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生前贈与って何?相続税の節税になるって本当?メリットやデメリットも解説します!

生前贈与って何?相続税の節税になるって本当?メリットやデメリットも解説します!

生前贈与をしておくと、相続税の節税になるという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

実際、生前贈与は大きな節税効果が期待できます。もちろん、生前贈与にもデメリットや注意点が存在します。

本記事では、生前贈与のメリットやデメリットについて詳しく解説していきます。

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生前贈与の種類

生前贈与とは、被相続人が存命中に自身の財産を分け与える(贈与)する行為です。

生前贈与をうまく活用することで、相続税対策になると聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

まずは生前贈与にはどのような方法があるのか解説します。

暦年贈与

暦年贈与(暦年課税)とは、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に贈与した額が110万円以下の場合には贈与税がかからないという仕組みを利用した贈与方法です。

暦年贈与は、毎年110万円以内の額を贈与したい人に移すことでき、限度額内であれば非課税になる制度としてよく知られている方法です。

対象となっているのは、お金だけではありません。年間110万円以内であれば、土地や建物のような不動産も贈与できます。

しかし、不動産の場合は登記手続きが必要なため、手間と費用がかかり、あまり行われていません。

暦年贈与は、贈与を受ける人が対象です。例えば、父親と母親からそれぞれ110万円の贈与を受けると、合計220万円の贈与が発生したことになります。

このような場合、110万円を超える贈与を受けたことになり、110万円を控除した後に残りの110万円に贈与税が課されます。

暦年贈与は、110万円の「非課税枠」が用意されていることになり、枠内で行われた贈与に関しては非課税です。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、簡単に言うと「贈与をおこなう場合、2,500万円までは贈与税を非課税とする」制度です。

2,500万円もの大きな額の節税ができるので、利用を考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、相続時精算課税制度には何点か注意しておくべきことがあります。

第一に、適用の対象者が決まっていることです。

相続時精算課税制度の適用対象者は、贈与者(財産を与えた人)と受贈者(財産を貰い受けた人)に分けられ、以下の要件を満たさなくてはいけません。

  • 贈与者は、贈与をした年の1月1日の時点で60歳以上の父母または祖父母であること
  • 受贈者は、贈与を受けた年の1月1日の時点で18歳以上の子または孫であること

第二には、贈与者が亡くなり相続が開始された場合には、贈与を受けた財産がすべて相続財産に加算されることになり、相続税が発生します。

相続時精算課税制度は、生前贈与を行った際の贈与税を非課税にする一方で、相続時には過去の生前贈与分もまとめて課税されることになるので、注意しておきましょう。

第三に、相続時精算課税制度を利用すると暦年贈与の制度に戻すことができないという点です。

暦年贈与による生前贈与を検討している方は、注意してください。

相続時精算課税制度には上記のような注意点があるため、利用に当たって躊躇する方もおられるかもしれません。

しかし、賃貸マンションなど定期的に収益を上げる物件や、将来値上がりしそうな株式や不動産を所有している場合、相続時精算課税制度を利用すると節税効果が高いと言えるでしょう。

その理由は、相続発生時に相続財産に加算される贈与財産の価額は、「贈与時」の価額とされているからです。

贈与した後に価値が上がったとしても、相続財産の価額は贈与時の価額となるので相続税の節税効果が期待できます。

相続時精算課税制度を利用しようと考えている場合には、以上のような要素を踏まえ、慎重におこなうことをおすすめします。

居住用不動産の配偶者間贈与

居住用不動産を配偶者間で贈与する場合、暦年贈与によって得られる年間110万円以内の基礎控除に加え、最高で2,000万円まで非課税になる制度があります。

それが、「贈与税の配偶者控除」です。「おしどり控除」と呼ばれることもあります。

本制度を利用するには、以下の3つの要件すべてを満たす必要があります。

  • 夫婦の婚姻期間が20年を経過した後に贈与が行われたこと
  • 贈与された財産が、国内の居住用不動産または居住用不動産取得のための金銭であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与または取得した居住用不動産に、実際に住んでいて引き続き住む見込みであること

