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相続手続きは何から始めたら良い?相続手続きの基本から手順、注意点までを解説します!

相続手続きは何から始めたら良い?相続手続きの基本から手順、注意点までを解説します!

相続は何度も経験するわけではないので、初めておこなうという人がほとんどだと思います。そのため、何から手を付けて良いのかわからないと悩むことが多いのではないでしょうか。

本記事では、相続手続きの基本から、手順、注意点などを解説します。相続手続きを何から始めれば良いのか悩んでいる人は、ぜひご一読ください。

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相続手続きの基本

相続における、遺産の分割方法をご存知でしょうか?

「遺産は遺言書にしたがって分けるんじゃないの?」

このように思われる方は多いと思います。では、遺言書がない場合はどうしたら良いのでしょうか。

初めて相続手続きをおこなう際、知識がないと、どうしたら良いのか分からず、相続手続きを進められない状態になってしまうかもしれません。

そこで、本章では相続が開始されたとき、スムーズに手続きがおこなえるよう、相続手続きの基本となる知識を解説します。

遺産はどうやって分ける?2つの基本ルール

被相続人が亡くなると、遺産を相続人同士で分けることになります。

相続財産を分ける際には基本となる2つのルールがあるので確認しておきましょう。

それは、「遺言書がある場合」と「遺言書がない場合」です。

「遺言書がある」ケースでは、原則として遺言書通りに遺産を分けることになります。

ただし、相続人と受贈者(遺贈により財産を取得する人)全員の合意がある場合には、遺言書と異なる方法で遺産の分割が可能です。

遺言書がない場合は、相続人同士の話し合いで遺産を分けます。

これを「遺産分割協議」と言い、最終的に遺産分割協議の内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成し、相続手続きを進めていきます。

遺産分割協議でポイントとなるのが「法定相続分」です。

次で詳しく説明しますが、法定相続分とは民法で定められた相続分の割合のことを言います。

遺産分割協議がおこなわれるときには、多くの場合、法定相続分にしたがって遺産を分けることになります。

そこで、覚えておいていただきたいのは、法定相続分はあくまでも「目安」ということです。

法定相続分は、法律で定められてはいるものの、強制力があるわけではありませんので、相続人同士の話し合いで相続割合を決められます。

誰が相続人になる?相続分の割合はどれくらい?

被相続人の遺産を相続できるのは、民法で定められた「相続権」を持つ人だけです。

この相続権を持つ人のことを「法定相続人」と言います。

それでは、誰が相続人になるのかを確認していきましょう。

まず、被相続人の配偶者は常に相続人となります。(民法890条)そして、被相続人と配偶者の間に子どもがいれば、子どもも相続人です。(民法887条)

参考:e-Gov法令検索 民法

もし、子どもがいなかった場合には、被相続人の直系尊属(両親または祖父母)が相続人になります。(民法889条)

直系尊属も亡くなっている場合には被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。(民法889条)民法で定められているのは、被相続人の兄弟姉妹までなので、これ以上は相続人になることはできません。

