担当者がチェックする重要ポイントは“創業動機”だった?!~公庫で「融資が獲得」できる創業動機の書き方~
最終更新日:2022/10/21
ラーメン屋を開業するということは店舗の家賃や初期費用に加え、内装費、厨房設備費など非常に多くの開業資金が必要になります。開業後軌道に乗るまでの間の運転資金を含めると、開店資金として用意しておくべき金額は数百万~1000万程と言われており、資金調達に苦戦している人も多いことでしょう。
そんな中、開業する際資金調達の方法として「日本政策金融公庫」の「創業支援融資」が良いとされております。金融機関よりも金利が低く借りれる事や、実績のない創業時から融資が可能と言うことで、資金調達方法として検討している方も多いのではないでしょうか。
本日はそんなラーメン屋開業の資金調達「日本政策金融公庫」で融資を受ける為の近道、特に審査に重要となる「創業の動機」の考え方についてお話したいと思います。
https://tax-startup.jp/restaurant/food/%e3%83%a9%e3%83%bc%e3%83%a1%e3%83%b3%e5%b1%8b%e9%96%8b%e6%a5%ad/5187/
こちらではあなたが「日本政策金融公庫」の融資を受けることができるかの最低条件を説明していますので、先にご覧ください☆
Contents
QUESTION1.「創業動機」とは?
あなたは、ラーメン屋を開業しようと思った動機を、しっかり述べることが出来るでしょうか?意外と簡単なようで難しい「創業の動機」。長い時間計画を練って決意をした、その並々ならぬ覚悟と言うものは、事前にしっかり自分の言葉でまとめておかなければ伝えきれないものです。
こちらは日本政策金融公庫が公表している創業計画書の記入例です。
参照元:https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html
この創業計画書の1が今回お話する「創業の動機」の記載事項となっています。
創業計画書を見てみると、取引先関連情報や資金調達の方法、事業の見通し等あなたの会社の「数字」部分についての記載事項が多いことがわかりますね。よって、あなたの「人間性」を判断する材料、情熱や覚悟を担当者に伝えるのはここの「1.創業動機」のみになるのです。
この記入例では創業の動機が4行の枠の中に収まっていますね。見やすく要点を押さえられているとは言えども、この創業動機を見て熱意が伝わる人は誰もいないでしょう。
創業動機へ記載する内容=「開業への情熱」です。
通常だと、あなたが開業したいと思うその熱意はほんの4行に収まるはずはありません。むしろたった4行にまとめられる気持ちであれば開業後の成功は難しいでしょう。
この場合はマニュアルどうりでなくても構いません。長くて良いので(むしろ歓迎されます)しっかりと考え記載しましょう。(※「別紙参照」として追加で添付するのが良いとされています。)
公庫もお仕事ですので、「数字」に関しては非常にシビアになって判断していくもの。とはいえ、担当者もひとりの人間です。あなたができる精一杯の情熱や熱意、そして覚悟を伝えることが出来れば、きっと協力したいと思う気持ちが芽生えるはずです。
このことからも、創業計画書の「1.創業の動機」は公庫担当者がチェックする際の「最も重要なポイント」と言えるでしょう。
※今回の「創業動機」以外にも下記コラムで「セールスポイント」や「⑷取引先」「⑸従業員」「⑹お借入れの状況の書き方」の説明をしています。合わせてごらんください。
https://tax-startup.jp/restaurant/food/%e3%83%a9%e3%83%bc%e3%83%a1%e3%83%b3%e5%b1%8b%e9%96%8b%e6%a5%ad/5463/
https://tax-startup.jp/restaurant/food/6120/
QUESTION2.「創業の動機」書き方は?
では具体的に、あなたの熱意が担当者に伝わるお手伝いができるよう創業動機を書く際のポイント4つの要素に分けてお伝えしていきたいと思います。
■なぜ「今」なのか?開業しようと思ったきっかけは・・・
ある日思い立って「ラーメン屋をやりたい!」と思った、とか、未経験だけど楽しそうで開業することを決めた、友達にすすめられた…なんて言う経営者はほぼいないと思います。
開業を志し、何年もラーメン屋で修業を積んでやっとの思いで開業を決意した方や、計画的に貯金を続け将来の開業へ向け準備をしてきた方など、並々ならぬ思いで開業を目指し、融資をお願いする経営者がほとんどでしょう。そこで重要なのが
「なぜ今なのか」と言う事です。
あなたが「今開業すべきだ」と思う理由をしっかり担当者に伝えなければなりません。近年業界の需要が高まってきて・・・とか、世の中景気回復してきて・・・などの社会情勢はラーメン屋開業にはあまり関係がありません。
・絶対にやりたい土地・物件に空きが出て争奪戦になりそうだ
・修行を終え、自分の後釜を育てきり、勤めていた飲食店を退社できるタイミングとなった
・目標にしていた自己資金を達成した
などあなたの決意の中に様々な要素が組み合わさり、開業を決意したことと思います。その理由をしっかり考え文章にしていくことは非常に大切なポイントとなると言えるでしょう。
公庫の担当者側は、あなたのような経営者・開業を試みる人と面接を繰り返しています。その長年の経験や過去のデータから、あなたの「タイミング」は、店が成功するシナリオにしっかりなっているか、と言う根拠がある程度わかるものなのです。
■ラーメン屋での下積み時代をしっかり活かせるか?