居住用不動産を配偶者間で贈与する「贈与税の配偶者控除」のメリットは、合計で2,110万円について贈与税がかからない点が大きいと思われます。

また、贈与税の配偶者控除を利用して贈与を受けた場合、相続開始前3年以内の生前贈与加算の対象にならない点もメリットと言えるでしょう。

しかし、贈与税の配偶者控除を利用した場合、不動産取得税がかかってしまうことや、名義変更の際に登録免許税がかかること、「小規模宅地等の特例」が受けられなくなるなどのデメリットがある点にも注意が必要です。

贈与税の配偶者控除を利用する際には、必ず贈与税の申告をしなくてはいけない点にも注意しておきましょう。

非課税になるからといって申告を行わなかった場合には、適用されません。

贈与を受けた翌年3月15日までに、必ず申告をおこなうようにしてください。

子や孫への教育資金の一括贈与

祖父母から子や孫に対し、一括して教育資金を贈与する場合、1人につき1,500万円まで贈与税が非課税となる制度が、「教育資金の一括贈与の特例」です。

教育資金の一括贈与の特例は、以下の要件を満たした場合に利用できます。

贈与を受ける人(受贈者)の要件

  • 30歳未満の子、孫であること
  • 受贈者の前年の所得が1,000万円を超えないこと

贈与をする人(贈与者)の要件

  • 受贈者の父母または祖父母(直系尊属)であること

※贈与者の年齢に規定はありません

教育資金の一括贈与の特例を利用すると、子や孫それぞれに1,500万円までであれば贈与を行っても贈与税はかかりません。

例えば、子や孫が4人いる場合には、それぞれに1,500万円ずつ贈与ができるので、6,000万円まで非課税になります。

それでは、教育資金とはどのようなものを指すのでしょうか。

教育資金の一括贈与の特例に言う教育資金とは、以下の通りになります。

  • 幼稚園や小中高校、大学などの入学金や授業料、修学旅行費、学用品の購入費、給食費など直接学校へ支払う費用
  • 学習塾やスイミングスクールなどの月謝や、通学定期券の購入、留学先への渡航費などの学校以外へ支払う費用

1は、1,500万円の全額が非課税となり、2は1,500万円のうち500万円までが非課税の対象です。

教育資金の一括贈与の特例を受けるには、以下の手続きを経る必要があるので注意しましょう。

  • 贈与者(父母または祖父母)と受贈者(子または孫)で贈与契約書を交わす
  • 受贈者の名義で「教育資金口座」を開設する
  • 教育資金口座を開設した金融機関に「教育資金非課税申告書」を提出する
  • 教育資金を入金する
  • 授業料などの支払いを行い、領収書を受け取る
  • 領収書を教育資金口座を開設した金融機関に提出し、口座からお金を引き出す

※教育資金口座からお金を引き出す際には、必ず領収書を提出しなくてはならないため、領収書は保管しておくこと

なお、教育資金の一括贈与の特例を受けたものの、受贈者が30歳の誕生日までに贈与された資金を使いきれなかった場合、残った金額に対して贈与税がかかることに注意が必要です。

教育資金の一括贈与の特例は、暦年贈与や相続時精算課税制度との併用が可能ですので、お子さんやお孫さんが多くいる方には大きな節税効果が見込めます。

本制度は、本来令和5年3月31日までの期限でしたが、令和5年度税制改正において令和8年3月31日まで延長されました。

ただし、今後も延長があるかどうかは分かりませんので、利用を考えている方は動向を注視しておきましょう。

住宅取得資金贈与

住宅取得資金の贈与とは、直系尊属(父母または祖父母)から直系卑属(子または孫)に対し、住宅の新築や増改築のための資金を贈与することです。

なお、この制度は新築住宅を購入する場合だけでなく、中古住宅を購入する場合でも適用されます。

住宅取得資金の贈与の特例を利用すると、暦年贈与で受けられる年間110万円に加えて条件を満たしている住宅を購入する場合、最大1,000万円が非課税となります。

住宅取得資金の贈与の特例を利用するには以下の要件を満たさなくてはいけません。

  • 受贈者が直系卑属(子または孫)であること
  • 受贈者が贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること(令和4年3月31日以前の贈与の場合は20歳以上)
  • 受贈者の所得が、贈与を受けた年において2,000万円以下であること
  • 平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告において、「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けていないこと
  • 受贈者の配偶者や親族など、一定の特別の関係がある人から住宅を取得したものではないこと、または新築や増改築の場合にそれらの人と請負契約を締結していないこと
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を住宅を新築などに当てること
  • 受贈者が、贈与を受ける時点で日本国内に住所を有すること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、対象となる家屋に居住する、または居住することが確実であること

