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よくある質問

借入金額はどのくらい借入れた方がよいのか?

公開日:2022/05/17
最終更新日:2022/05/17


「借入は悪だ!」 この固定概念を振り払っていかないと、経営上本当に怖い事が起きる可能性があります!

「借金をして飲食店開業なんてよくない!!」
(「借入=悪」という固定概念を持っているケース)
「○○○万円以上の借り入れはしない!!」
(借入金額のアッパーを勝手に決めているケース)

私の所にいらっしゃる飲食店開業予定の方から上記のように言われることがあります‼

そこで、
「何故、借金はよくないのですか?」
「何故、借金の上限額を決められているのですか?」
とお聞きすると。。。。。。

(※読者の皆様も なんで借金はよくない又は何故借金の額はいくらまでと思ってしまうのですか? と言う事について自分なりの理由を考えてみて下さい!!)

1.借入額が大きいと返済できないよ…
2.返済できなくなったらどうなっちゃうの?
3.事業計画書の数字及び親族からストップによって上限を決めた。
4.スモールビジネスで始めるから
5.なんとなく……

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上記の様な回答が大半でした。

これらの意見は、借入に対する間違った認識から出ている可能性が高いと思います。
「借金」と言うと高利貸し等の消費者金融のイメージが強いのではないでしょうか?
そういう意味で、借金=悪みたいな印象が根強いのかなと思います。

本来、借入金とは、「利益の前倒し行為」を言います‼
「利益を前倒す?」とは。。。。
わかりずらいので例を上げて説明します。

(例)
自己の資金400万円で飲食店開業を考えたとします。
事業計画書を作成してみたら総投資額が1200万円であることが判明しました。
800万円の資金不足です。
そうなると
①800万円貯めてから出直すか
②800万円借入をして現時点で開業するか
と言う選択に迫られます。

①800万円貯めてからと言う選択の場合・・・
別の飲食店に勤務しながら給与20万のうち月々6万円貯金しても10年以上かかる計算になります。(結婚、出産、介護等の事象が起きたら出費が大きいためもっと時間がかかるかも知れませんね…)
月々6万円貯金となると生活も切り詰めないといけないのでかなりストレスもたまります。

10年後、①と②の違いは。。。。

飲食店を現時点で開業し、月々50万円の収入が入ったとすると、
①を選択した場合・・・・給与20万円×12ヶ月×10年=2400万円
②を選択した場合・・・・収入50万円×12ヶ月×10年=6000万円

①と②では、年間で360万円、10年で3600万円も収入に差が出てくるのです。
借入の800万円の返済を考慮しても、これだけの金額の差があれば、自分の生活レベルが大きく変わります。
結婚していれは奥様、子供の生き方まで変わってくると言うことになります!

人生と言う大きい枠で考えた時、最も大きいダメージは、「機会損失(逸失利益)」だと私は思います‼
機会損失を回避するために飲食店を開業して、将来得られるであろう利益の一部を先に投資に消費していくと言う意味で「利益の前倒し」と言う表現を使用しました。

30代~40代は、一番お金がかかる時期です。飲食店開業を先送りにしていると、この期間に稼げない構図になってしまいます。
希望の不動産物件だって今後みつかるとは限りません。
(もちろん後でもっとよい不動産物件も見つかるケースもあると思いますが・・・)
極端な話かもしれませんが、10年後に交通事故等で死亡することもあるかもしれません。 死んでしまったら、飲食店開業と言う大きい夢を叶えられないのです・・・

若いうちに飲食店を開業した経営者の多くが口を揃えて言うのは、
「○○歳になったら開業しようというように時期を決めず、飲食店を開業しようと思った時にまず動いてみよう!経営している内になんとかなる!!」
ということです。

借入をして飲食店を開業した場合、当然ながら利益の一部を借入金の返済に充てる事になります。
その借入金の返済について、返済原資が正確にわかっていない方が多いため解説します。

1.売上から売上原価(仕入ではなく売上に対応する原価)引いて売上総利益を出す。
2.この売上総利益から人件費や家賃、広告費等の固定費を差し引いて営業利益を出す。
3.営業利益から営業外費用である支払利息、営業外収益である受取利息を加減算して経常利益を出し、特別な損益を加減算して当期純利益を出す。
(これは損益計算書で計算できます。)
4.当期純利益(確定申告書で言えば青色申告特別控除前所得)+減価償却費(内装等は一括で経費に落とすことができないため税法に定める耐用年数で現金支出が伴わない費用となる)-税金-生活費を計算する

上記が借入金の返済原資となります(今回は個人前提にお話しします。)
これが事業用借入金の性質なのです。

決して「借入=悪」ではなさそうだなと気づいていただけましたでしょうか。
むしろ機会損失を防いでくれる素晴らしい武器なのです!

