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相続財産に棚卸資産が含まれていたらどうする?評価方法を徹底解説

相続財産に棚卸資産が含まれていたらどうする?評価方法を徹底解説

相続が発生した際、一般的に焦点となることが多いのは不動産や金融資産、個人の貴重品などです。しかし事業を継承する場合には、さらに「棚卸資産」が加わることがあります。

棚卸資産は単なる「もの」以上の意味を持ち、事業の継続性や資産の評価に直接影響を与えるものです。そのため、棚卸資産の正確な評価と適切な取り扱いは、税務処理にも大きな影響を及ぼすことがあります。たとえば評価方法が適切でないと、相続税の負担が思いのほか重くなってしまうかもしれません。

棚卸資産は相続財産のなかでも特殊な存在であり、扱いには専門的な知識が求められます。

本記事では、棚卸資産が相続財産に含まれる場合の基礎的な知識からはじめ、各種の評価方法、税務処理に至るまでを包括的に解説します。事業継承を考えている人や、相続によって多額の棚卸資産を引き継ぐ可能性のある人は、ぜひ最後までお読みください。

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棚卸資産と相続財産の基礎知識

相続の際に話題に上がる財産としてポピュラーなのは、不動産、金融資産などでしょう。しかし事業を継承するケースでは、一般的な財産以外に棚卸資産も重要な要素として加わる場合があります。

棚卸資産は事業活動で必要不可欠な資産であり、一般的な財産とは異なるガイドラインに基づいて評価されるものです。棚卸資産は相続財産として特別な位置を占めることとなり、正確な評価と適切な税務処理が求められます。

ここでは棚卸資産と相続財産について、基本的なところから解説します。

棚卸資産とは

棚卸資産とは、事業の運営に必要な在庫資産の総称です。主に商品・原材料・半製品・製品・仕掛品などが該当します。

たとえば小売業者の場合、店頭で販売する衣料品や食品などが棚卸資産になります。製造業の場合は、製品を製造する過程で必要とされる各種の部品や材料、完成した製品までが棚卸資産の範囲です。

これらの資産は会計上でも非常に重要な要素であり、事業の財務健全性や流動性を強化する際の重要な指標とされます。

棚卸資産の評価には特別なルールが存在し、税法上もそれに従った処理を求められる場合がほとんどです。とくに相続が関わる場合、棚卸資産の正確な評価は、相続税の計算や財産分配に直結する非常に重要なプロセスとなります。

このため、棚卸資産を正確に評価し適切に管理するスキルは、事業を継承するうえで必要不可欠な要素といえるでしょう。

相続財産とは

相続財産とは、一般的には故人が亡くなった時点で残した財産全体を指します。不動産・預金・株式・債権・家具・宝石・車など、形のあるものから形のないものまで幅広く含まれます。

相続財産には「一般財産」と「事業用財産」があり、事業用財産には本記事のテーマである棚卸資産が含まれます。事業用財産は、相続の際には一般財産とは異なる評価基準や税率を適用されることが多いため、管理と評価には専門的な知識が必要です。

さらに、これらの財産は相続人らでの分配も考慮しなければならず、公平な分配を目指す場合には財産の評価に十分な注意が必要となります。

とくに事業を継承する際には、棚卸資産以外にも、土地・建物・機械・商標・顧客リストなど多岐にわたる財産が存在するのが一般的です。すべてが相続財産に含まれるため、それぞれの評価基準や税法に基づいた適切な処理が必要となります。

事業用資産の区別

事業用資産という概念には、多くの種類の財産が含まれますが、相続の文脈で考える場合、一般的には「一般動産」と「棚卸資産」に大きく区分されることがほとんどです。

一般動産と棚卸資産は、事業運営において異なる役割を果たし、税法や会計処理をする際も異なる扱いとなるため、重要な区別となります。

一般動産とは、事業運営において使用される機械・設備・車両・オフィス用品などを指します。これらは固定資産として計上され、価値が減少することを考慮して減価償却されるのが一般的です。そのため一般動産の評価は、新品価格だけでなく、使用年数や経年劣化、市場価格など多角的な観点から行う必要があります。

一方で棚卸資産は、商品・原材料・半製品・仕掛け品などの在庫資産を差し、流動資産として扱われます。棚卸資産は日々の事業活動によって売買されるものであり、価値は市場価格や需要に応じて頻繁に変動するのが通常です。そのため棚卸資産の評価は一般動産とは異なり、時価が原価に基づいてなされます。