上記の要件を満たした上で、取得する住宅が「耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋」の場合は1,000万円、それ以外の住宅用家屋の場合は500万円が非課税となります。

住宅取得資金の贈与の特例を利用する際に注意しておきたいのは、確定申告が必要になる点です。

たとえ申告額が0円となる場合でも、申告を行わないといけませんので覚えておいてください。

また、期限にも注意が必要です。住宅取得資金の贈与の特例は、令和3年12月31日までが期限でしたが、令和4年度の税制改正によって令和5年12月31日まで延長されました。

生前贈与のメリット

生前贈与には、節税効果を得られるというメリットはもちろんですが、そのほかにもメリットがあります。

ここからは、生前贈与で得られるメリットについて解説します。

相続財産を減らすことで相続税を軽減できる

生前贈与をおこなう大きなメリットと言えば、節税効果を得られることです。

特に、相続時に発生する相続税を軽減できるので利用する方は多いのではないでしょうか。

5,000万円の財産を持っている方が亡くなった場合を考えてみましょう。

その方の相続人が配偶者と子ども1人だった場合、基礎控除学は以下の通りです。

基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 2人) = 4,200万円

基礎控除額は4,200万円ですので、5,000万円から4,200万円を引いた800万円に相続税がかかることになります。

しかし、暦年贈与を10年間続けていた場合はどうでしょうか。暦年贈与は年間に110万円以内であれば、贈与税が非課税になる制度です。

暦年贈与を10年続けると1,100万円を生前贈与することになります。

相続財産は5,000万円から生前贈与を行った1,100万円を引いて3,900万円となり、基礎控除額を下回るため、相続税も非課税です。

このように生前贈与を行っておくことで、相続税を軽減またはゼロにすることも可能になります。

贈与の相手や時期を自由に選べる

遺言書を残さずに被相続人が亡くなった場合、遺産は法定相続人同士の話し合いによって分けられます。

そのため、お世話になった方や法定相続人ではない方(孫など)に遺産を残してあげることはできません。

遺言書を作成しておくことで、相続時にある程度は希望を反映することはできますが、遺言書に不備があった場合には遺言書自体が無効となる可能性もあります。

また、相続人間で争いのもとになる可能性もあるでしょう。

しかし、生前贈与に関しては、そのような決まりがないため誰に対してでも財産を渡すことができます。

特定の財産を特定の人物に確実に受け継がせたい場合には、大きなメリットがあると言えるでしょう。

ただし、法定相続人の遺留分を超える財産を贈与した場合には、相続時に遺留分侵害額の請求を受けることがあります。

生前贈与をおこなう際には、法定相続人に理由を丁寧に説明するなど、後々トラブルにならないようにしておくことも必要です。

そして、生前贈与は時期を自分で選べる点もメリットと言えるでしょう。

相続の場合は、相続が開始されない限り財産を譲り渡すことはできませんが、生前贈与であれば、いつでも財産を譲り渡すことができるのです。

「孫が進学する際の教育資金」や、「結婚後の住宅購入の際の資金」など、さまざまなライフイベントにベストなタイミングで援助するために贈与をおこなうことができます。

これは、相続税の対策としても使えます。例えば、資産価値が上がりそうな株式や不動産を所有している場合、生前贈与しておくことで相続税が軽減される可能性が高くなります。

