個人事業主必見!所得税や青色申告のしくみl飲食店開業支援専門家が徹底解説
最終更新日:2022/10/21
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前回の記事では、飲食店を開業した個人事業主が、今後支払っていかなくてはならない税金は、4つに分類されることなどについてお話してきました。
- 所得税・・・飲食店での売上金額にかかる税金
- 事業税・・・課税所得290万円以上の事業主が支払う税金
- 住民税・・・都道府県民税+市区町村民税の税金
- 消費税・・・2年前の売上が1000万円を超える事業主が支払う税金
今回は、上記の税金の中から所得税のしくみや計算方法について、初心者にもわかりやすく説明していきたいと思います。
本記事を読んでいただくと、所得税の基本的な知識をしっかりマスターしていただけるでしょう。
所得税とは?
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所得税とは、飲食店を開店させてから1年間に得た収益(所得)にかかる税金のことを指します。
所得というのはわかりやすく言うと儲けのことです。売上から仕入れや備品、人件費などの経費を引いた「事業所得」のことを言います。
所得税は
1/1から12/31までの1年間で得た所得(利益)に対して支払わなければならない税金であり、
飲食店経営者は翌年の2/16から3/15の間に所得税の確定申告を行い、3/15までに納税することが義務となっています。
所得税計算の方法
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では、具体的な所得税の計算方法について説明していきましょう。
①所得の計算方法
始めに「所得」を計算していきましょう。飲食店の売上から、かかった経費を引きます。残った金額が「事業所得」となります。
事業所得 = 売上 – 経費
上記の事業所得にその他の所得を加えたものが所得になります。
所得 = 事業所得 + その他の所得
その他所得は・・・
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 譲渡所得
- 山林所得
- 一時所得
- 雑所得 等
②課税所得の計算方法
「課税所得」は、先ほど計算した所得から所得控除をひいた金額となります。
課税所得 = 所得 – 所得控除
所得控除は・・・
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 勤労学生控除
- 寡婦控除
- 寡夫控除
- 障害者控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険控除
- 地震保険控除
- 雑損控除
- 寄付金控除
- 青色申告特別控除 等
青色申告特別控除については、後ほど詳しく解説していきたいと思います。
③算出税額の計算方法
算出税額はこちらの計算式になります。
算出税額 = ( 課税所得 × 税率 ) – 控除額
難しい計算式のように感じますが、②で計算した課税所得と下記表の「税率」と「控除額」を参考にすると簡単に計算をすることが出来ますね。
所得税の税率
課税される所得金額(円) | 税率 | 控除額(円) |
195万以下 | 5% | ¥0 |
195万超330万以下 | 10% | ¥97,500 |
330万超695万以下 | 20% | ¥427,500 |
695万超900万以下 | 23% | ¥636,000 |
900万超1800万以下 | 33% | ¥1,536,000 |
1800万超4000万以下 | 40% | ¥2,796,000 |
4000万超 | 45% | ¥4,796,000 |
④税額控除後税額の計算方法
税額控除があれば、③で計算した算出税額から税額控除の金額を引きましょう。該当しなければ⑤に進みます。
税額控除後税額 = 算出税額 – 税額控除
税額控除とは・・・
- 配当控除
- 外国税額控除
- 住宅借入金等特別控除
- 政党等寄附金特別控除 等
⑤納付税額の計算方法
源泉徴収を引くと、所得税の計算は終わりです。最後に出た金額が、所得税納付金額となります。
納付税額 = 税額控除後税額 – 源泉徴収税額
※源泉徴収=給与・報酬・利子・配当・使用料等の支払者が、それらを支払う際に所得税等の税金を差し引いて、それを国等に納付する制度である。 源泉徴収された税金は源泉徴収税という。
参照元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B3%89%E5%BE%B4%E5%8F%8E
つまり給与や報酬で、あらかじめ徴収している税金のことですね!
青色申告とは?
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ここからは、2-2で登場した「青色申告」について解説していきたいと思います。
青色申告対象者は?
青色申告できる人は、下記の2つが当てはまる人となります。
- 不動産所得、事業所得、山林所得がある
- 納税地の所轄税務署長の承認を受けた
青色申告の流れは?
青色申告をするためには、
- 管轄の税務署に青色申告承認申請書を提出
- 青色申告の申請が承認
が必要となります。
青色申告時には「青色申告承認申請書」や「確定申告書B」などの書類を管轄の税務署へ提出することになっています。
「税務署の窓口に持っていく」「郵送する」「e-Taxでの提出」などの方法で提出が可能ですが、おすすめなのは信頼できる税理士に依頼することでしょう。
また、青色申告には提出の期間が定められていて
- 事業を行っている人・・・承認を受ける年の3/15まで
- 1/16以降に新規事業を行う人・・・事業開始から2カ月以内
上記のうちに管轄税務署へ書類を提出する必要があります。
青色申告をしたらどんな特典があるの?
青色申告をしたら様々な特典を受けることが出来るので、飲食店を本格的に開業する際は是非青色申告をしてください。2-2で紹介した青色申告特別控除も特典のひとつとなっています。
青色申告特別控除
<対象者>
1. 不動産所得or事業所得のある事業を経営する青色申告者
2. 複式簿記に則って記帳、貸借対照表と損益計算書の2つを期限内に提出した者
上記の条件をクリアしていると
最高65万円を総所得金額より控除できます。
青色事業専従者給与
<対象者>
1. 青色申告者と同一生計
2. 業務に従事している15歳以上の家族
こちらの条件を満たしている人、つまりあなたの奥さんや旦那さん、お子さんが従業員として働く場合、一定の範囲内を経費に入れることが可能です。
その代わり上記を適応させた場合、
控除対象配偶者
扶養親族
に入れることはできない点に注意しましょう。
また、従業員に「家族を入れる」場合や青色事業専従者の届け出について、下記の記事で、あなたの奥様を自分の飲食店で働かせない方が良いケースについて書いてあります。合わせてご覧ください!
https://tax-startup.jp/restaurant/food/%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3%E5%B1%8B%E9%96%8B%E6%A5%AD/6355/
貸倒引当金
貸倒引当金=売掛金や貸付金の回収が難しくなった際、損失するであろう見込み金額を計上、当期損失として計上すること
その際の「売掛金」「貸付金」の合計金額の5.5%以下までを経費にすることができます。
純損失の繰越しと繰戻し
事業所得で赤字となった場合、最長3年間にわたって所得から控除することができます。
事業がうまくいかなかったときの救済措置としてとても助かりますね。
まとめ
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以上、本記事では所得税についてお話してきました。
所得税計算や青色申告については、難しい内容になるので苦戦することもあるでしょう。
分からない部分やアドバイス、今回紹介した用語や説明が難しかった場合は、是非弊社にご相談ください。個人事業主の税金についてや確定申告、融資の相談まであなたの飲食店経営をしっかりサポート致します!
所得税や青色申告に関するよくある質問
青色申告の対象者はどのような人ですか?
青色申告の対象者は、不動産所得、事業所得、山林所得がある人です。
青色申告をするにはどうしたら良いですか?
まずは、事前に申請書を届け出る必要があります。申請後も複式簿記による帳簿付けや決算書類の提出が必要になります。
個人事業主の所得税はいつまでに支払う必要がありますか?
所得税の納税を行うための期限は、基本的に確定申告を行う場合と同様に3月15日までとなります。