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定款とは?会社設立に必要な定款に記載する内容や手続きを解説

定款とは

会社を設立するときに、作成しなければならないのが定款です。定款とは、会社の根本原則を記した書類のことで、記載内容は、会社法で定められています。定款を作成したら、本社住所地が管轄する公証役場での認証手続きが必要です。認証手続きを経て初めて法的効力が発生します。

定款のフォーマットは、会社の株式譲渡制限や取締役会の設置など、一定の要件により種類が分かれています。しかし、フォーマットを使用しても、記載事項が多く、各事項の内容を理解するのに時間がかかるのではないでしょうか。

そこで本記事では、定款の意義、保存期間や詳細な記載項目を解説します。最後に、定款を正確かつスピーディーに作成する方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

※この記事は、弊社のコンテンツガイドラインに基づき作成されています。

定款とは?

定款とは、会社の根本原則を記した書類です。”会社の憲法”と呼ばれるほど重要な書類で、会社を設立するときに、作成が義務付けられています。読み方は「ていかん」です。定款は、発起人全員が話し合いのうえ作成し、全員の署名または記名捺印が必要です。

定款に記載する内容は、会社法で定められています。記載項目は、会社の名前や事業の目的などに加えて、株式の譲渡に関する取り決めなど、事業運営に必要な項目です。規定の記載項目がそろっていれば、特定のフォーマットなどはありません。

以前の定款は、紙で作成し、ファイリングして保存するのが主流でした。しかし、電子化の流れに伴い、PDFで作成し、電子署名及び電子押印するケースが増えています。

 

定款はいつまで保存すべき?

定款の内容を記したあとは、管轄の公証役場で定款認証の手続きが必要です。定款認証は、正式な手続きを踏んで定款が作成されたことを、公的機関に証明してもらうために行います。定款認証の手続きをしなければ、定款に法的効力はありません。

定款認証の手続きは、会社が設立するときのみ必要です。紙による定款の場合、3通の原本を作成し、公証役場で認証を受けます。認証された定款は、1通を公証役場が保管し、もう1通は会社内で発起人が定めた場所に保管しなければなりません。

最後の1通は、法務局で設立登記の申請時に提出します。公証役場の保管期間は、公証人法施行規則第27条により、20年間です。一方、会社の定款は、会社が存続している限り責任を持って保管しておきます。

 

定款の提出が求められる場合の対処

定款の提出を求められたら、原本証明を付けた定款のコピーを提出します。定款は、会社にとって憲法と呼べるほど重要な書類です。会社に保管している定款は、株主や債権者などからの求めにより、閲覧できるようにしておかなければなりません。そのため、むやみに外部へ持ち出すのは望ましくありません。

原本証明とは、提出している定款が本物と証明するものです。原本証明を行う場合は、必要な部分をコピーし、最後の部分に原本と相違ないことを証明する旨と、日付や代表者名などを記載し押印します。

定款の提出を求められる場面は、以下のような場面です。

  • 金融機関で法人口座を開設する
  • 銀行で大口融資を受ける
  • 貸金庫の契約をする
  • 国や都道府県の許認可申請
  • 助成金や補助金の申請

会社を運営するには、幾度となく定款を提出する機会があります。持ち出しは厳禁です。コピーに原本証明を付ける方法を覚えておきましょう。

 

定款に記載する内容

定款に記載する内容は、会社法で定められています。大きく分けて3つです。

  • 絶対的記載事項
  • 相対的記載事項
  • 任意的記載事項

絶対的記載事項は、定款に記載しなければいけない項目です。相対的記載事項は、定款へ記載すれば法的に効力が発生するため、もし規定したい内容があれば、記載事項と捉えておくべきでしょう。

任意記載事項は、定款に記載しなくとも、ほかの書類に記載すれば法的効力が発生します。定款の変更は、株主総会の承認が必要です。頻繁に変更する項目を定款へ記載すると煩雑なため、検討のうえ記載事項を決めるとよいでしょう。

 

絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、定款に書かなければならない事項です。具体的には、5項目あり、会社法第27条で定められています。

  • 事業の目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 資本金の額
  • 発起人の氏名と住所

絶対的記載事項に漏れがあったり、記載内容に違法性が認められたりする場合は、定款が無効になります。当然ながら、定款認証も受けられません。項目ごとに注意点があるので、事項以降の内容を確認しながら内容を取り決め、作成していきましょう。