相続時精算課税制度を利用した場合、贈与税が2,500万円まで非課税となることは上述の通りです。

制度を利用して、資産価値の上がりそうな財産を贈与しておくと、相続税を「贈与時の金額」で計算することになるのです。

贈与した財産の価格が上がったとしても、相続税を計算する際には贈与時の金額で計算するため、価格上昇分が節税できます。

また、賃貸マンションなどの収益物件を所有している場合、早いタイミングで贈与することによって賃料が受贈者の財産となるので、相続財産が増えず相続税対策にもなります。

以上のように、生前贈与は贈与する相手、時期を自由に選べるというメリットがあるのです。

相続時のトラブル回避になる

どんなに仲の良い相続人同士でも、相続時には利害が一致せずに関係が悪くなってしまうことがあります。

それは、遺言書を残していた場合でも起こり得ることです。

遺言書が無い場合には、遺産分割協議が行われますが関係が悪化してしまうと協議がまとまらずにいつまで経っても財産が分割できない事態におちいることがあるかもしれません。

相続財産を分割できないと、最終的には遺産分割調停、遺産分割審判に進んでしまうことも考えられます。

上記のような相続トラブルを回避する方法として生前贈与を選択する方もいます。

遺言書の作成や遺産分割協議では、被相続人本人が在席するのは不可能ですので、本心を相続人に伝えることはできません。

しかし、生前贈与であればなぜ贈与をおこなうのか、その本心はどこにあるのかなど、贈与者の気持ちを伝えた上で納得してもらうように話をすることも可能です。

このように、相続時に相続人同士のトラブルを回避できるのも、生前贈与を行っておくことのメリットです。

生前贈与のデメリット

生前相続には、さまざまなメリットがあることをご理解いただけたと思います。

しかし、当然のことながら、生前相続にはデメリットも存在します。

ここからは、生前相続をおこなうことにデメリットを解説していきます。

税務署の判断によっては生前贈与と認められない場合もある

生前贈与は、さまざまな要件を満たすことで贈与税が非課税となり、税金負担を軽減できます。

しかし、要件を満たしていなかった場合や、税務署の判断によっては生前贈与と認められない場合があるので注意が必要です。

特に、気をつけておきたいのは、生前贈与の成立要件です。そもそも、贈与は贈与者と受贈者の双方の合意があって初めて成立します。

つまり、贈与者だけでなく受贈者の承諾も必要になります。

贈与者が受贈者の口座にまとまった額を入金していたり、一定額を定期的に入金していたとしても、受贈者が贈与されていると知らなかったり、承諾していない場合には贈与とみなされません。

次に注意が必要なのは、暦年贈与です。暦年贈与も税務署の判断によっては認められない場合があります。

暦年贈与は年間110万円の枠内で、複数年に渡って贈与することで相続税対策をおこなう方法です。

その際に注意しておきたいのが、暦年贈与のつもりで行ってきた贈与が「定期贈与」とみなされることです。

ある一定の金額を複数年に分けて贈与している場合、税務署から「まとまった金額を贈与する予定だったものを、節税目的で分割して贈与しているのではないか」と指摘される可能性があります。

