近年、副業は単なるトレンドを超え、多くの働き手にとって現実的な選択肢となっています。新型コロナウイルスの影響やテクノロジーの進化が働き方を大きく変えるなか、副業は新たな収入源やスキル向上の場として人気です。
しかし副業に対する誤解や未知の部分も多く、多くの疑問を持っている人も少なくありません。「そもそも副業とは何なのか」「どこからが副業で、どうやって始めればよいのか」といった基本的なことから、具体的なメリットやおすすめの職業まで、疑問の内容はさまざまでしょう。
本記事では、副業についての基礎知識から始めて、副業を行うメリットやデメリット、注意点やおすすめの職業といったことを網羅的に解説します。一通り読むことで、副業を始めるために必要な知識が十分に得られるでしょう。
目次
副業とは?
副業とは、本業以外で行う仕事のことを指します。
副業は、多くの人にとって収入を増やし、生活の質を向上させるための非常に効果的な手段です。しかしそれだけでなく、副業は自分自身のスキルセットを広げ、キャリアを多角化する重要なステップでもあります。
副業によって、単一の収入源に依存するリスクを減らし、将来的にさらなる安定した生活を築く土台をつくることが可能です。
日本では、副業が明確に法律で禁止されているわけではありません。そのため本業が終わったあとの時間に副業を行うことは、基本的に本人の自由です。しかし、会社の就業規則で副業が禁止されている場合があり、それを無視して副業を行っていると、発覚したときに何らかの処分が下されるリスクがあることには注意しましょう。
複業や兼業との違い
副業にはいくつかの形態が存在しますが、とくに混同しやすいものとして「複業」と「兼業」が挙げられます。それぞれ異なる特性とニュアンスを持っているため、用語の意味を正確に把握する必要があるでしょう。
「複業」は、ある人が複数の本業を同時に持つ働き方のことです。通常、本業とは一つの主要な仕事を指しますが、複業の場合は定義が少し異なります。たとえば、フリーランスのプログラマーが複数のプロジェクトを手がけている場合や、多角経営をしている起業家の状況は、複業に該当するでしょう。
複業では、隠し事がそれぞれ独立した収入源となるため、1つの仕事が減少したとしても、全体としてのリスクは分散されます。一方で、各仕事に対する責任と時間が必要になるため、高いレベルのタスク処理と時間管理能力が必要です。
「兼業」は、本業とは別に行う副業のことです。サラリーマンが土日に写真撮影の仕事をしたり、公務員が休日にブログを書いて広告収益を得たりするケースが該当します。
兼業は通常、本業が最優先され、その後に続く形で行われるため、副業にかける時間や労力は本業に比べて少なめです。しかしその分、副業で得られる収益も本業と比べて少ないことが多く、多くの場合は生活費の補填や趣味の延長線上で行われています。
このように、複業と兼業はそれぞれに異なる意味を持っており、各々の特性やリスク、メリットをきちんと理解しておかなければいけません。
副業を始める3つのメリット
副業を始めるメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 収入が増える
- 人脈が広がる
- 経験が増える
いずれも本業とうまくかみ合えば、本業での収益アップも期待できる要素です。以下の解説を読んで、詳細を掴んでおきましょう。
収入が増える
副業のもっとも直接的なメリットとして、収入が増える点が挙げられます。本業だけでは収入が限られる場合や、何らかの理由で収入を増やす必要があると感じる人にとって、副業は非常に有効な手段です。
新たな収入源を確立することで、生活の質を向上させるだけでなく、将来に対する安心感も手に入れられます。収入が増えれば、貯金や投資、趣味はレジャーにも余裕を持って取り組めるようになるでしょう。
しかし収入を増やすためには、本業と副業のバランスを適切に取る必要があります。本行に支障をきたさない範囲で副業を行うことは大前提です。
また、副業にどれだけの時間と労力を割くか、目的に応じて計画的に活動を展開することが成功のカギとなります。自分が何を得たいのか、どれだけの時間を副業に費やせるのかを明確にし、どの副業が自分に合っているかを慎重に判断することが重要です。
人脈が広がる
