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未成年者の相続放棄に必要な手続きとは?ケース別に徹底解説

未成年者の相続放棄に必要な手続きとは?ケース別に徹底解説

相続は避けて通れない人生の節目であり、多くの人が一度は相続問題に直面します。しかし相続が未成年者と関わると、手続きが一般的な相続よりも複雑になり、多くの特別な措置が必要となるのはご存じでしょうか。

とくに未成年者が相続放棄を検討する場合、法定代理人や特別代理人の選任など、多くの制約と手続きについて考えなければいけません。一つ一つが非常に重要で、誤った手続きが将来的な財産状況や法的責任に大きな影響を与える恐れもあります。

本記事では、未成年者の相続放棄に必要な手続きを、具体的なケースに分けて詳細に解説します。未成年者だけでなく、保護者や関係者が知っておくべき重要なポイントをしっかり押さえられるでしょう。

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相続放棄とは?

相続放棄とは、相続人が遺産を受け取る権利を放棄する法的手続きのことです。

日本の法制度では、相続が発生した場合、原則として相続人は自動的に遺産を受け継ぐことになります。しかし受け継いだ遺産に多額の借金が含まれるなど、相続人が遺産を受け取ることに不利益がある場合もあるでしょう。不利益を避ける手段として、相続放棄が選択されることがあります。

相続放棄は家庭裁判所に申し立てを行うことで進み、いったん相続放棄が行われると決定は覆せません。そのため、相続放棄を行う前には十分な検討と準備が必要になります。

単純承認と限定承認

相続放棄と対照的に考えられる概念として、単純承認と限定承認があります。どちらも遺産を受け継ぐタイプの選択ですが、内容的には別物です。

単純承認は、相続人が遺産を何の制限もなく受け継ぐ形態です。相続人は遺産に含まれるすべての財産を、借金は負債も含めて受け継ぐことになります。何も特別な行動を取らなければ、相続人は自動的に単純承認をしたとみなされる決まりです。

限定承認は、遺産を受け継ぐ際に、負債が財産を超える場合にその超過分を負わないようにする手続きです。遺産の価値と負債の額をしっかりと把握したうえで、負債の額が遺産の価値を超えている場合には、超過分の負債に対する責任を免れられます。

単純承認と限定承認にはそれぞれ利点と欠点があり、どちらがよいというものではありません。いずれにしろ、未成年者が関与する場合は、選択によって将来が大きな影響を受ける可能性があります。したがって、判断は慎重に行われるべきでしょう。

また、未成年者自身が単純承認か限定承認かを選ぶことは法律上認められていないため、法定代理人や特別代理人を通して手続きが行われます。

未成年者は自分で相続放棄できない

未成年者は成人と違って法的に自立していないため、自分自身で相続放棄といった重要な手続きを行うことができません。未成年者は、単独で自らの法律行為を有効に行う能力を制限されています。

具体的には、民法第5条によって未成年者は一定の制限のもとでしか契約などの法律行為を行えない決まりです。このため未成年者が相続放棄を行う場合は、法定代理人が必要となります。

法定代理人は通常、親権者に該当する人物が担いますが、親権者が相続に関与する場合は利益相反が生じるかもしれません。利益相反が生じる場合、特別代理人を任命する手続きが必要になります。親権者が存在しない、あるいは連絡が取れない場面では、未成年後見人が任命されるケースもあることに注意が必要です。

すべてにおいて法的に正確かつ適切な手続きが求められるため、専門家にアドバイスを仰ぐのがよいでしょう。弊社・サン共同税理士法人も、未成年者の相続に関するご相談を常に受け付けております。

参考:e-Gov法令検索 | 民法

未成年の相続放棄手続きに関する3つのケース

未成年者が関わる相続放棄は、一般的な相続放棄とはいくつかの点で異なります。とくに関係者間で利益相反が生じる可能性が高いため、対応が重要です。

ここでは未成年者が関与する相続放棄における3つの典型的なケースを取り上げ、それぞれに必要な手続きと注意点を解説します。

父が亡くなって母と未成年者が相続するケース

父が亡くなって母と未成年者が相続するケースは、母と子どもとで利益相反が生じる可能性があります。たとえば母親が遺産を独占したいと考えるなど、未成年者である子どもの権利を侵害するかもしれません。

母と子が利益相反の関係にある状況下で、未成年者である子どもが相続放棄をする際には、母親が法定代理人となることは憚られます。代わりに特別代理人を任命して、未成年者の相続放棄手続きを行わなければなりません。特別代理人は通常、家庭裁判所によって任命され、未成年者の利益を最優先に行動します。