 

事業の目的

事業の目的は、会社が行う事業内容を記載する項目です。取引の安全性を確認するために書きます。記載の際は、下記の3点に沿った内容を記載するのがルールです。

適法性
  • 違法性がない事業であること
  • 許認可が必要な事業は該当事業を記載する
営利性
  • 利益をあげられる内容であること
  • ボランティアなどは非営利目的の事業は事業目的として不適切
明確性
  • 言葉の意味が明確で、誰が見ても分かりやすい内容であること
  • 新語や専門用語は使用せず、誰が見ても分かりやすい内容を記載する

事業の実態が分かることで、投資家や取引先からの信頼が得られるでしょう。

 

商号

商号とは、会社名のことです。商号に関するルールは、6点です。

  • 名前の前後どちらかに「株式会社」を付ける
  • 利用可能な文字と符号を使用する
  • 同じ住所に同じ商号は使用不可
  • 銀行・生命保険・信託など、法令により制限された商号は使用不可
  • わざとほかの会社と誤認する名前は使用不可
  • 公序良俗に反する商号の使用は不可

なかでも、同じ住所に同じ商号が使用できないルールは、シェアオフィス・マンションの一室などで会社を立ちあげる際に、起こりえます。似た商号や住所地の商号は、法務省の「オンライン登記情報検索サービス」で検索可能です。事前に調べておきましょう。

また、商号に利用できる文字と符号は以下のとおりです。

文字
  • 漢字
  • ひらがな
  • カタカナ
  • ローマ字(大文字・小文字)
  • アラビア数字(0,1,2,3,4,5,6,7,8,9)
符号
  • &(アンパサンド)
  • ’(アポストロフィー)
  • ,(コンマ)
  • ‐(ハイフン)
  • .(ピリオド)
  • ・(中点)
    ※会社名の先頭あるいは末尾は使用不可

商号は、事業内容が伝わりやすいもの、ビジョンや経営理念を使ったものなど、さまざまな付け方があります。ルールに則り、しっかり検討してから定款に記載しましょう。

参考:法務省 オンライン登記情報検索サービス

 

本店の所在地

本店の所在地とは、登記申請するときの住所です。複数の拠点を構える場合は、本社の場所にあたります。本店の所在地は、実際に事業が行われていなければなりません。シェアオフィスや賃貸契約などの場合は、登記に使用してよいか否かを確認する必要があります。

また、定款に記載する所在地は、市区町村など、小さな行政区画までの記載に留めることが可能です。たとえば、本当の住所が「東京都港区南青山1-1-1」の場合、定款は「東京都港区」と省略して記載できます。

 

資本金の額

資本金とは、会社を運営するにあたって、元手となる資金のことです。資本金の金額により、事業の運営に影響を及ぼす場面があります。主に4つの場面です。

  • 取引先を選定するときの与信調査
  • 銀行からの借入限度額の審査に影響
  • 投資家から会社の体力として見られる
  • 資本金を基準とした税制がある

会社法では、1円から会社の設立が認められています。定款に記載する資本金の金額は、株主の出資金額や会社の設立までに出資した金額を参考に、取り決めましょう。

 

発起人の氏名と住所

発起人とは、会社を設立するときに、資本金の出資や定款の作成に携わった人を指します。万が一、会社に損失が発生したら、相応の責任を伴わなければなりません。定款には、発起人の氏名と住所の記載が必要です。

発起人に要件はないため、子どもや法人も発起人になれます。人数制限もないため、複数人を発起人にすることも可能です。発起人が複数の場合、定款へは全員分の氏名と住所を記載しなければなりません。会社が設立したあとは、出資した金額に応じて株式が発行され、株主となります。

 

相対的記載事項

相対的記載事項とは、定款へ記載していない場合に、法的効力を発生しない項目のことです。定款に書かなければいけない事項ではありません。相対的記載事項に書く項目は、会社法で「定款に定められる」旨を条文ごとに記載しています。

主な項目は、以下のとおりです。

  • 株式の譲渡制限に関する定め(会社法140条5項)
  • 株主総会の招集通知を出す期間の短縮(会社法299条1項)
  • 役員の任期の変更(会社法332条から338条)
  • 株券を発行する定め(会社法214条)
  • 変態設立事項(会社法28条)
  • 設立時取締役及び取締役選任の累積投票廃除(会社法89条、342条)
  • 取締役、会計参与、監査役、執行役及び会計監査人の責任免除(会社法426条)
  • 社外取締役、会計参与、社外監査役及び会計監査人の責任限定契約(会社法427条)
  • 取締役会を設置した会社における中間配当の規定(会社法454条5項)