今まであなたがラーメン屋での勤務経験があるかという点は非常に重要になります。
当然のことですが、経験がある事業である方が、経験のない状態からのスタートよりもよっぽど成功の可能性があるからです。「やる気」「情熱」を伝えたところで、その経験や根拠となる自身がない限り、担当者への説得力もないと言えます。
ラーメン屋に限らず、どんな業種でも、その業界での経験者や、業界経験者に匹敵する知識がある人の方が、未経験者と比べ融資審査ポイントが高くなるのです。
特にラーメン屋と言うものは奥が深く、専門的な知識は最低限持ち合わせる必要がありますので、開業しようとするほとんどの人は修行経験が豊富であると思います。
その中でも担当者の目に留まるような経歴が記載できると良いですね。
ラーメン屋での下積み時代での
・どこで何年間勤務していたか
・その店ではどの役職についていたか(どのポジションを任されていたか)
・その店にどんな影響を与えることが出来たか
は非常に大切なポイントとなりますのでしっかり押さえましょう。
まだ修行中の身で、今後開業しようと考えている人も、自分はどんな部分が誇れるか、周囲からの信頼や教育できる力などを意識して働くと、開業した際もスムーズに事業を進行していけるでしょう。
■あなたのラーメン屋は社会にどんな影響を与えられるのか
自分が開始する事業(今回のケースはラーメン店)は、社会にどんなポジティブな影響をもたらすか、また自分が開業するラーメン店では、どんな「商品」や「サービス」を提供して、社会に貢献していきたいと考えるか・・・などの社会への“想い”を伝える事が非常に大切です。
余談ですが、新宿のある飲食店では、再チャレンジ支援機構に賛同していることから出所者の雇用を積極的に行っている店があります。これは、社会復帰がスムーズにできるよう出所者たちを応援する取り組みですが、これが話題となり店の経営自体も非常に好調のようです
https://www.instagram.com/p/BhRCf6eFoZB/?taken-at=749077153
・自分のラーメンで
・幸せになってくれる人を増やしたい
・地域の活性化の為、商店街を盛り上げたい
など、開業する自分にできる範囲思う範囲のことで良いのです。これを機に「自分が開業するお店は、どんな形で社会性を生み出すことが出来るか」という具体的な取り組み部分をしっかりと決めておくのが良いかもしれないですね。
■周囲の協力や家族からの応援は重要ポイントに!
協力してくれる周囲の存在も、ひとつのアピールポイントとなります。
長年修行をしてきたラーメン店と姉妹店として提携する
〇〇〇株式会社が集客対策を一任して引き受けてくれる
定期的な野外イベントへの出店依頼がある
有名な料理研究家とコラボしてメニュー考案をするので話題性が期待できる
などもあれば記載すると良いでしょう。公庫の担当者は融資が無事返済されるか、この会社は成功する要素があるのかをポイントしとしてチェックしますので、その要素はどんどんアピールしていきましょう。
また、自分で事業を興すということは、これまで安定的に入っていた収入がなくなるという事、それは会社員時代では経験したことのないようなストレスや不安に襲われるはずです。
調子のよいときは潤いのある生活が手に入るでしょう。しかし調子の悪い時は自分だけではなく、一緒に暮らす家族も巻き込むことになるのです。
開業と言うのは自分ひとりの挑戦ではないのだということをしっかり認識しておく必要があるでしょう。日本政策金融公庫では、創業時に大切なのは「家族の理解と協力」と公言しています。
もしもつらい状況になったとしても家族は味方でいてくれるのか、自分が開業直後、一番大変な時期に心の支えになってくれるか家族がいるのかということはアピールポイントのひとつになると言えるでしょう。
今回は創業動機の書き方について、4つのポイントに絞って説明してきました。
また、こちらでは実際日本政策金融公庫の担当者に聞いた「融資がおりる」ための創業計画書の書き方を掲載していますので、ぜひご覧ください。
https://tax-startup.jp/restaurant/food/5129/
大切なのは、自分が書いた「創業の動機」を何度も読み返し肉付けし、しっかり根拠のある文章にしていくことです。融資獲得の際情熱や覚悟が大切なのはもちろん、そこにしっかりとした計画性や根拠をもたなければ審査にもれてしまうでしょう。
「創業の動機」は自分の「ラーメン屋オーナー」としてのエピローグとなります。しっかり時間をかけて、これ以上はないと思える最高傑作を作成してくださいね。
次は 〜公庫で「融資が獲得」できる創業計画書書き方講座②〜経営者略歴編を公開いたします!
創業動機に関するよくある質問
創業動機の書き方を教えてください。
創業動機を書く際に重要になるのが、なぜ今なのか。です。今、開業すべき理由を担当者に伝わるようにしましょう。
下積み時代の経験は活かせますか?
はい、活かせます。どんな業種でも、その業界での経験者や、業界経験者に匹敵する知識がある人の方が、未経験者と比べ融資審査ポイントが高くなります。
家族の協力も重要になります
日本政策金融公庫では、創業時に大切なのは「家族の理解と協力」と公言しています。
もしもつらい状況になったとしても家族は味方でいてくれるのか、自分が開業直後、一番大変な時期に心の支えになってくれるか家族がいるのかということはアピールポイントのひとつになると言えるでしょう。