副業を始めることで得られる大きなメリットの1つとして、人脈が広がることが挙げられます。本業の活動のみでは接触する機会がなかった、多様な職種や業界の人々と関われるかもしれません。
新しい人脈は、ビジネスの機会を増やすだけでなく、多角的な視点や知識、スキルを身につけるチャンスです。たとえば、他業種のプロフェッショナルとコミュニケーションをとることで、新しいビジネスのアイディアが生まれたり、特定の問題を解決するための独自の方法を学べたりするかもしれません。
また長期的な視点で考えれば、多くの人とのつながりはキャリア全体を通じての成功にも寄与します。良好な関係を築くことができれば、推薦や紹介によって、本業にも関わる重要なビジネスパートナーを見出せるでしょう。
人脈を広げることは、短期的な収益だけでなく、長期的な成功にもつながる大きな要素といえます。
経験が増える
副業は、新しいスキルや知識を身につける絶好の機会でもあります。とくに、本業とは異なる分野で副業を行うことで、多様な経験と能力を積むことが可能です。
副業による経験は、本業においても非常に有効であり、より多角的なスキルを持つことで仕事の効率化やプロフェッショナルとしての価値を高められます。新しい経験をすることで、自分自身の能力や興味、強みと弱みをより深く理解する機会も得られるでしょう。
たとえば、マーケティングのプロフェッショナルがプログラミングの副業を始めた場合、そのスキルはマーケティング活動においても有効に活用できる可能性があります。分析を行うための簡単なプログラムを自分で組むことができるようになるからです。
ただし、新しいスキルを学ぶには時間と労力が不可欠となります。本業と副業、学びたい新しいスキルとのバランスを適切に取ることが、副業で得た経験を最大限に活かすためには大切です。
副業を始める際の4つのポイント
副業を始める前に考慮すべき重要なポイントとしては、主に以下の4つが挙げられます。
- 会社が副業を許可しているか確認する
- 副業にかける時間をあらかじめ決めておく
- 領収書やレシートを捨てずに保管しておく
- 体調管理をしっかり行う
いずれも重要な要素ばかりなため、以下の解説はきちんと読んでおいてください。
参考:企業も労働者も安心して副業・兼業に取り組むために|厚生労働省
会社が副業を許可しているか確認する
最初に確認すべきことは、自分の本業の会社が副業を許可しているかどうかです。
企業によっては副業を禁止している場合もあり、ルールを破って副業を行った場合、厳重処分を受けるなど重大な問題につながる恐れがあります。最悪の場合は、本業を失ってしまうかもしれません。
副業が許可されているかどうかを確認するには、まず社内規定や労働契約書をチェックしましょう。念を押すのであれば、採用担当部門や上司と直接コミュニケーションを取るのも有効です。
また、会社が副業を許可している場合でも、範囲や条件が明文化されている可能性があります。たとえば、競合する業種での副業が禁止されている、あるいは一定の報告義務がある、といったことをチェックしましょう。
上記の点をしっかりと確認しておくことが、トラブルを避けるための第一歩です。
副業にかける時間をあらかじめ決めておく
副業にどれだけの時間を投資するかを、あらかじめ計画しておくことも大切です。時間の観念が明確でないと、本業やプライベート、さらには健康にまで悪影響を及ぼす恐れがあります。
時間管理は副業成功のカギともいえる要素であり、とくに本業が忙しい場合や家庭の事情で時間が限られている場合は、なおのこと重要です。
単に副収入が増えただけでは、副業が成功したとはいえません。本業や家庭生活、自分自身を犠牲にせずきちんとバランスを保った生活を送れているかどうかも、副業が成功しているかどうかの大きな指標となります。
バランスを保った生活を送るには、副業にかける時間を明確に設定し、それを厳守する習慣を身につけることが大切です。時間設定が困難であれば、タイムマネジメントの書籍やツールを参考にし、効率的な時間の使い方を学ぶのも1つの方法でしょう。
領収書やレシートを捨てずに保管しておく
副業を始めたら、経費となる可能性のある領収書やレシートは捨てずに保管しておきましょう。後に確定申告を行う際に経費を計上することで、所得税の負担を軽減することが可能です。
たとえばインターネットを使って副業を行う場合、Webサービスの利用料や必要な機材の購入などが必要となるでしょう。これらの領収書やレシートをしっかりと整理・保管しておくことで、確定申告の際にスムーズに処理が進みます。