定期贈与とみなされると、定期贈与とみなされた分に贈与税が課税されてしまいます。

そこで、暦年贈与を定期贈与とみなされないためには、贈与の度に贈与契約書を作成したり、贈与をする際には銀行振込を利用するなど証拠を残しておくようにしましょう。

不動産の贈与には贈与税以外の税金がかかることに注意

生前贈与の際に、控除や特例を利用して贈与税を非課税にした場合でも、贈与した財産に不動産が含まれていると贈与税以外の税金がかかります。

不動産を贈与した際にかかる税金とは、「不動産取得税」と「登録免許税」です。

不動産取得税は、名前の通り不動産を取得した際に課される税金です。

土地・建物の場合には固定資産評価額の3%、住居用以外の建物の場合は固定資産税評価額の4%が課税されます。

登録免許税は登記の際にかかる税金で、固定資産税評価額の2%が課税されます。

こうして見てみると、税率は2〜4%と低いように感じるかもしれませんが、不動産はほかの財産に比べても価格が大きくなる傾向にありますので注意が必要です。

例えば、固定資産税評価額が1,000万円の居住用不動産を贈与された場合、不動産取得税は30万円、登録免許税は20万円を支払うことになります。

しかし、不動産を相続で取得する場合には、不動産取得税はかかりません。

そして登録免許税は0.4%になりますので、4万円が必要になります。

つまり、不動産を贈与した場合、合計で44万円も税負担が増えるのです。

このように、不動産を譲ろうと考えている場合には、生前贈与か相続かを慎重に判断するようにしましょう。

取得した不動産の登記はを司法書士に依頼する場合には、登録免許税のほかにも司法書士への報酬などが必要になります。

相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象になる

生前贈与を相続税対策のために行っている場合には注意が必要です。

それは、相続開始前3年以内に行われた贈与は相続税の対象になる点です。

生前贈与を行った財産は、基本的には相続財産に含まれません。

しかし、相続開始前3年以内に行われた贈与については、相続税の課税対象になります。

相続が開始するのは、被相続人が亡くなった日からですので、例えば病気によって亡くなる時期が分かった時点で焦って生前贈与を行っても、贈与した財産は相続財産に含まれることになり相続税の対象となります。

特に暦年贈与によって財産を生前贈与している場合には注意が必要でしょう。

被相続人が亡くなる時期を知ることは困難です。相続税対策として生前贈与を考えている方は、なるべく早い段階から始めておくと安心です。

生前贈与の注意点

これまで生前贈与のメリット・デメリットを紹介してきました。ここからは、見落としがちではあるものの、注意しておきたい点を解説します。

名義預金は贈与とみなされない

名義預金とは、受贈者の名義となっている預金口座を贈与者が管理している預金のことです。

父母または祖父母が、子や孫のために生前贈与をおこなう目的で口座を開設し、入金を行っている場合を考えてみましょう。

開設した口座の通帳や印鑑を贈与者が管理しているような場合、口座に入金されたお金は名義預金とみなされる可能性が高いと言えます。

贈与されたお金については、受贈者自らが管理し、自由に使える状態にしておかなくてはいけません。

生前贈与のデメリットの章でも述べさせていただきましたが、贈与の要件は贈与者と受贈者の双方が承諾していることです。

受贈者の承諾なく、受贈者が保有している口座に勝手に入金を行った場合も贈与とは認められないでしょう。

確かに、受贈者は入金されたお金を管理し、自由に使える状態ではありますが、受贈者は贈与を承諾していないためです。

このように、税務署に贈与を否定されないようにするためにも、贈与契約書を作成しておくことが肝心です。

偏った贈与は相続の際にトラブルの可能性も

生前贈与は、誰にでもおこなうことができるので、特定の人物に特定の財産を譲り渡せることがメリットと紹介しました。

また、生前贈与は贈与者が亡くなる前に自身の財産を譲り渡すことができるので、遺言書を残すよりも相続のトラブルを回避できると述べさせていただいています。

しかし、生前に行った贈与があまりにも偏ってしまっていた場合には、相続が開始されたときにトラブルに発展する可能性があります。

ある特定の人物が、自分の面倒をみてくれたため、財産の大部分をその人物に贈与したとしましょう。

その後、贈与者が亡くなり、相続が開始された際にこれが問題となる可能性があります。

相続人には、民法で定められた遺留分が認められているため、受贈者が受けた贈与が相続人の遺留分を侵害してしまった場合には、遺留分侵害額請求されてしまうかもしれません。

相続人の遺留分は法律で定められているため、遺留分を相続人に変換するように求められ、金銭的な負担が受贈者に生じてしまうことになります。

相続時のトラブルを防ぐために行ったはずの生前贈与が、結果的には相続時にトラブルを引き起こしてしまう可能性がありますので、相続人の遺留分を頭に入れながら、贈与をおこなうようにしましょう。

生前贈与以外の相続税対策

生前贈与は贈与税はもちろんですが、相続税対策として効果が高いことを理解していただけたと思います。

ここからは、生前贈与以外にどのような相続税対策があるのかを紹介していきます。

生命保険への加入

生命保険に加入すると、生命保険の非課税限度額の制度を利用することが可能です。生命保険の非課税限度額は1人当たり500万円となっています。

例えば、法定相続人が配偶者と子1人のケースで、相続財産が5,200万円あるケースを考えてみましょう。

この場合、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×2人)=4200万円」ですので、相続財産から基礎控除額を差し引いた1,000万円に相続税がかかります。