このように、相続人には順位が付けられており、子が第1順位、直系尊属が第2順位、兄弟姉妹が第3順位です。

相続の順位は、それぞれの先順位相続人がいない場合や、相続放棄をした場合に後順位相続人へと移っていきます。

それでは、遺言書にこれらの相続人以外の名前があった場合はどうでしょうか。

民法に定められていないため、相続人にはなれないと思われるかもしれません。

しかし、相続は遺言書が優先されるため、遺言書に相続人以外の人に相続させる旨が書かれてあれば、遺産を相続できます。

もう少し相続人について解説しておきましょう。

本来、孫は相続人になることはできません。しかし、相続時に被相続人の子が既に亡くなっている場合は、孫が被相続人の子に代わって遺産を相続できます。

これを「代襲相続」と言い、直系卑属(子や孫)の場合は世代の制限なく、何代に渡っても代襲相続が可能です。

一方、相続人が被相続人の兄弟姉妹の場合にも、代襲相続が認められています。

つまり、甥や姪が代襲相続が可能です。ただし、甥や姪が代襲相続を行う場合は、一代限りとなっているので注意してください。

相続人には、民法によって定められた相続割合があり、これを「法定相続分」と言い、相続人ごとに異なります。

配偶者は常に相続人となると定められているため、相続人が配偶者のみの場合、被相続人の相続財産はすべて配偶者のものです。

相続人が配偶者と子の場合、相続財産のうち2分の1を配偶者が、残りの2分の1を子が取得し、子が複数いる場合には2分の1の財産を平等に分けます。

被相続人と配偶者の間に子がいない場合は、配偶者と直系尊属にあたる被相続人の親や祖父母が相続人となります。相続の割合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1です。

子や直系尊属がいない場合には、配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人となり、相続割合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。

相続人によって相続割合が異なりますので注意しておきましょう。

相続税は相続人全員にかかる?

相続によって財産を取得した場合、必ず相続税を支払わなくてはいけないと考えている人は多いのではないでしょうか。

しかし、相続税は相続人全員に課されるとは限りません。理由は、基礎控除によって相続税が非課税になることがほとんどだからです。

基礎控除は、「3,000万円+(600万円×相続人の数)」で計算されます。

例えば、相続人が2人の場合、3,000万円+(600万円×2人)となり、相続財産が4,200万円以内であれば、相続税はかかりません。

このように、基礎控除の制度があることで、相続税が発生することはほとんどないのです。

基礎控除額を超えてしまった場合はどうなるのでしょうか。

この場合、超えてしまった分に相続税が課されることになります。

また、相続財産が基礎控除額内であれば、相続税が課税されないだけでなく、相続税の申告も必要ありませんので覚えておいてください。

相続手続きの手順と期限

実際に相続が開始された場合、どうすれば良いのでしょうか。

本章では、相続手続きの手順を解説します。また、相続手続きには期限がある場合がありますので、あわせて解説します。

遺言書の確認

被相続人が亡くなった際、できるだけすぐおこなって欲しいのが「遺言書の確認」です。

遺言書は、相続開始の大前提となる重要なものですので、すぐに確認してください。

なぜならば、遺言書の有無によって相続手続きが異なるからです。

遺言書があった場合は、遺言書の内容通りに相続をおこないます。

反対に、遺言書がなかった場合には遺産分割協議をおこない、相続人全員の合意を得て財産の相続割合が決まります。

遺言書があった場合の対応

被相続人が遺言書を残していたり、遺言書を発見した場合、すぐに開封してはいけません。

原則として、遺言書の中身を確認するには、家庭裁判所へ出向き検認の手続きをおこなう必要があります。

検認とは、簡単に説明すると、家庭裁判所が相続人のほか、利害関係人の立ち会いのもとで、遺言書を開封し、遺言書の内容を確認する制度です。

遺言書には大きく分けて、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

3種類の遺言方法の中で検認が必要となるのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言です。ただし、秘密証書遺言は実務上ほとんど利用されていません。

自筆証書遺言による遺言書を発見し、検認を受けずに開封してしまった場合、相続手続きが困難になる恐れや、5万円以下の過料に処せられることがあります。

遺言書を発見した場合には、まず家庭裁判所へ出向くようにしましょう。

遺言書が自筆証書遺言でも、家庭裁判所の検認を受けなくても良い場合があります。

令和2年7月から、遺言書を法務局で保管できる制度がスタートしたためです。

本制度が開始されたことにより、遺言書の交付請求について、全国どこの遺言書保管所からでもおこなうことが可能となった上、法務局に保管されていた自筆証書遺言については、検認が不要となりました。