保管方法としては、スキャナーで電子データにしてクラウドストレージで保存する方法などが基本です。電子帳簿保存法の改正により、2024年からは、電子データとして受け取った領収書は一定の条件を満たす形で電子データのまま保管しておくことが義務付けられます。この点にも注意してください。
体調管理をしっかり行う
体調管理もまた、副業を始める際には非常に重要な要素です。
副業による収入増やスキルアップに夢中になり、自らの健康を犠牲にしてしまうケースが少なくありません。しかし健康が万全でなければ、長期的には本業も副業も続けられなくなってしまいます。健康はすべての活動の基盤であり、管理を怠ると多くの面で悪影響を受ける恐れがあるといえるでしょう。
副業に取り組むうえで考慮すべき体調管理のポイントは、いくつかあります。まず適度な休憩と睡眠を確保することは、基本中の基本です。過度な労働は免疫力の低下を招き、病気を引き起こす原因となります。
次に適度な運動も重要です。1日中デスクワークに専念していると、体の柔軟性が失われ、肩こりや腰痛などの問題が起こりやすくなります。運動をすることで、心地よい疲れを感じ、質の高い睡眠を得られるでしょう。
適切な食事も忘れてはいけません。忙しいとつい食事をおろそかにしてしまいますが、バランスの取れた食事はエネルギーの供給源であり、精神的な安定にも寄与します。とくに副業で夜遅くまで作業する場合、適度な食事のタイミングと栄養バランスを考える必要があるでしょう。
体調管理を怠ると、本業のパフォーマンスにも影響を与え、最悪の場合はどちらも維持できなくなってしまう恐れもあります。健康を第一に考えて副業に取り込むことが、持続可能な成功には不可欠です。
おすすめの副業10選
副業を始めるにあたって、何をすればよいのか迷っている人も多いでしょう。ここでは高収入が期待でき、スキルも磨けるおすすめの副業を10個紹介します。
- プログラミング
- Webライター
- Webデザイナー
- 動画編集
- ブログ・アフィリエイト
- データ入力
- ハンドメイド作品販売
- メルカリせどり
- 投資
- 単発のアルバイト
それぞれ性質が異なるため、以下の解説を参考にして、自分に合った職業を探してください。
プログラミング
プログラミングは、現代のビジネス環境で非常に高い需要があるスキルです。Web開発やアプリケーション開発、データ分析など多岐にわたる分野で活躍できます。
プログラミングの最大のメリットは、場所に縛られずに働ける点です。インターネットがつながっていれば、世界中どこからでも作業ができます。また、スキルが高まれば高まるほど、収入も比例して増加する点もメリットです。
しかし、まったくの初心者がプログラミングを始めるのは、それなりにハードルの高い行為ではあります。複雑なプログラミング言語を1から学ぶ必要があるうえ、最初は時間をかけても報酬が低い場合もあるからです。
とはいえ、一度スキルが身につけば、多くの企業やプロジェクトで需要があり、安定した収入源となるでしょう。
Webライター
Webライターは、オンラインコンテンツの制作に関わる仕事です。記事作成・ブログ投稿・ソーシャルメディア用のテキスト作成など、さまざまなタスクがあります。
Webライターの最大のメリットは、特別なスキルや高度な専門知識が必須ではない点です。基本的な文章を作成する能力と、特定のテーマや業界に対する知識があれば、比較的簡単に始められます。自宅やカフェ、外出先など、場所にとらわれることなく働けるのも魅力的なポイントでしょう。
ただし、品質の高い記事を書くためには、リサーチ能力と執筆スキルが求められます。多くの場合、最初は1記事あたりの報酬は低めですが、スキルと実績が積み重なると、徐々に高額な案件を受注することも可能です。
Webデザイナー
Webデザイナーは、Webサイトやアプリケーションのデザインを担当する仕事です。この分野では、美的センスとソフトウェアを操るスキルが求められます。具体的には、PhotoshopやIllustratorといったグラフィックソフトの使用経験、HTMLやCSSの知識などが必要です。
Webデザイナーのメリットは、専門的なスキルを活かして高収入を得られること。優れたデザイナーには高額な報酬が支払われることも少なくありません。フリーランスとしての活動も多く、時間や場所に縛られずに働くことが可能です。