そこで、何故借金は良くないか?なぜ借金の上限を決めているのか?という質問の回答への私の見解をお話します

1.借入額が大きいと返済できないよ…

大概の方が勘違いしているのは、借入金の返済を借入額全体でを見てしまうことです。
利益の前倒しで書いた通り、利益の一部を消費するための借入なのです。
つまり全額を消費するために借入したわけではないのです。
基本的には運転資金の何カ月分かは事業が成功していれば費消される事はないのです。
※もちろん全額消費されるリスクはありますが。
借入が転資金に充てられるのは、目標利益に達しなかったときであり、速く軌道に乗れば運転資金融資部分は使わないまま寝かすことになります。
借入金は原則的には使わないお金であり、使わないお金を借りるのが理想です。
「使わないお金なら利息がかさむから借りる必要がないではないか」。
このような考えはやめた方がよいと思います。
利息=保険料と考えれば凄く安い保険料です。
「使わないお金でが配なら、土に埋めて寝かしといてください」
冗談でご相談者によくお話します。
常に目標利益に到達しているならば、借入金の返済は利益からではなく寝かしているお金から返済していると言う事になるのです。
本来の借入金は、目標利益に到達しない場合のリスクヘッジと言う位置づけなのです。

飲食店開業予定者の方によく言うのが、
「万が一手元にお金が余裕がなくなった場合どうしますか?」
その時に借入をすればよいと思うかもしれないが、金融機関はそう簡単にはお金を貸してくれないです!
金融機関は「晴れの日(好調時)は傘(融資金)を貸してくれて、雨の日(不調時)は傘(融資金)を貸してくれない」とよく言われます。
そのため、私は、「雨の日に備えて晴れの日に傘を借りておきましょう」とお話します。
余裕がなくなった時に、一般の金融機関から借り入れができないと言う事は、自己破産するか、もしくは一般の金融機関以外、つまり高利の消費者金融でお金を調達するしかないということです。
日本政策金融公庫の低利の借入利息をケチって運転資金の借入額を少なめに借入した結果、目標利益に到達せずに高利の所でお金を調達する事態に陥ってしまったり、銀行の残高が少なくなったために落ち着いて経営や冷静な投資ができなくなったりする可能性もあります。
このような不安定な事態を回避すると言う意味でもしっかりした運転資金の調達が必要なのです!
男性の場合、彼女の誕生日プレゼントを選ぶ事態を想像してみてください‼
ボーナス後や給料日後のお金に余裕がある時は、彼女が純粋に喜ぶものを買おうと思えるかもしれませんが、給料日前で貯金がない状態では同じように思えるでしょうか?
それと同様に、飲食店経営でお金がない状態になったらどうなるでしょうか?
頭の中が「お金、お金、お金」で埋め尽くされ、お客様やスタッフの事を考える余裕がなくなります。
飲食店経営はお金がある限り継続できますので、飲食店開業時にしっかりした事業計画を立てましょう!

2.返済できなくなったらどうなっちゃうの?

開業するからには、飲食店経営をを絶対に成功させる覚悟が必要です‼
ですが、万が一返済できない状況に陥った場合には、

追加の融資を金融機関に打診してみる‼

それでダメならリスケといって借入返済を一時的にストップ又は減額する打診をしてみる!

それでもダメなら個人なら基本は自己破産又はサラリーマンに戻り返済する。

但し、法人で日本政策金融公庫から創業融資をお借入をしている場合には、会社の自己破産となります。
つまり最大リスクが会社の自己破産であり、個人の生活は守られるのです。
これはリスクがゼロに等しいですね!!
飲食店を開業する方には絶好の時代だと個人的に感じます!!

3.事業計画書の数字及び親族からストップによって上限を決めた

まず、自分が作成した事業計画書が本当に確実性が高いかを疑って下さい!!