一連の手続きは煩雑で時間がかかる可能性があり、また特別代理人が任命されるまでの期間、相続放棄の手続きは一時的に停止する可能性があることに注意しましょう。

離婚して親権者ではなくなった親が死亡し未成年者が相続するケース

離婚して親権者ではなくなった親が死亡し、未成年者が相続するケースにおいては、少なくとも親子の利益相反は発生しません。

たとえば、離婚して子どもの親権者が母となり、その後に父が亡くなった場合、離婚した母は父の遺産を相続できない身分です。相続権を有するのは子どもだけとなります。したがって母と子どもは利益相反の関係になく、母が子どもの法定代理人となっても問題ありません。

利益相反の問題が起きにくいため、比較的スムーズな手続きが期待できるでしょう。裁判所に特別代理人を求める必要もないため、手続きも簡略化されます。

しかし、いくつかの留意点があります。たとえば母親が相続手続きに不慣れで、きちんと実行できる自信がない場合には、専門家の助けを借りたほうが無難でしょう。法的な手続きは複雑であるため、成人しているからといって誰もが簡単に行えるわけではありません。難しいと思った場合には、専門家を頼るのが賢明です。

親権者である母親が死亡し未成年者が相続するケース

親権者となる母親が死亡し、未成年者である子どもが相続人となるケースにおいては、親権者ではない父親と子どもとの間に利益相反はありません。父親はすぐに母親と離婚しており、母親の財産を継承する権利を持たないからです。

父親はまず親権者変更の申し立てを行って子どもの親権を獲得し、子どもの法定代理人として相続放棄の手続きを行うことになります。

しかし、父親と連絡が取れないか、または何らかの理由で父親が手続きに参加できない場合には、未成年後見人を選任しなければいけません。

未成年後見人は通常、家庭裁判所によって任命され、未成年者の権利と利益を守る役割を果たします。この過程で手続きが煩雑となる可能性が高く、多くの書類も必要とされ、時には裁判所の許可も得なければいけません。可能であれば父親が法定代理人を務めるべきでしょう。

相続放棄に関する5つの注意点

相続放棄に関する注意点としては、主に以下の5つが挙げられます。

  • 手続きの期限は3か月しかない
  • 相続放棄の前に遺産を処分すると相続放棄できなくなる
  • いったん相続放棄をすると撤回できない
  • 相続人全員が相続放棄すると遺産は国のものになる
  • 相続放棄をしても保険金や遺族年金はもらえる

参考:e-Gov法令検索 | 民法

手続きの期限は3ヶ月しかない

相続放棄の手続きには、自分に相続があることを知ってから3か月以内、という期限があるので注意が必要です(民法915条)。期間を過ぎてしまうと、原則として単純承認したものとみなされてしまいます。単純承認とは、相続人が遺産をすべて、負債も含めて受け継ぐ形態です。

3か月という期間は案外短いので注意しましょう。遺産総額の割り出し、負債状況の確認、相続人間での分割の合意など、多くの点を3か月以内に確認して決定を下さなければいけません。未成年者が関わる場合は、法定代理人がいるか、または特別代理人や未成年後見人の手続きを経なければならないかの判断も必須です。

短時間で多くの手続きと決断を行う必要があるため、期限内に適切な行動を取れず、後々大きなトラブルに発展することも珍しくありません。専門家にアドバイスを求める必要性は、この点からも強いといえます。

相続放棄の前に遺産を処分すると相続放棄できなくなる

相続放棄の手続き前に遺産を処分してしまうと、相続放棄ができなくなってしまうので注意が必要です(民法921条)。遺産を売却したり使用したりすると、法的には自分に相続があったことを認め、単純承認をしたとみなされます。あとから相続放棄をしたい旨を表明しても、原則として受け入れられません。

とくに未成年者が関わるケースでは問題になりやすいといえます。未成年者が自分自身で遺産を処分する権限はないものの、法定代理人となるべき人物が遺産の一部を処分してしまい、未成年者に影響を与える影響があるからです。

したがって相続放棄の意思がある場合、手続きが終了するまで遺産に一切手をつけないよう気をつける必要があります。

いったん相続放棄をすると撤回できない

いったん相続放棄を行ったら、あとになって決定を撤回することはできません(民法919条)。相続放棄は重大な法的行為だからです。一度手続きが完了したら、「やっぱり相続を受けたい」といった要求は原則として認められません。

したがって相続放棄をする前には、十分な情報収集と検討が必要です。

未成年者が関わる場合には、通常以上に注意するべきでしょう。未成年者自体は相続放棄の手続きを行えないため、代わりに法定代理人が関与します。法定代理人は、相続放棄という選択が未成年者にとって最善であるかどうか、慎重に判断しなければいけません。

一度相続放棄が成立したら、未成年者が成人となったあとでも決定を覆すことは不可能です。したがって、未成年者にとって最適な選択をする責任が、関与する大人たちには重くのしかかっています。

相続人全員が相続放棄すると遺産は国のものになる

相続人が全員相続放棄をすると、宙に浮いた遺産は国庫に帰属することに注意してください(民法959条)。国は相続財産管理人を選任して、遺産に関するさまざまな手続きを行います。不動産の売却や負債の清算などが代表的な業務です。