ただし、競争が激しく、更新されるテクノロジーに常に追従しなければならないため、常に勉強し続ける姿勢は必須となります。
動画編集
動画編集は、広告・映画・YouTubeなど、多くのプラットフォームで需要があります。動画編集の仕事は、編集ソフトウェアを用いて映像や音楽、テキストなどを組み合わせ、1つの動画を作成するものです。とくにYouTubeの影響力が増す現代では、動画編集のスキルは非常に価値のあるものとなっています。
動画編集は、創造性が発揮できると同時に技術力も磨ける仕事です。スキルアップに比例して、多くの収入を得ることができるでしょう。フリーランスとして活動している人も多く、柔軟な働き方が可能です。
ただし、高単価な案件には高度な編集スキルとセンスが求められるため、収入を上げたい場合には、常にスキルを磨き続けることが不可欠となります。
ブログ・アフィリエイト
ブログやアフィリエイトは、特定の商品やサービスを自分のブログやWebサイトで紹介し、売れた場合に収益を得るビジネスモデルです。ブログやアフィリエイトの一番の魅力は、一度資産としてのコンテンツを作成してしまえば、継続的に収入をもたらす点にあります。
ブログやアフィリエイトには、SEO(検索エンジン最適化)に基づいて質の高い記事を書く能力が必須です。成功するためには市場リサーチと独自の支店が不可欠で、専門知識があればさらに有利となります。
しかし、収入が安定するまでに時間がかかる場合も多く、確実な収益を求めるのであれば他の副業と併用するのが一般的です。とはいえ収入が安定すれば、それだけで生活を立てることも十分に可能となります。
データ入力
データ入力はその名の通り、データをコンピューターシステムに入力する仕事です。データ入力の仕事は広く、多くの業界で必要とされています。一見単純に見えますが、正確性と速度が求められる大切な仕事です。
データ入力のメリットとしては、基本的なPCスキルがあれば誰でも始められることが挙げられます。リモートワークが可能な案件も多く、場所を選ばず働くことが可能です。
一方でデメリットとしては、単調な作業が続くことが多く、精密な作業が求められるため、集中力と忍耐力が必要になることが挙げられるでしょう。
ハンドメイド作品販売
ハンドメイド作品販売は、自分で作ったアート作品や工芸品などを、オンラインやリアルのマーケットで販売する活動です。自分自身の創造性や技術を活かして収益を上げることができる、大変魅力的な仕事といえるでしょう。SNSやWebサイトを活用することで、個人でも広く作品を販売することが可能です。
ハンドメイド作品販売のメリットとしては、自分の趣味や特技を生かして収益を得られることが挙げられます。製作から販売まですべて自分でコントロールできるため、柔軟な働き方が可能です。
デメリットとしては、材料費や出品料、販売手数料など、初期費用やランニングコストがかかる場合があることが挙げられるでしょう。作品が売れるかどうか不確定である点も、これは必要です。
しかし一度人気が出れば、安定した収益を得ることも十分可能となります。
メルカリせどり
メルカリせどりとは、フリーマーケットアプリ「メルカリ」を利用して、低価格で商品を購入し、高価格で再販売するビジネスモデルのことです。多くの人がこの方法で副収入を得ています。
メルカリせどりの魅力は、初期費用が低く、自宅で気軽に始められることです。また自分自身で市場調査を行い、価格を設定するため、ビジネスの基本的なスキルを身につけられます。
ただし、商品の仕入れ先選び・価格設定・商品説明の作成など、多くの作業が必要です。ほかの出品者との競争も激しく、高い利益を上げるためには市場のトレンドを常に把握しておく必要もあります。
大きな損失を被るリスクが少なく、成功した場合のリターンが大きいのがメルカリせどりの特徴です。
投資
投資とは、資産を増やすために株・債権・不動産などに資金を投じる活動を指します。投資の大きな魅力は、本業とは独立して資産を増やせる可能性がある点です。とくに長期間にわたって積み重ねることで、資産が複利で成長していくメリットがあります。
しかし、投資にはリスクがつきものです。株価の変動・不動産の価格下落・金利の変動など、多くの不確定要素が存在することを忘れてはいけません。投資を始める前にはしっかりとリスクを理解し、自分自身でリスク管理を行う必要があります。