・軌道に乗るまでの期間、統計に基づいた安全圏内の運転資金の確保ができているか?
・運転資金には、正確な費用が組み込まれているのか?
・売上の予測の根拠は?
・税金支払いも考慮して目標利益を算定しているのか?
・社会保険料は考慮しているのか?
・減価償却費は?等

そもそも、正確な論理に基づいて事業計画書が作成されていなければ、投資計画もお門違いなものが完成します!
本当に自分が作成した飲食店の事業計画が正確なのか?を疑いましょう!

また、親族の方(奥様等)から、「借入金額はいくらまでしかダメ!」と言わるケースも多いです!
親族のいう事をそのまま聞き入れて資金調達した方がよいか、よく考えましょう!
1度飲食店を開業したら中々引き返すことはできないです!
何度も言いますが、飲食店開業は最初の投資設計が大事です!
そのため、私は、ご相談者の奥様が借入金額をストップしている場合、奥様に同席して頂いてご納得頂いた上で飲食店開業のご支援をするようにしています!

何故ここまで、何回もお伝えしているかと言うと、
以前に融資額を1300万円でご提案をした案件で、奥様が融資額は1000万円までしかダメといわれ、融資額を1000万円で申請したが、内装の基礎工事のやり直し及び軌道に乗るのが遅かったため、資金繰りが、かなり悪くなってしまったという事例があったからです。
奥様にしっかり同席してもらい1300万円の融資額をご提案できていれば、資金繰りがキツキツになる事態にならなかったかもしれません!
尚、このお客様は、最終的には再調整を日本政策金融公庫に提案する事になりました!
再調整を1度してしまうと次の融資は厳しくなります!
日本政策金融公庫の飲食店開業予定者向けのパンフレットにも、「ご家族の理解は大丈夫か?」としっかり書いてあります!
納得いく融資額、事業計画についてご家族にしっかり説明してから飲食店開業をしましょう!
ご家族の理解なしに飲食店を開業しても成功しにくいと思います!

4.スモールビジネスで始めるから

「スモールビジネスで始める=借入額を低くする」と言う方程式にはならないです!
上記でも記載しました通り、スモールビジネスだからと言って運転資金が少なくてもよいと言うわけではないからです。
運転資金の理屈はスモールビジネスでも同じです!

5.なんとなく……

このような回答を思った方は、是非、私の飲食店開業支援コラムをもう一度読み直して下さい!
なんとなくでは絶対にダメです!!
飲食店開業時の設計を雑にすると一生後悔する事になります!!!

飲食店開業は個人事業で開業?それとも法人設立?

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飲食店を開業するときに、「個人事業で開業するか? 会社設立で飲食店開業した方がよいか?」 と言うご質問をよくいただきます。
借入金のリスクの問題だけ考えた場合は、「会社設立する方がよい」とお応えしますが。。。。
私個人的には、借入金のリスクを恐れて会社スタートするという考え自体が、そもそもの「覚悟」が弱いと言う意味で、成功しにくいのかなと思います!
またキャッシュフロー、つまりお金を沢山留保すると言う点からでは、個人での飲食店開業を基本は提案しています!!
なぜなら、個人事業で飲食店を開業すれば開業月、状況にもよりますが消費税が1年から2年間は消費税の申告が免除になるからです。
つまり、お客様からお預かりした消費税を国に納付しないため、貯金できると言う事になります。
そして、個人から法人成りをした場合には、資本金を1000万円未満に設定して法人を設立すれば、1年7ヶ月(特定期間に該当しみなし課税期間の法律を適用した場合)から2年間、現行の消費税法では消費税の納税が免除されます。
また、法人成りの結果、会社に借入金が移転するため、万一の時は会社の自己破産と言う事になります。
飲食店経営をしていれば経営不振等、最悪だと思えるような出来事が少なからず襲ってくると思います。
しかしながら最悪を受け入れずに逃げた時よりも、その最悪を受け入れた方が、その後の道は、ずっと楽にスムーズに自分の力を最大限に発揮できるものです!!
最悪を受け入れれば最善の策がとれるのです!
Dカーネギーの「道は開ける」と言う本に書いてある勇気づけられる言葉です!

今回のコラムを読んでいただき、
「借入が悪だ」と言う印象は大分払拭されたのではないでしょうか?!
私自身、飲食店開業支援専門家として、
「成功する飲食店の開業率の向上、飲食店の廃業率の低下」
を理念においています!
飲食店開業支援コラムを見て、
「勇気づけられて、飲食店開業と言うステップに踏み切れたよ!!」
と言う方が一人でも増える事を祈って飲食店支援コラムを書き続けていきたいと思います!!