本章では、なかでも特に重要と思われる4つの項目について解説します。

 

株式の譲渡制限に関する規定

株式の譲渡制限に関する規定とは、株式の譲渡を容易にできなくする規定です。本規定は、会社法140条5項で定められています。会社を設立してから、頻繁に株主が変わっては、会社の運営に支障をきたしかねません。

そこで、定款に「株式を譲渡により取得するためには、株主総会(取締役会)の承認を受けなければならない」と規定し、株式の譲渡制限をかけます。なお、取締役会のある会社では「取締役会の承認を受ける」旨の記載が必要です。

 

株主総会の招集通知を出す期間の短縮

株主総会の招集通知を出す期間は、会社法299条で決められています。しかし、定款で定めれば、株主総会の招集通知を出す期間の短縮が可能です。通常の期間は以下のとおりです。

  • 定款に株式の譲渡制限がない会社=株主総会の開催2週間前まで
  • 定款に株式の譲渡制限がある会社=株主総会の開催1週間前まで

定款に記載する場合は「招集通知は、会日の●日前までに発送する」と日数まで明確に記載します。また「投票が必要な場合は、2週間前までに発送」など、条件を指定した規定も記載可能です。

 

役員の任期の変更

役員の任期は、会社法332条から338条で定められています。しかし、非公開会社の場合は、定款で任期を規定すれば、最長10年まで変更が可能です。定款の定めにより、任期を短縮できる役職もあります。役員の任期と定款の定めは以下のとおりです。

役職 取締役 会計参与 監査役 会計監査人
会社法の任期 2年 2年 4年 1年
伸長可能な任期 10年 10年 10年 伸長不可
定款による短縮 可能 可能 不可 不可

監査役は、任期の短縮ができません。しかし、定款の規定により、任期が満了する前に退任した監査役の補欠として選任された場合は「退任した監査役の任期満了まで」に短縮が可能です。

 

株券を発行する定め

株券とは、出資者に対して発行する有価証券のことです。定款で株式の発行を定めることで、株式を発行できます。会社法では、定款で定めない限り、株式を発行しない「株式不発行会社」という位置づけです。

ただし、株式不発行会社でも、株式の譲渡ができます。株券紛失のリスクや手間などを考え、株主が少ない場合は、定款に定めない選択も可能です。株券発行のメリットとデメリットを比較し、会社に合う方法で定めましょう。

 

任意的記載事項

任意的記載事項とは、定款に記載しなくてよい事項です。定款に記載した事項のうち、絶対的記載事項と相対的記載事項以外の部分は、任意的記載事項にあたります。任意的記載事項は、定款に定めてなくとも、ほかの文書で法的効力が発生する事項です。

任意的記載事項には、以下のような事項があります。

  • 株主総会の開催規定(会社法296条1項、310条、315条)
  • 役員報酬に関する事項(会社法361条1項)
  • 事業年度(会社法296条1項、会社計算規則59条2項)

 

株主総会の開催規定

株主総会とは、会社の経営方針や管理などに関する事項を決議する会議です。株主総会の開催に関する事項は、主に3点の項目を定款で規定します。

  • 定時株主総会の招集時期(会社法296条1項)
  • 株主総会の議長(会社法315条)
  • 議決権の代理行使(会社法310条)

定時株主総会の招集時期は、会社法に明確な定めがありません。しかし、会社法124条2項で、基準日時点の株主が議決権を行使できる期間は、3ヶ月以内と定められています。そこで、定款に記載する定時株主総会の招集時期は、基準日から3ヶ月以内とするのが原則です。

議長の選定は、議長となる取締役の選定や、欠席の場合の選定順序などを定款に記載します。議決権の代理行使は、会社法310条で規定された権利です。定款には、代理人の人数と資格を定められます。代理人の資格とは、株主など、代理人になりえる範囲のことです。

 