ただし、本制度を利用する際には、申請1件につき3,900円の手数料が必要です。

遺言書が無効となる3つのパターン

自筆証書遺言の場合、公正証書遺言と比べて無効になるリスクが高くなります。

遺言書が無効となるのは、主に以下のようなパターンのときです。

まず、本人の自筆で書かれていない遺言者は無効になります。

パソコンなどで内容文を作成し、署名捺印した場合も無効になるので注意しましょう。

ただし、自筆証書遺言に財産目録を記載する場合、財産目録だけはパソコンなどを利用して作成が可能となりました。

次に、作成日付が書かれていない場合も無効です。遺言者が亡くなり、複数の遺言書が発見された場合、日付の新しい遺言書が有効なものとされます。

そのため、有効な遺言書を作成しようと思った場合には、必ず作成日付が必要です。

そして、本人の意思で作成されたものではない場合にも無効になります。

本人の意思で作成されていないとは、例えば、遺言者が認知症を患っていた場合が該当します。

遺言書の内容を家族の指示によって書いていたケースでは、遺言書は無効です。

認知症を患っているなど、遺言能力がないと思われるケースでは、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を作成するなど、遺言書が無効にならないための対策をおこなう必要があります。

参考:政府広報オンライン 知っておきたい遺言書のこと 無効にならないための書き方、残し方

相続人の調査

遺言書が無かった場合や、遺言書はあったものの、遺言書通りの分割方法での分割が難しい場合には、法定相続人が全員で協議をおこなう「遺産分割協議」をおこなわなくてはいけません。

そのためには、誰が相続人になるのかを確定する必要があります。

相続人が確定しないと、誰と協議をおこなう必要があるのかが決まらないからです。

家族だけが相続人だと思っていたら、調査の結果、意外なところから相続人が現れるという可能性もないとは言い切れません。

法定相続人が全員揃っていない状態でおこなわれた遺産分割協議は効力を持ちません。

新たに相続人が現れた場合には、最初からやり直さなくてはいけませんので注意してください。

被相続人が亡くなり、遺言書がない場合や、遺言書通りの分割ができないという場合には、誰が相続人になるかの調査・確定を最優先でおこなうようにしましょう。

相続人の調査確定には、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を収集し、その中から相続人の候補となる人を確定していきます。

ただし、戸籍謄本は本籍のある役場でしか取得できないため、被相続人が頻繁に本籍地を変更している場合(例えば、引っ越しや結婚の際に本籍地を変更する場合)には、時間と手間がかかります。

そのため、相続人の調査・確定は早めにおこなうことがおすすめです。

相続財産の調査

相続人の調査・確定と同様に、被相続人の財産の調査・確定も重要です。

相続財産は、土地や建物などの不動産、自動車などの動産、現金や預金、株式や投資信託など、あらゆる資産が含まれます。

気をつけていただきたいのが、相続財産が漏れてしまうことです。

相続財産の漏れがあると、税務署から相続税の申告漏れを指摘される可能性があります。

相続税の申告漏れがあった場合、ペナルティとして過少申告加算税などが課されますので、相続財産の調査・確定についても、できるだけすぐおこなうようにしましょう。

相続財産にマイナス財産が多い場合

相続財産には、プラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金などのマイナスの財産も含まれます。

マイナスの財産が多い場合には、借金を相続することになるので注意が必要です。

借金などのマイナスの財産を相続したくない場合には、後述する限定相続や相続放棄をおこなうと良いでしょう。

ただし、限定相続や相続放棄をおこなう場合には、期限が決められており、期限を超えてしまうと、原則としてプラスの財産だけでなくマイナスの財産もすべて引き継ぐことになります。

そのような事態に陥らないためにも、相続財産の調査・確定も相続人の調査・確定同様に優先的におこなっておきましょう。

遺産分割協議の実施・遺産分割協議書の作成

法定相続人と相続財産の確定が済んだら、相続人全員で相続財産をどのように分割するかを話し合う「遺産分割協議」をおこないます。

遺産分割協議の注意点としては、「相続人全員の合意」が必要な点です。1人でも協議内容に反対する人がいたり、遺産分割協議に非協力的な相続人がいた場合、協議がまとまらない可能性があります。

遺産分割協議は、期限が決まっていないため、被相続人が亡くなった後、数年間に渡って協議が始まらないこともあります。

しかし、協議が遅れてしまえば、相続財産が散逸してしまう可能性や、相続人が増えてしまい、協議をまとめるのが困難になるなど、大きなリスクの発生が考えられるため、できる限り早めに対応することが肝心です。

