。
1.飲食に要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額
2.800万円(事業年度が12ヶ月の場合)を超える部分の金額
(2)医療法人の純資産▲当期利益×60%をした金額が1億円超である等の法人
1.飲食に要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額
個人事業には、交際接待費については限度額の規定はなく、事業必要経費であれば費用にできます。
・医療法人(持ち分なし)
持ち分なしの医療法人の場合は、
下記により交際費の枠が変わります
<交際費の損金不算入額>
(1)医療法人の純資産▲当期利益×60%を
した金額が1億円以下である等の法人
の損金不算入額は、次のいずれかの
金額となります。
1.飲食に要する費用の50%に相当
する金額を超える部分の金額
2.800万円(事業年度が12ヶ月の
場合)を超える部分の金額
(2)医療法人の純資産▲当期利益×60%を
した金額が1億円超である等の法人
1.飲食に要する費用の50%に相当
する金額を超える部分の金額
医療法人の運営
医療法人社団には、構成員である社員のほか、 医療法の定めにより、 社員総会、 理事・監事、 理事長などが置かれることになっています。 社員総会は最高意思決定機関であり、 理事・監事 を選任・解任する権限を持っています。
社員総会
- 医療法人の社員は、最高意思決定者であり重要議案を決議する。株式会社でいうところの株主。
- 社員総会の選任により社員に選出されるが、基金拠出などの金銭要件はない。
- 社員総会は社員が3名以上は必要とされ、3名を下回ると行政指導の対象となります。
- 社員は自然人に限定。株式会社や他の医療法人などの法人は社員になれない。
- 年齢に関する法律上の制限はありません。未成年であっても、自分の意思で議決権を行使できる分別能力がある義務教育を修了程度の者であれば社員になることができる。
- 社員は役員とは別の存在であり、社員は必ずしも役員になる必要はありません。
理事会
- 医療法人は理事3名以上(うち1名を理事長とする)、監事1名以上を置かなければなりません。
- 医療法第46条の2第2項の役員欠格事由に該当すると、理事監事になることができない。
- 社員と役員の兼任可能。また、役員を社員の内からのみ選任する旨の定款の規定も有効。
- 他の医療法人の役員を兼任することに規制はない。ただし、理事長が他の医療法人の理事長を兼任することは行政指導の対象。
- 医療法人の役員が取引関係のある営利企業の役員(場合によっては職員も)となることは非営利性の観点から行政指導の対象。
- 役員の任期は2年を超えることができない。(ただし再任は可能)
理事長
- 医療法人では理事長は1名しか選ぶことができない。
- 理事長は医師または歯科医師である理事のうちから選任。
-
ただし都道府県知事の認可を受けて医師・歯科医師でない者が理事長となることも可能。
長期間法人に常勤している理事などは、一定の条件を満たせば比較的容易に受けれる。
しかし、医療法人設立については理事長は原則医師・歯科医師以外は認められない。 - 複数の医療法人の理事長を兼務可能。しかし行政指導が行われる可能性がある。
理事・監事
- 理事監事は医師・歯科医師の資格は不要。
-
次の者は適正に医療法人の監査を行うには不適格とされ、行政指導を受けることがある。
- 医療法人の理事(理事長を含む)の配偶者、6親等以内の血族、3親等以内の姻族
- 医療法人に出資(拠出)している者
- 医療法人の取引先企業の代表取締役などの役員や職員
- 医療法人の顧問している公認会計士・税理士あるいはその従業員
- 未成年が理事に就任することは可能。ただし行政指導を受ける可能性がある。
- 診療所や介護保険老人施設などの管理者は、理事にしなければならない。
- 監事は、理事や従業員を兼ねることができない。
医療法人設立の流れ
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サン共同税理士法人
医療経営コンサル部事業責任者
袖野 弘毅
- 2012年より税理士法人袖野会計に勤務。主に地元中堅企業・上場子会社などを担当し税務経験を積む。
- 2016年よりアーク監査法人の系列であるアーク税理士法人に勤務。主に上場企業を担当しつつ、不動産SPC・連結納税・事業承継・組織再編などに従事する。
- 2017年よりTOMAコンサルタンツグループ㈱に勤務。チーフコンサルタントとして日本全国の事業承継・組織再編コンサルを行う。
- 2020年より沖縄に移住しレスター税理士法人にマネージャーとして勤務。沖縄の中堅中小企業の事業承継・組織再編コンサルを行う。
- 2021年サン共同税理士法人のパートナー、沖縄オフィス所長に就任。