しかし、1,000万円を現金ではなく生命保険金として500万円ずつ残していたらどうでしょうか。

基礎控除額の4,200万円と、生命保険の非課税限度額が利用でき、配偶者が500万円、子が500万円の合計1,000万円が非課税となるため、相続税はゼロになります。

このように、生命保険に加入しておくことで、相続税の負担軽減が可能になります。

生命保険の非課税限度額について注意しておくべき点は、生命保険金の受取人は「相続人」でなければならないことです。

内縁の配偶者や相続放棄をした相続人が生命保険金を受け取った場合には、利用できませんので覚えておいてください。

養子縁組

養子縁組を行い、法定相続人を増やすのも相続税の節税につながります。

その理由は、相続税の基礎控除額の算出方法にあります。

つまり、養子縁組をして法定相続人を増やすことで、基礎控除額が増えることにつながり、相続税の負担を軽減できるのです。

また、孫を養子にすることで相続の回数を減らすことができるため、相続税の節税につながることもあります。

ただし、孫を養子縁組した際には、相続税額の2割加算の対象となりますので注意が必要です。

養子を増やすことは民法上、何人でも可能となっていますが、相続税法では法定相続人として認められる養子には制限があります。

相続税法では、実子がいない場合には2人まで、実子がいる場合は1人までと定められていますのでご注意ください。

養子縁組によって法定相続人の数を増やすのは、相続税の節税につながりますが、実子とトラブルになる可能性もあるので、節税のことだけを考えて養子縁組をおこなうのはやめておきましょう。

不動産を活用する

相続財産を現金で残すよりも、不動産を購入した方が相続税の節税になると聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

これには、ちゃんとした理由があります。例えば、遺産が現金で1億円だった場合の相続財産の評価額は当然のことながら1億円です。

しかし、1億円の不動産を購入した場合に評価額が5,000万円と評価されると、相続財産が半分になることになります。

これは、独自の評価方法があるためです。土地の不動産の評価方法は、国税庁が独自に算定した路線価をもとに評価(路線価がない地域の場合には固定資産税評価額を使用して算出)されます。建物は固定資産税評価額が使用されます。

路線価は実勢価格の80%程度を目安に算定されているため、購入時の価格と評価額の差額分が圧縮されることで、相続税の節税につながるのです。

さらに、所有している物件が収益物件の場合は、さらに評価額が低くなります。

このように、遺産を現金だけで残すよりも、不動産を活用して相続財産の評価額を圧縮ができ、相続税の負担を軽減することができます。

生前贈与に関するよくある質問

生前贈与に関するよくある質問をまとめました。

生前贈与の主なメリットは何ですか?

生前贈与は節税が大きなメリットでしょう。贈与に関する控除や特例を利用して贈与税の大幅な節税や、生前贈与により財産の総額が減れば、その後の相続税の節税につながります。

また、自分の望むタイミングで家族に贈与を行うことで、相手へ直接気持ちを伝えることができるのもメリットといえるでしょう。

生前贈与は何のために行うものですか?

生前贈与は主に相続税の節税を目的としておこなわれます。 このとき注意点をあげるとすれば、生前贈与をおこなうと贈与税が発生する場合があるので、贈与税について正しく理解することが必要です。

疑問やお困りの方は、一度専門家へ相続や贈与などの正しい節税法などを相談してみるとよいでしょう。

まとめ

生前贈与は贈与税だけでなく、相続税の負担軽減も可能ですので、相続時の節税対策に悩んでいる方は一考する価値がある制度です。

また、生前贈与は相続の際に遺産を残すことができない方への思いを形に残すことができる制度でもあると言えるでしょう。

そのためには、残される相続人としっかり話し合って説得する必要はありますが、節税のためだけではなく、感謝の気持ちを伝える方法として考えてみても良いのではないでしょうか。

もし、専門的なアドバイスや、生前贈与の方法などに関して詳しく知りたい方は、ぜひ税理士への依頼を検討してみてください。

サン共同税理士法人では、生前贈与についてはもちろん、さまざまな税務に関するご相談をお受けしています。生前贈与の方法の詳しいアドバイスだけでなく、相続税の負担軽減のためのその他の方法についてもご相談いただけます。

初回無料のオンライン・メール相談にも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。

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