遺産分割協議書でトラブル防止を

相続においては、相続人同士の利害が対立してしまい、相続手続きがなかなか進まないことがあります。

特に、被相続人が遺言書を残さずに亡くなってしまった場合には、誰が何を相続するかでトラブルとなる可能性が大きいでしょう。

そのような場合、口約束で決めてしまうと余計に問題を複雑にしてしまいます。そこで、遺産分割協議書の作成が重要になります。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意によって相続財産をどのように分けるかを書面で作成して、署名捺印したものです。そのため、遺産分割協議書作成後に、分割協議の内容について「そんなことは言っていない」など、水掛け論になることを防止できます。

また、より確実にトラブルを防止したい場合には、遺産分割協議書を公正証書にしておくことを考えてみるのも良いでしょう。

第三者の公証人が関与して作成されるため、改ざんや変造などによるトラブルが防止できます。

相続人同士でトラブルが生じないと思っていても、遺産分割協議書は作成しておくと良いでしょう。

トラブルが生じる可能性が高い場合には遺産分割協議書を公正証書にしておくと安心です。

単純承認・限定承認・相続放棄の判断

相続の際に、どの程度まで被相続人の遺産を受け継ぐかによって、相続人は「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」から選択する必要があります。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産の両方をすべて受け継ぐことです。

プラスの財産が多い場合は問題ありませんが、マイナスの財産が多い場合は、負債を背負う可能性もあります。

限定承認は、被相続人のプラスの財産の範囲内に限り、マイナスの財産を受け継ぐことです。限定承認は、例えマイナスの財産があった場合でも、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を受け継ぐことになるため、負債を背負う心配がありません。

ただし、限定承認を選択する場合、相続人全員が限定相続を選択する必要があります。

そのため、実際にはほとんど利用されていません。

相続放棄は、簡単に言うと「相続人の地位を放棄する」ことです。

つまり、被相続人のあらゆる財産を受け継がないことになりますので、プラスの財産もマイナスの財産も相続しなくて良いことになります。

相続放棄は、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをおこない、受理されることで相続に関して初めから相続人ではなかったものとみなされます。

限定承認と相続放棄を選択するには、相続が始まったことを知った日から3ヶ月以内におこなわなくていけません。

期限が過ぎると単純承認とみなされるので注意

限定承認と相続放棄を選択する際には期限があることを理解していただけたと思います。

それでは、どちらも選択せずに期限が過ぎてしまった場合、どうなってしまうのでしょうか。

原則として、相続が始まったことを知った日から3ヶ月を経過して、限定承認または相続放棄を選択しなかった場合には、単純承認をしたものとみなされます。

つまり、被相続人の残したプラスの財産とマイナスの財産、両方をすべて相続します。

マイナスの財産がプラスの財産を上回っている場合には、負債を相続することになりますので、期限には注意しておきましょう。

ただし、「特別な事由」がある場合には、期限を超過した場合でも相続放棄が認められることがありますし、限定承認の場合には、相続人の同意があれば期限を超過していても認められることがあります。

準確定申告

被相続人が事業をやっていた場合や、不動産賃貸をおこなっていた場合など、年度の途中で亡くなってしまうと確定申告をおこなえなくなります。

このようなケースでは、相続人が被相続人に代わって確定申告をおこなわなくてはいけません。

被相続人に代わって、相続人が確定申告をおこなうことを「準確定申告」と言います。準確定申告は、相続があったことを知った日から4ヶ月以内に申告と納税をおこなう必要があります。

準確定申告は、言葉が表す通り、確定申告に準ずる形で、被相続人の1月1日から亡くなった日までの所得金額と税額を計算し、申告・納税をおこなうことです。

申告が必要になるのは、被相続人が個人事業を営んでいた場合や、不動産賃貸をおこなっている場合、給与所得が2000万円を超えている場合等です。

準確定申告は、期限が4ヶ月と短い上に、ほかの手続きと比べても手間と時間がかかりますので、早めに準備を進めることをおすすめします。

参考:国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

相続登記の申請

一般的に相続登記とは、被相続人から相続人が受け継いだ不動産について、相続を原因とした所有権移転登記のことを言います。「不動産の名義変更手続き」と考えてもらえれば、分かりやすいかもしれません。