役員報酬に関する事項

役員報酬に関する事項は、会社法361条で「定款に定めていないときは、株主総会の決議によって定める」旨の記載があります。役員報酬に関する規定項目は以下の通りです。

  • 報酬の金額
  • 報酬の金額が定められていない場合は算出方法
  • 報酬が株式など金銭でない場合の具体的な内容と上限数

報酬の金額を定款へ明記してしまうと、報酬を変更の都度、定款の変更が必要となります。定款の変更には、株主総会の承認が必要です。そこで定款へは「報酬は、株主総会の決議により定める。」と記載するケースが多く見られます。

 

事業年度

事業年度とは、決算書を作成する対象となる期間のことです。定款には、会計年度と事業年度を同一として、1年以内の期間で事業年度を設定します。1年以内とするのは、会計計算規則で定められているためです。

会社法では、明確な事業年度の指定はありません。しかし、会計計算規則59条2項で定める事業年度の計算期間は、1年以内です。そこで定款には「当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月末日までの年1期とする。」などと明記します。

 

会社形態ごとに異なる定款の書き方・要件

定款は、会社の形態ごとに書き方が変わります。会社の形態は、主に3種類です。

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 一般社団法人

株式会社は、株式を使って資金を集め、集めた資金を元手に事業を運営していく会社です。合同会社は、経営者全員が出資者の会社で、1人から設立できます。一般社団法人は、非営利法人です。一般社団法人のみ「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」を根拠として設立します。

会社の種類ごとに定款に記載する内容が異なるので、設立する法人の種類を確認してから、内容を精査しましょう。

 

株式会社の場合

株式会社とは、株式と引き換えに資金を集め、集めた資金を元手に事業を運営していく会社のことです。株式会社の設立には、2つの方法があります。

  • 発起人が設立時発行株式のすべてを引き受ける「発起設立」
  • 発起人が設立時発行株式の一部を引き受け、残りの株式は、ほかから募集する「募集設立」

株式会社は、定款を作成して発起人全員の署名または記名押印が必要です。株式会社の定款には、以下のような事項を記載します。

絶対的記載事項

すべて

会社法27条

  • 事業の目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 資本金の額
  • 発起人の氏名と住所
相対的記載事項
  • 株式の譲渡制限に関する定め(会社法140条5項)
  • 株主総会の招集通知を出す期間の短縮(会社法299条1項)
  • 役員の任期の変更(会社法332条から338条)
  • 株券を発行する定め(会社法214条)
  • 変態設立事項(会社法28条)
  • 設立時取締役及び取締役選任の累積投票廃除(会社法89条、342条)
  • 取締役、会計参与、監査役、執行役及び会計監査人の責任免除(会社法426条)
  • 社外取締役、会計参与、社外監査役及び会計監査人の責任限定契約(会社法427条)
  • 取締役会を設置した会社における中間配当の規定(会社法454条5項)
任意的記載事項
  • 株主総会の開催規定(会社法296条1項、310条、315条)
  • 役員報酬に関する事項(会社法361条1項)
  • 事業年度(会社法296条1項、会社計算規則59条2項)

株式会社の定款は、発起人全員が話し合ったうえで、署名または記名押印をしなければなりません。記載項目も多岐に渡るため、早めに作成しましょう。

 

合同会社の場合

合同会社とは、経営者全員が出資者である会社です。1名が出資すれば設立できます。合同会社の定款は、会社法575条を根拠に作成しなければなりません。記載事項は以下のとおりです。

絶対的記載事項

すべて

会社法576条1項

  • 事業目的
  • 商号
  • 本店所在地
  • 出資者の氏名及び住所
  • 出資者を有限責任社員とする旨
  • 出資者ごとに出資目的・出資形態・出資価額または評価基準額
相対的記載事項
  • 持分の譲渡に関する要件(会社法585条4項)
  • 業務を執行する社員(業務執行社員)の指定(会社法590条1項)
  • 代表社員の選定(会社法599条3項)
  • 存続する期間または解散の事由(会社法641条1号2号)
  • 計算書類の閲覧(会社法618条2項)
任意的記載事項
  • 事業年度(会社計算規則59条2項)
  • 社員総会の開催(会社法590条2項、591条1項)

合同会社は、株式の考え方がなく、定款には、主に社員及び出資金に関する事項を記載します。定款に記載する項目は、会社法577条で、一定の範囲内で自由に定めを記載できる旨が認められています。

 