初心者の場合は、少額から始める、専門家のアドバイスを求めるなど、慎重なステップを踏んでいきましょう。
単発のアルバイト
単発のアルバイトとは、1回限りまたは短期間で行われるアルバイトのことです。たとえば、イベントスタッフ・引っ越しの手伝い・清掃作業などが該当します。
単発のアルバイトの大きな魅力は、柔軟性が高いことです。特定のスケジュールや時間帯に縛られることなく、自分の都合にあわせて働けるのは魅力的なメリットといえるでしょう。また、給与がその日または短期間で支払われるため、急な出費があった場合や短期間で収入を得たいと考えている人にとっては、非常に有益です。
種類の異なる多くのアルバイトを経験することで、多角的なスキルや知識を身につけることも期待できるでしょう。
デメリットとしては、安定した収入が期待できないことや、長期的なキャリア形成につながりにくいことなどが挙げられます。単発のアルバイトを選ぶ際には、自分のライフスタイルや将来の目標にどれだけ合致するかをしっかり考慮する必要があるでしょう。
副業を始める3つのデメリット
副業には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。代表的なのは以下の3つです。
- 確定申告など法律上の手続きが必要になる場合がある
- 時間や体調の管理が難しくなる
- 本業が疎かになる恐れがある
順番に見ていきましょう。
確定申告など法律上の手続きが必要になる場合がある
副業で得た所得が20万円を超えた場合には、所得税の対象となります。該当する場合には、本業の給与の年末調整とは別に、翌年の2月16日から3月15日までの間に、管轄の税務署に確定申告をしなければいけません。
確定申告の方法には、白色申告と青色申告があります。青色申告は一定の要件を満たすことで、最大65万円の特別控除が得られるなど、税制面のメリットが大きい仕組みです。しかし引き換えに、複式簿記で帳簿付けをする義務や、各種書類の厳しい保管義務があることなどに注意が必要となります。
また住民税に関しては、副業の所得が20万円以下であっても申告しなければいけません。住民税の申告先は、市区町村の役所・役場です。
納税の義務を怠ると、追徴税を支払わなければならないなどのペナルティが課せられます。税金についてはきちんと把握し、しかるべき行動を取りましょう。
時間や体調の管理が難しくなる
副業を始めると、生活が多忙になるのは避けられません。本業の仕事時間とは別に、副業でもしっかりと成果を上げるためには、当然ながらその分だけ時間とエネルギーが必要となります。結果として多くの人が、時間と体調の管理に苦労しがちです。
とくに本業と副業の繁忙期が同時に訪れた場合に問題となります。繁忙期に体調を崩してしまうと、両方の仕事に影響が出るかもしれません。最悪の場合は、本業と副業が共倒れになってしまい、むしろ収入減を呼んでしまう恐れもあります。
体調管理の問題を未然に防ぐには、事前にしっかりとした計画を立てることが不可欠です。自分が1日に副業に費やせる時間、週末や休日をどれだけ活用するかなど、具体的な時間配分を考える必要があるでしょう。
さらに、十分な睡眠時間を確保し、栄養バランスの良い食事を取ることも大切です。定期的な運動やリラクゼーションも考える必要があり、ここにも計画性が求められます。
本業が疎かになる恐れがある
副業の魅力に惹かれ、気がつけば本業を疎かにしているケースも少なくありません。もともと自分の性質にあわせて選んだ副業であるがゆえに、成果が上がってくると、楽しくなってくるあまり、自然と副業に重きを置くようになる人が多く見られます。
しかし、副業に没頭するあまり本業に割く時間が減ってしまうと、本業のパフォーマンスに悪影響が出るかもしれません。長期的に考えれば、本業での評価が下がることは、キャリアにとって悪影響なのはいうまでもないことでしょう。
本業が疎かになることを防ぐためには、本業と副業のバランスをしっかりと取る必要があります。定期的に自己評価を行い、本業と副業のどちらもないがしろにすることのないよう、生活態度を調整することが大切です。
また仕事だけでなく、プライベートな時間も大切にしながら、総合的なライフバランスを考慮する必要もあるでしょう。
企業が副業を禁止にしがちな3つの理由
企業が副業を禁止にしがちな理由としては、主に以下の3つが挙げられます。