相続登記には特に期限が定められていませんが、登記をそのまま放置した場合、大きなリスクが発生する可能性があることを認識しておいてください。

例えば、相続で取得した不動産を放置したままにしておくと、二次相続、三次相続と相続が生じた場合に、権利関係が複雑化してしまい登記をおこなうことが困難になる可能性があります。

また、2024年4月からは相続登記が義務化され、期限内に登記をおこなわなかった場合にはペナルティが課されます。

このような事態を避けるためにも、遺言や遺産分割協議によって権利関係が確定したら、速やかに相続登記の手続きをおこなうようにしましょう。

参考:法務省 あなたと家族をつなぐ相続登記 ~相続登記・遺産分割を進めましょう~

相続税の申告・納付

相続人は、被相続人の死亡(相続の事実)を知った日から、10ヶ月以内に相続税の申告をしなくてはいけません。

その前提として、期限内に相続税の課税対象となる財産の洗い出しが必要です。

相続が開始されたらすぐに相続財産の調査・確定をおこなっておく理由はここにあります。

先述の通り、相続税には基礎控除額が設定されているため、実際に相続税を支払う必要があるのは、全体の5%程度とされています。

また、基礎控除額以外にも、「配偶者の税額軽減特例」や「小規模宅地等の評価減の特例」などの減額措置や評価方法の特例があります。

基礎控除額を上回った場合でも、これらを活用することで、相続税が課されるのを免れたり、相続税額を大幅に減額できるでしょう。

相続税の計算は、専門家へ依頼しない場合、相続人自身が計算をおこない、相続税の申告の有無を判断することになります。複雑な計算も必要となることがあるので、専門家に依頼するのがおすすめです。