一般社団法人の場合

一般社団とは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、一般社団・財団法人法)」を根拠に設立される非営利法人のことです。2名以上が集まれば設立できます。一般社団法人の定款は、一般社団・財団法人法10条により作成しなければなりません。

定款に記載する項目は以下のとおりです。

絶対的記載事項

すべて

一般社団・財団法人法11条

  • 事業目的
  • 名称
  • 主たる事務所の所在地
  • 設立時社員の氏名または名称及び住所
  • 社員の資格の得喪に関する規定
  • 公告方法
  • 事業年度
相対的記載事項
  • 設立時の役員等を選任する際の議決権(一般社団・財団法人法15条、17条)
  • 社員の任意退社(一般社団・財団法人法28条)
  • 社員総会の請求(一般社団・財団法人法37条)
  • 社員総会の招集の通知(一般社団・財団法人法39条、47条の4)
  • 議決権の数または割合(一般社団・財団法人法43条、48条)
  • 理事・監事・監査人の任期(一般社団・財団法人法66条、67条、69条)
  • 基金を受けるものの募集等(一般社団・財団法人法131条)
任意的記載事項
  • 社員総会の開催時期(一般社団・財団法人法36条)
  • 社員総会の議長(一般社団・財団法人法36条)
  • 役員・監事の報酬(一般社団・財団法人法89条、105条)
  • 残余財産の帰属(一般社団・財団法人法239条)

なかでも、基金を受けるものの募集等は、定款に定めておかなければ法的効力がありません。基金制度を検討している場合は、定款へ記載しておく必要があります。

 

定款のフォーマットの決め方

定款のフォーマットは、大きく分けて4パターンあります。パターンを分けるための要件は4点です。

  • 公開会社か非公開会社か
  • 取締役の人数
  • 取締役会の設置の有無
  • 監査役の設置の有無

それぞれの要件に応じてフォーマットを決めます。パターンごとの特徴は下記のとおりです。

小規模 中小規模 中規模 大規模
公開・非公開 非公開 非公開 非公開 公開
取締役の人数 1名のみ 1名以上 3名以上 3名以上
取締役会の有無 取締役会設置 取締役会

指名委員会

監査委員会

報酬委員会

会計監査人

監査役の有無 1名以上 3名以上

※委員会設置の場合は、監査役の設置は不可

それぞれの要件とパターンについて詳しく解説します。

 

公開会社か非公開会社か

会社法では、公開会社または非公開会社のいずれかにより、定款のフォーマットが変わります。公開会社とは、株式の譲渡に関する内容を、定款に定めていない会社です。一方、非公開会社とは、株式譲渡の制限を定款に規定している会社を指します。公開会社は、上場している会社という意味ではありません。

公開会社と非公開会社の特徴は以下のとおりです。

公開会社 非公開会社
  • 取締役会の設置が義務
  • 取締役は3名以上
  • 監査役または会計参与の設置義務
  • 取締役の任期2年以内、監査役は4年以内
  • 発行株式数の上限があり、引き上げには株主総会の特別決議で定款を変更
  • 取締役会の設置は不要
  • 取締役は1名以上
  • 親族で経営する企業が多い
  • 役員の任期を最長10年まで延長可能
  • 発行株式数の制限がない
  • 会社の乗っ取りを防げる
  • 計算書類が簡略化できる

株式会社の設立を検討する場合は、公開会社または非公開会社のどちらにするのか検討しましょう。

 

取締役の人数

取締役の人数は、公開会社か非公開会社かによっても変わります。取締役の人数により、使用する定款のフォーマットも変更しなければなりません。公開会社のフォーマットは、大規模向けを、非公開会社の場合は取締役の人数にあわせて決めるとよいでしょう。

3名以下の場合は取締役会の設置をするか否かにより、中小規模と中規模に分かれます。定款へは、取締役の人数を明記するとともに、取締役の任期に関する記載が必要です。取締役の人数は、公開会社の場合、3名以上を設定しなければなりません。一方、非公開会社の場合は、1名から3名の間で人数を決められます。

人数の上限はありません。会社によっては、100名以上取締役を設ける会社もあります。しかし、取締役の人数が多いと、意思決定のスピードが遅くなりかねません。設立したばかりの会社は、1名から3名が適正人数です。

 

取締役会の設置の有無

取締役会とは、3名以上の取締役により構成される、会社の業務に関する意思決定をする機関です。取締役会が設置されているか否かにより、定款のフォーマットを変更します。取締役会を設置する場合は、中規模または大規模向けのフォーマットです。