事業を継承する際には、一般動産と棚卸資産をきちんと区別することが大切です。資産の区別が明確でないと、事業の継承計画自体が曖昧となり、後継者や関係者とのトラブルの原因ともなりかねません。

スムーズな事業継承と資産の適正評価は、事業用資産の相続において必要不可欠なものといえるでしょう。

棚卸資産の評価方法

棚卸資産の評価は、事業継承や相続の際にとくに重要な課題となります。財産の種類によって評価方法が異なるのが一般的で、いずれの評価においても細心の注意が必要です。正確な評価が行われないと、結果として相続税の負担の増加や、事業継承の際に不必要な紛争が生じる恐れがあるからです。

ここでは以下の4つに分けて、棚卸資産の評価方法を見ていきます。

  • 商品
  • 原材料
  • 半製品及び仕掛品
  • 製品および生産品

商品

商品に関する棚卸資産の評価は、商品の販売業者が課税時期において販売する場合の価格から、適正利潤の額や経費などを引いたものが用いられます。

棚卸資産の評価額=課税時期における販売価格-経費など

販売価格は市場価格や最近の取引価格を参考に設定されることが多く、とくに流通量が多い商品の場合は比較的容易に決めることが可能です。

しかし独自性の高い商品や専門性を持つ商品に関しては、市場価格が存在しない場合もあるため、原価を基準にする方法が取られることもあります。

販売価格から経費や消費税額を引く計算方法が成り立たない場合には、所得税法施行令第99条、または法人税法施行令第28条に基づいて計算する必要があります。

参考:所得税法施行令 | e-Gov法令検索

参考:法人税法施行令 | e-Gov法令検索

原材料

原材料の棚卸資産評価においては、その原材料を使用する製造業者が課税時期に購入する場合の仕入れ価格に、運賃や経費などを加えた金額が用いられます。

棚卸資産の評価額=課税時期に購入する場合の仕入れ価格+運賃・経費など

購入価格や輸送費、保管費などは一定ではないため、その都度の評価をしなければいけません。とくに原材料が希少性を持つものや長期間保存されたものである場合、単純な購入価格だけでなく、付随する経費は大きなものになります。購入からの経過時間や寝室の劣化、廃棄リスクなども評価に影響を与える要素です。

上記の考え方で計算できない場合には、所得税法施行令第99条、または法人税法施行令 第28条が適用されます。

原材料の評価は生産計画や在庫戦略に直結しており、不正確な評価が事業運営に多大な影響を及ぼす恐れがあります。評価方法を十分に検討し、正確に適用することが大切です。

参考:所得税法施行令 | e-Gov法令検索

参考:法人税法施行令 | e-Gov法令検索

半製品及び仕掛品

半製品および仕掛品の評価方法は、原材料を課税時期において購入する場合に受ける仕入れ価格に、原材料の引き取りや加工などに要する運賃、加工費そのほかの経費の額を加えたものとなります。

棚卸資産の評価額=課税時期に購入する場合の仕入れ価格+運賃・加工費など

半製品および仕掛品は、製造過程の途中段階であるため、どれだけの価値が付加されているのかを正確に評価しにくいことに注意が必要です。

上記の計算がうまくなされない場合には、所得税法施行令第99条、または法人税法施行令 第28条が適用されます。

参考:所得税法施行令 | e-Gov法令検索

参考:法人税法施行令 | e-Gov法令検索

製品及び生産品

製品および生産品の棚卸資産評価は、課税時期における販売価格から、適正利潤の額、予定経費の額及び納付すべき消費税額を引いたものとなります。

棚卸資産の評価額=課税時期の販売価格-(適正利潤の額、経費など)

製品や生産品の販売価格は、市場でどれだけの価値で取引されているかが基準となります。この製品の品質やブランド力、季節性などの影響を受けるのが一般的です。たとえば夏によく売れる製品であれば、夏が過ぎると価値が大きく低下する恐れがあります。

上記の計算がうまくできない場合には、所得税法施行令第99条、または法人税法施行令 第28条が適用されます。

製品および生産品には、テクノロジーやファッション性など、時代やトレンドに影響されやすい要素が多く含まれています。これらは時価評価においてとくに重要なポイントとなり、製品が古くなるにつれて価値が下がる「時価減少」や、一定期間限定の価値がある「限定品」など、さまざまな様子を考えなければいけません。