相続税の申告・納付が遺産分割協議がまとまらないことを理由として期限を延長することは、正当な事由として認められないということに注意が必要です。

正当な事由として認められず、期限を超過してしまうことになりますので、無申告加算税や延滞税などのペナルティが科されてしまうことでしょう。

遺産分割協議がまとまらないのであれば、相続税の暫定的な申告・納付をおこなわなくてはいけません。

暫定的なものであっても、期限内におこなうようにしましょう。

遺留分侵害額請求

遺言書に基づいた遺産分割をおこなう場合、ほかの相続人の遺留分を侵害するような内容があったときには、遺留分侵害額に相当する金銭の請求ができます。

これが、遺留分侵害額請求です。遺留分侵害額請求は1年以内におこなわなくてはいけません。

なぜ、遺留分侵害請求は1年以内におこなわなくてはならないのでしょうか。

それは、遺留分侵害請求権が、相続の開始および遺留分が侵害されているのを知った時から1年を経過することで、時効によって消滅するからです。

参考:裁判所 遺留分侵害額の請求調停

また、相続の開始および遺留分が侵害されているのを知らなかったとしても、10年を経過することで遺留分侵害請求権が消滅します。

参考:裁判所 遺留分侵害額の請求調停

実際に、遺留分侵害額請求を行なった際にも注意が必要です。遺留分侵害請求は、侵害された遺留分について、金銭で支払うよう請求する「金銭債権」が発生します。

この場合、金銭債権の消滅時効が適応され、権利行使ができることを知ってから5年が経過すると時効により消滅することになりました。

更に、権利行使できることを知らない場合でも、10年が経過することで権利が消滅するとされています。

遺留分とは、残された家族の生活を保障するため、最低限の相続財産を相続できる権利のことを言います。

例えば、「全財産を、生前身の回りの世話をしてくれた長男に相続させる」というような内容の遺言書を残して被相続人が亡くなったとしましょう。

遺言書通りの内容で相続がおこなわれると、配偶者やそのほかの相続人は、生活の保障がなくなってしまいます。

そこで、配偶者やそのほかの相続人は、遺留分を侵害されたとして、侵害額分の金銭を求めて遺留分侵害額請求をおこなうのです。

同様に、生前贈与によって財産を多く受け取っていた場合にも、遺留分侵害額請求をおこなえます。

ただし、遺言書による遺産分割や、生前贈与によって多くの財産を受け取っていた場合でも、相続人に異論がない場合は、遺留分侵害額請求がおこなわれることはありません。

その他の手続き

相続手続きに付随しておこなっておくべき手続きをまとめてみました。

特に、年金についての手続きに関しては、放置してしまうと罪を問われる可能性がありますので、注意が必要です。

  • 年金受給の停止手続き

年金受給の停止手続きは、被相続人が亡くなったら速やかにおこなうようにしましょう。

厚生年金の場合は、被相続人の死亡後10日以内、国民年金の場合は、14日以内と期限が定められています。

  • 社会保険の資格喪失手続き

年金受給の停止手続き同様、被相続人が亡くなった際には、社会保険の喪失手続きも速やかにおこなうようにしましょう。

国民健康保険や介護保険などに加入していた場合、亡くなった日から14日以内に資格喪失の届出をおこなう必要があります。

亡くなった被相続人が企業に勤めていた場合には、勤務先の総務担当者や採用担当者に5日以内に届出をおこないましょう。

  • 遺族年金の申請・未支給年金の請求

被相続人が国民保険や厚生年金の被保険者であった場合、遺族には遺族年金が支給されます。

ただし、遺族年金は、申請をおこなわない限り、支給が開始されないため注意が必要です。

また、亡くなった被相続人が受け取るはずだった未支給分の年金も受け取れます。

遺族が未支給分の年金を受け取るには、年金事務所などに請求をする必要があります。

遺族年金の申請、未支給年金の請求の期限は5年以内です。

  • 相続税の還付請求手続き

相続税の申告書の内容を見直したところ、減税が可能なことが判明した場合には、払い過ぎた相続税を還付してもらうことが可能です。相続税の還付請求は税務署に対しておこないます。

相続税の還付請求手続きの期限は5年10ヶ月です。

相続手続きに関するよくある質問

相続手続きについて、よくいただく質問にお答えします。

相続手続きは自分でもできますか?

相続手続きは、自分自身の手でおこなうことが可能です。

ただし、手間と時間がかかること、専門的な知識が必要になる場面があることに留意してください。

また、相続税の計算などは、専門的な知識が必要になり、少なく申告してしまうと過少申告加算税などのペナルティが科せられる可能性があります。

相続手続きをスムーズにおこないたい場合には、専門家に依頼することをおすすめします。

相続手続きの期限を守れなかった場合どうなりますか?

相続手続きにおいて期限を守れなかった場合、ご自身が不利になったり、ペナルティが科されることがあるので注意が必要です。

借金(負債)を相続する可能性や相続税の申告・納付の期限超過により、延滞税を課せらる場合があります。

このような事態に陥らないためにも、相続手続きの期限は守るようにしましょう。

その他、相続手続きに関して悩みや不安、疑問がある場合にはサン共同相続相談センターへご相談ください。相続税の専門的な知識を持つ税理士が、丁寧に対応させていただきます。

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まとめ

相続手続きは、何度も経験するものではないので、ほとんどの人は初めての場合が多く、何から始めれば良いのかがわからないでしょう。

特に、遺言書が必ずあるものだと考えていたのに、被相続人が遺言書を残していないというようなケースでは、混乱してしまい手続き自体を進められなくなる可能性もあります。

また、相続手続きを進めていく際には、各手続きに定められた期限を守って進めなくてはいけないものもあります。期限を過ぎた場合には、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課せられるものがあるので注意が必要です。

さらに、相続手続きには専門的な知識が必要となることもあるため、少しでも不安や悩み、疑問点がある場合には、自分自身でどうにかしようとするよりも、司法書士や税理士などの相続の専門家に相談することをおすすめします。

サン共同税理士法人では、相続に関する相談はもちろん、さまざまな税務に関するご相談をお受けしています。少しでも悩みがある際には、ぜひ、ご相談ください。

初回無料のオンライン・メール相談にも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。

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