- 従業員の長時間労働につながる
- 労働時間を管理できなくなる
- 情報漏洩のリスクがある
いずれも企業側からすれば深刻な問題です。以下の解説を読んで把握しておきましょう。
従業員の長時間労働につながる
副業を許可することで、従業員が長時間労働に陥り、業績や生産性、従業員自身の健康に悪影響を与える恐れがあることを、企業は気にしています。日本はすでに長時間労働が社会問題となっている国であり、副業が加わることで、問題がさらに悪化する可能性があるからです。
たとえば多くの企業では、プロジェクトが急に変更されたり、緊急の仕事が発生したりすることがあります。そのような状況で従業員が副業に時間を使っていた場合、本業の業績に大きな影響を及ぼすリスクが考えられるでしょう。
長時間労働が続くと、従業員の精神的・物理的健康は必然的に低下します。長時間労働はワークライフバランスを崩すことになり、最終的には従業員の離職につながる可能性も、企業としては考慮しなければいけません。
企業は従業員が本業に全力を尽くせるよう、副業を制限するか完全に禁止する方針を取る場合があります。
労働時間を管理できなくなる
副業が許可されると、企業は従業員の労働時間を正確に把握・管理することが非常に困難になる可能性があります。とくに柔軟な勤務体系やリモートワークが普及している現代においては、さらに顕著です。
たとえば従業員が自宅で副業をしている時間と、本業のために使われる労働時間の合計が不明確だと、健康リスクの管理が難しくなります。従業員の労働時間がわからないと、法的な基準に照らして適切な労働環境を確保しなければならないといった、企業の法的責任にも影響を及ぼしかねません。
もし従業員の副業が巡り巡って労働基準法違反につながるようなことがあれば、企業の社会的信用が失墜してしまうことになり、大きな打撃を受けるでしょう。
このようなリスクが絡むため、労働時間の管理が困難になるという理由から、多くの企業は副業を厳しく制限、もしくは禁止しています。
情報漏洩のリスクがある
副業を許可すると、企業は機密情報が外部に漏洩するリスクに直面する恐れが高まります。従業員が外部の組織や他の企業で働くとき、そこで使用される情報が、本業の企業においては機密情報に該当することもあり得るからです。
とくに、従業員が本名と関連性の高い業界で副業をしている場合、リスクは顕著なものとなります。
たとえばマーケティング関連の仕事で本業と副業を行っている従業員が、同じ市場調査データを両方の仕事で使用する可能性があると、データが本業の企業から外部に漏洩する危険性が高まるでしょう。
情報漏洩は、企業に対する顧客の信頼を大きく損なうだけでなく、契約違反や法的な問題にもつながる可能性があります。企業の評価を低下させ、ビジネスそのものに悪影響を及ぼすことになるでしょう。
以上のリスクを総合的に考慮し、企業は情報管理の観点から、従業員に対して副業を制限、あるいは完全に禁止する方針を取るケースが多く見られます。
副業についてお悩みならサン共同税理士法人へ
副業には多くの魅力がありますが、実際に始めようとすると、多くの複雑な問題に直面します。とくに税金の問題など、法的な手続きには細心の注意を払わなければいけません。
本業が副業に与える影響・時間管理・疲労の蓄積なども、少なからず考慮すべき要素です。副業で成功を収めるには、これらの多くの要因を同時に管理し、調整するスキルが求められます。うまく制御できず、副業に挫折してしまう人も少なくありません。
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サン共同税理士法人では、副業を始めるにあたっての税金の問題など、業務そのものとは関係ない煩雑な作業についてのご相談を常に承っております。お客様が本当にやりたいことに専念できるよう、「必要だけれども面倒な作業」について、税金のプロフェッショナルという立場から最大限のサポートを提供可能です。
初回相談は無料となっておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。
副業に関するよくある質問
副業を始めようと考えた場合、多くの疑問や不明点が浮かぶことでしょう。ここでは、副業に関するよくある質問に回答していきます。
- 副業・兼業の促進に関するガイドラインとは?