未成年者が関わるケースでは、親やその他の成年の相続人が法定代理人として、未成年者に代わって相続放棄を行います。未成年者が最後の相続人である場合、法定代理人が適切な手続きを行わないと、未成年者が相続する可能性のある財産が国に帰属してしまうかもしれません。慎重な判断と手続きが求められます。

相続放棄をしても保険金や遺族年金はもらえる

相続放棄をしても、保険金や遺族年金を受け取る権利まで失われるわけではありません。相続放棄はあくまでも遺産を相続することを放棄しただけであり、保険金や遺族年金には影響を及ぼさないからです。保険金や遺族年金は遺産とは別の法的性質を持つため、相続放棄を行った元相続人でも受け取る資格があります。

未成年者にとっても保険金や遺族年金は重要です。たとえば親が亡くなった場合、未成年者である子どもには遺族年金の受給資格があります。相続放棄を選んだとしても、受給資格はなくなりません。受け取れるお金をしっかり計算に入れたうえで、周囲の成人、とくに法定代理人は未成年者の将来を考慮し最適な選択を行う必要があります。

未成年者の相続放棄についてお悩みならサン共同税理士法人へ

相続はしばしば複雑で繊細な問題につながりますが、とくに未成年者が関わる場合、話はさらに複雑になりがちです。未成年者が相続人となる場合、法定代理人や特別代理人の選任、さらには未成年後見人の選任まで考慮しなければならないこともあります。

相続放棄の期限や手続きにも特別な注意が必要です。未成年者が相続人となる場合、その未成年者の将来を真摯に考えてサポートする成年後見人などの責任は大きなものとなります。

未成年者の相続放棄についてお悩みなら、ぜひ弊社・サン共同税理士法人までお問い合わせください。

サン共同税理士法人には、相続税制や手続きに精通したプロフェッショナルな税理士が多数在籍しています。未成年者が関わる複雑なケースに関するノウハウも十分に蓄積しており、さまざまなお悩みについて柔軟にかつ正確に対応可能です。

初回相談は無料となっておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

未成年者の相続放棄に関するよくある質問

相続の問題は一般的には大人が対処するものと認知されていますが、未成年者が関わることも珍しくありません。未成年者が関わる相続について考える際には、特殊性について理解しておくことが不可欠です。

ここでは、未成年者の相続放棄に関するよくある質問に回答します。

未成年者も相続放棄できますか?

未成年者自身が法的に相続放棄をすることはできません。未成年者には、単独で法律行為を有効に行う権限がないためです。

未成年者が相続放棄をする場合には、法定代理人が未成年者の代わりに手続きを行います。多くのケースでは、法定代理人は親です。しかし親と子どもの間に利益相反が生じる場合には、特別代理人が選任されることもあります。特別代理人制度は、未成年者の権利と財産を守るための重要な仕組みです。

身近な大人が直接関与できないか、または不在である場合、未成年者の相続放棄は法的にも倫理的にも重要な問題となります。したがって、未成年者が相続放棄を望むときには、法的手続きには必ず大人が関わらなくてはいけません。

特別代理人とは何ですか?

特別代理人とは、法定代理人が利益相反の可能性があるために役割を果たせない場合などに、特定の法的手続きを行うために選任される代理人のことです。

一般に、未成年者が関わる法的な事務においては親が法定代理人となりますが、場合によっては親自身がその未成年者と利益相反の関係になります。相続において、未成年者とその親がともに相続人となる場合などが代表例です。

親が未成年者の代わりに相続放棄などの手続きを行えない場合は、特別代理人が選任され、未成年者の利益を最優先にする形で法的手続きを代行します。

特別代理人に選ばれるのは、法的な手続きを適切に行える専門の法律家や、信頼できる第三者などです。

未成年者の相続放棄に関するまとめ

未成年者の相続放棄には複雑なプロセスがあり、多くの法的な側面を考慮する必要があります。未成年者自身が法的行為を有効に行う能力がないため、法定代理人または特別代理人が代わりに手続きを行うことが基本です。

しかし、相続人が未成年者と未成年者の親である場合、親子間で利益相反となる可能性が高く、多くのケースにおいて特別代理人の手続きが必要となります。ほかにも親権者ではなくなった親が死亡した場合や、親権者である親が死亡した場合など、さまざまなケースが考えられるため、法律にのっとってしっかり対応していかなければいけません。

本記事を参考にして、未成年者の相続放棄をスムーズに行えるようになっておきましょう。煩雑な作業に割く時間がなかったり、法定代理人を務めることに重荷を感じたりする場合には、専門家のアドバイスを仰ぐこともおすすめです。弊社・サン共同税理士法人も、常にあなたをサポートする準備を整えております。

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