TAX ACCOUNTANT LAW AND TELEWORK
税理士法と
テレワーク
税理士または税理士法人として税理士業務を行う場合には税理士法を遵守する必要がありますが、今回はこの税理士法と税理士業界におけるテレワークとの関係について整理してみます。
本法 |
規則、通達 |
税理士法40条 (事務所の設置) |
税理士法施行規則18条
税理士法基本通達40-1(R4年度税制改正)
税理士法基本通達40-2(R4年度税制改正で新設)
税理士法基本通達40-3(R4年度税制改正)
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税理士法41条の2 (使用人等に対する監督義務) |
税理士法基本通達41の2-1(R4年度税制改正で新設)
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税理士法48条の8 (設立の手続) |
税理士法基本通達48の8-2
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税理士法48条の12 (社員の常駐) |
税理士法基本通達48の12-1
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TAX ACCOUNTANT LAW ARTICLE 40
税理士法 40条
事務所の設置/第四十条
個人法人共通
税理士(税理士法人の社員(財務省令で定める者※を含む。第四項において同じ。)を除く。次項及び第三項において同じ。)及び税理士法人は、税理士業務を行うための事務所を設けなければならない。
※所属税理士
個人
税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する。
個人
税理士は、税理士事務所を二以上設けてはならない。
法人
税理士法人の社員は、税理士業務を行うための事務所を設けてはならない。
- ● 税理士業務を行うための事務所を設ける必要がある
- →非税理士の排除や国民の誰もがいつでも門戸を叩くことが出来るよう利便に資するため
- ● 個人税理士は1人1事務所のみ
- →法律関係を明確にすることや、個人の監督能力を考慮し非税理士の税理士業務を排除するため
- ● 個人の開業税理士、税理士法人、社員税理士が区別されている
- ● 税理士法人が支店(従たる事務所)を設けて良いかこの規定だけでは分からない
- ● 税理士法本法はR4年度の改正なし(通達のみの改正であり、取扱いを明確化している。)
税理士法基本通達40-1
(事務所)(R4年度改正)
40-1 法第40条に規定する「事務所」とは、継続的に税理士業務を執行する場所をいい、継続的に税理士業務を執行する場所であるかどうかは、外部に対する表示の有無、設備の状況、使用人の有無等の客観的事実によって判定するものとする。
40-1 法第40条第1項に規定する「税理士業務を行うための事務所」とは、税理士業務の本拠をいい、税理士業務の本拠であるかどうかは、委嘱者等に示す連絡先など外部に対する表示に係る客観的事実によって判定するものとする。
この場合において、「外部に対する表示」には、看板等物理的な表示やウェブサイトへの連絡先の掲載のほか、契約書等への連絡先の記載などが含まれることに留意する。
- ● 設備や使用人に関する文言を削除し、テレワークを前提とした外形的な判定基準へ更新
- ● 法40①の「税理士業務を行うための事務所」とは、に表現を統一
- ● 改正後の通達は令和5年4月1日から適用
税理士法基本通達40-2
(二ヶ所事務所の禁止)(R4年度新設)
40-2 法第40条第3項の「税理士事務所を二以上設けて」いる場合とは、例えば、自宅以外の場所に税理士事務所を設け、40-1の「外部に対する表示」をしている状態で、自宅においても40-1の「外部に対する表示」をして税理士業務を行っている場合などをいう。
したがって、自宅等の税理士事務所以外の場所で税理士業務を行っていても、その場所に40-1の「外部に対する表示」に係る客観的事実がなく、法第40条第1項に規定する「税理士業務を行うための事務所」と判定される状態でない場合には、税理士事務所を二以上設けている場合には該当しない。
- ● 個人事務所において二か所事務所となる場合の例示
- ● 旧40-2(税理士である公認会計士の公認会計士事務所)は新40-3へ
- ● 令和5年4月1日から適用
税理士法基本通達40-3
(税理士である公認会計士の公認会計士事務所)(R4年度改正)
40-2 税理士である公認会計士が、税理士事務所の外に公認会計士としての事務所をもつ場合、その事務所が、外部に対する表示、広報その他の客観的事実によって、継続的に税理士業務を行い、又は行うための事務所であると認められるときは、法第40条第3項の規定に抵触するものとして取り扱うこととする。
40-3 税理士である公認会計士が、税理士事務所のほかに公認会計士としての事務所を有する場合、その事務所が、外部に対する表示に係る客観的事実によって税理士事務所であると認められるときは、法 第40条第3項の規定に抵触するものとして取り扱うこととする。
- ● 40-1、新40-2の外形的な判断基準に合わせて文言を更新
- ● 細かい表現を更新
- ● 改正後の通達は令和5年4月1日から適用
税理士法基本通達41の2-1
(使用人等に対する監督義務)(R4年度新設)
41の2-1 税理士の使用人その他の従業者(以下「使用人等」という。)に対する監督義務は、税理士及びその使用人等が事務を行う場所によって異なることはない。したがって、使用人等に対する監督方法として、対面による監督を行うことができない場合でも、情報通信技術を利用する方法などにより、適切に監督が行われている場合には、監督義務が果たされていると判断することに留意する。
なお、情報通信技術を利用した使用人等の適切な監督方法としては、例えば、次に掲げるような、事前及び事後の確認を行う方法がある。
(1) 使用人等と委嘱者等との情報通信技術を利用した打合せに、使用者である税理士が情報通信技術を利用して参加する方法
(2) 使用人等が税理士業務の補助を行った履歴について情報通信技術を利用して確認する方法
- ● 法41の2の監督義務について、テレワークを前提とした監督義務を果たす方法について明確化
- ● 具体的な情報通信技術を利用した方法については今後明らかにされる予定
- →例えば、使用人等と委嘱者等とのWeb会議システムを利用した打ち合わせに使用者である税理士も参加する方法など(R4年度税制改正の解説P.745)
- ● 令和5年4月1日から適用