- 副業・兼業の促進に関するガイドラインとは、本業以外の仕事をしたいと考えている人が安心して取り組めるよう、厚生労働省が労働時間管理や健康管理について示したものです。副業を行っている従業員に対して、企業がどのような対応を取るべきかといった指針が記されています。
ガイドラインは2018年1月に策定され、その後2度にわたって改定されました。改定されるごとに、従業員が副業しやすい方向に内容が変化しています。
現在のところ国は副業を積極的に推奨しているため、ガイドラインの内容は副業をしたいと考えている人にとっては有利な情報です。以下にリンクを示しておくため、チェックしておきましょう。
- 公務員が副業をする方法はありませんか?
- 公務員の副業を考慮する際には、非常に慎重な検討が必要です。多くの場合、公務員は業務規定や倫理規定によって副業が制限されています。しかし制限の内容は職種や地域、所属する機関によって異なることに注意してください。
最初に行うべきは、自身の所属する機関の規則やガイドラインを確認することです。どのような副業が許可されているのか、あるいは許可されていないのかの明確な理解が得られるでしょう。
公務員の場合、機密情報に触れる可能性が高いため、情報漏洩のリスクを厳重に考慮する必要があります。公務員としての中立性を保つためにも、政治的な活動や特定の団体との関わりといった、倫理的に問題のある行動は避けるべきです。
公務員が副業をする場合は、上記のような問題をきちんと考慮し、職務遂行能力に影響を与えないかを総合的に判断しながら進めるべきでしょう。事前にしっかり調査と準備を行い、必要であれば上司や法務部門と相談することも大切です。
副業に関するまとめ
副業は多くのメリットを提供するものですが、同時に慎重な検討と計画が必要不可欠です。
収入の増加・人脈の拡大・多様な経験の積み重ねは、副業の魅力的な側面であり、多くの人々が副業に興味を持つ理由となっています。しかし、副業を始める前には、自身が所属する会社の副業に関するポリシーを確認し、どれだけの時間とエネルギーを副業に割けるかを明確にする必要があるでしょう。
また確定申告や税金、体調管理といった、副業が成功するための裏側にも目を向ける必要があります。これらの側面を怠ると、本業や健康に悪影響が出るかもしれません。
副業について疑問や課題がある場合は、専門家のアドバイスを求めることも1つの方法です。弊社・サン共同税理士法人でも、副業を始める際のさまざまな問題について、常にご相談を承っております。
本記事を参考にして、ぜひご自身の人生にうまくフィットする形で副業を取り入れてください。
2008年5月よりデロイト トーマツ税理士法人GES部門に勤務し、海外拠点を多く持つ日本・海外企業に対する国際人事異動に関するアドバイザリー業務などに従事。
2011年11月、ビジネスタックスサービス部門に異動し、約9年間勤務。マネジャーとして国内上場企業や外資系企業の税務コンサルティング業務及び税務コンプライアンス業務、税務顧問及び業務効率化提案などを行ってきた。
2020年12月、約12年間マネジャーとして勤務したデロイト トーマツ税理士法人を退職。
2021年1月にサン共同税理士法人に参画し、同月、横浜オフィス所長に就任。