複雑な要素を総合して製品および生産品の評価を行うには、専門的な知識と経験が不可欠です。相続人のなかに必要な知識と経験を持つ者がいない場合には、外部の専門家に評価を依頼することもあるでしょう。

参考:所得税法施行令 | e-Gov法令検索

参考:法人税法施行令 | e-Gov法令検索

相続で引き継いだ事業用資産の取り扱い

相続で事業用資産を引き継いだ場合、取り扱いには多くの税法上の制約と考慮事項が存在します。ここではとくに以下の3つについて解説します。

  • 相続や贈与などで引き継いだ事業用資産の取得価額
  • 相続で引き継いだ事業用資産の減価償却方法
  • 相続の際に支払った登録免許税等の取り扱い

いずれも重要な要素なため、以下の解説を読んでしっかり把握しておきましょう。

相続や贈与などで引き継いだ事業用資産の取得価額

引き継いだ事業用資産の取得価格は、被相続人から相続を受けた時期の金額が用いられます。被相続人が元々取得した資産を、相続人がそのまま引き続き所有しているものとみなし、被相続人から相続を受けたときの帳簿残高が適用される形です。

ここでは市場価格や事業の将来性といったものは考慮されません。あくまでも被相続人が亡くなった時点で、資産にどれだけの価値があったかが重要となります。相続が発生したときの価値が、そのまま相続人に引き継がれる点がポイントです。

相続で引き継いだ事業用資産の減価償却方法

相続で事業用資産を引き継いだ際の減価償却方法は、被相続人が用いていたものをそのまま引き継ぐわけではありません。そのため住居地を管轄する税務署長に対し、新たに減価償却方法に関する届出書を提出する必要があります。

届け出をしなかった場合、通常の資産に関しては「定額法」をもとに減価償却費を計算することになります。

注意点としては、相続によって取得した減価償却資産について届出を行わず、被相続人が採用していた定率法によって減価償却してしまうことが挙げられます。これは正当なやり方ではないため、きちんと届出をしなければいけません。

減価償却は繊細な問題であるため、専門家と連携をとって動くことがおすすめです。弊社・サン共同税理士法人も、相続における減価償却資産のご相談を承っております。

参考:No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)|国税庁

相続の際に支払った登録免許税等の取り扱い

相続の際に支払った登録免許税等は、2023年現在では必要経費に参入することが可能となっています。

たとえば農地を相続して登録免許税を支払った場合には、その期間の租税公課として農業所得の経費にできます。同様にアパート等を相続するために登録免許税を支払った場合には、不動産所得の経費に含めることが可能です。

不動産を相続するときに支払う登録免許税は、不動産の課税価格の1,000分の4と定められています。高額な不動産を相続した場合には登録免許税も高額となるため、しっかりと経費に含めて計算しておきましょう。

参考:登録免許税法 | e-Gov法令検索

棚卸資産の相続でお悩みならサン共同税理士法人へ

棚卸資産の相続は一筋縄ではいかない問題が多く、扱いに頭を悩ませている人も少なくありません。たとえば棚卸資産の評価方法にはいくつかの種類があり、間違った方法を選ぶと税務上のリスクが高まる恐れがあります。

また、事業用資産を相続した場合の取得価格や減価償却方法、さらには支払った登録免許税等の取り扱いなど、多くの要素が絡み合い、独力での解決は難しい場合もあります。

棚卸資産の相続でお悩みの方は、ぜひ弊社・サン共同税理士法人までお問い合わせください。

サン共同税理士法人は、これまでに多くの相続税問題を解決してまいりました。経験豊富な税理士が多数在籍しており、棚卸資産の評価から税務申告に至るまでのプロセスを、確かな手続きでサポートします。

初回相談は無料となっておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

棚卸資産と相続財産に関するまとめ

相続財産に棚卸資産が含まれる場合、評価と相続税の計算には多くの独特な要因が影響を及ぼします。

棚卸資産とは事業活動に直結した資産であり、その価値は企業の財務状態や市場環境によって大きく変動する可能性があります。適切に評価するためには、商品や原材料、製品など、性質に応じた評価方法が必要となることに注意しなければいけません。

このような複雑なプロセスを問題なくさばききるためには、相続税の専門家のアドバイスが有効です。とくに事業継続の意志がある場合や、大量の棚卸資産を相続する可能性がある場合には、専門家である税理士のアドバイスとサポートを受けることで、多くのトラブルを回避できるでしょう。

本記事を参考にして、棚卸資産を問題なく相続できるノウハウを身につけておきましょう。

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