一方、取締役会を設置しない場合の定款は、小規模または中小規模のフォーマットを使用します。取締役会は、1人の役員に権力が集中しないよう、取締役に一任できない内容の意思決定や、代表取締役の監督と解任などを決議する機関です。

取締役会を設置しない場合は、意思決定する機関が株主総会しかありません。株主総会の開催までに時間がかかるため、物事の意思決定に時間がかかります。取締役会を設置しておけば、意思決定がスピーディーに執り行われる点がメリットです。

 

監査役の設置の有無

監査役とは、取締役が職務を執行する様子を、監査及び監督するための役職です。監査役を設置するか否かにより、定款のフォーマットが変わります。監査役を設置しない場合は、小規模または中小規模のフォーマットです。一方、取締役会を設置する場合は、監査役を設置しなければなりません。

監査役を1名以上設置する場合は中規模を、3名以上設置する場合は大規模のフォーマットを使用します。ただし、大規模な会社で監査等委員会及び指名委員会を設置する場合は、会社法327条4項により、監査役を置いてはいけないので注意が必要です。監査は、業務監査と会計監査が含まれます。

業務監査は、一般的に適法性監査といい、取締役が定款や法令を遵守しているか監査することです。会計監査は、定時株主総会で計算書類が提出される前に監査し、株主総会のときに結果が提供されます。監査役を設置した場合は、定款に監査役を設置する旨と任期を記載しておきましょう。

 

定款の認証について

定款の認証とは、正式な手続きを踏んで定款が作成されたことを、公的機関に証明してもらうための手続きです。定款を作成し、発起人全員の署名または記名押印したら、管轄の公証役場で手続きします。定款認証の手続きをしなければ、定款に法的効力が発生しません。忘れずに行いましょう。

定款の認証手続きは、会社の形態により不要な場合があるので、区別が必要です。そこで、定款の認証手続きが必要な会社形態、手続きに必要な書類と費用について解説していきます。

 

株式会社は定款の認証が必要

定款の認証は、会社の形態ごとに必要か否かが変わります。株式会社は、定款の認証が必要です。そのほか、定款認証の必要可否は、以下になります。

定款認証が必要 定款認証は不要
株式会社

一般社団法人及び一般財団法人

税理士法人

司法書士法人

行政書士法人

土地家屋調査士法人

社会保険労務士法人

弁護士法人

監査法人

特許業務法人

特定目的会社

相互会社

金融商品会員制法人

信用金庫

信用中央金庫及び信用金庫連合会

合名会社

合資会社

合同会社

「合名会社」「合資会社」「合同会社」の3形態は、定款の認証が不要です。

 

定款の認証手続き

定款の認証手続きは、本社の住所地を管轄する公証役場で行います。本社の住所地以外の場所で認証手続きをした定款は、無効となるので注意しましょう。

定款の認証手続きは、以下の流れで行います。

  • 作成した定款を、事前にメールまたはFAXで送付し事前チェックを受ける
  • 対面で正式な定款の認証手続きを受ける

必要な書類は、定款の原本と発起人の本人確認書類です。発起人の本人確認書類は、印鑑登録証明書の原本を指します。もし発起人が法人の場合は、代表者の印鑑登録証明書および会社の登記簿謄本を提出しなければなりません。定款の認証にかかる費用を合計すると、8~10万円です。認証の費用は、資本金の金額で変わります。

 

必要な書類

定款の認証に必要な書類は、以下のとおりです。手続きの際は、必要書類とあわせて、訂正が発生したときに備えて発起人全員の実印及び代理人の実印または認印を持参します。

  • 定款の原本3通
  • 定款に記載された発起人全員分の印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内)
  • (発起人が法人の場合)代表者の印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内)
  • (発起人が法人の場合)会社の登記簿謄本
  • (株式会社・一般社団法人・一般財団法人を設立する場合)実質的支配者となるべき者の申告書
  • (代理人による認証の場合)代理人の身分証明書または印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内)
  • (代理人による認証の場合)委任状

実質的支配者となるべきものとは、会社の経営を実質的に支配が可能となる人をいいます。具体的には、以下の項目に該当する人です。

株式会社
  • 株式の50%を超える株式を保有する個人
  • 25%を超える株式を保有する個人(50%超の保有者がいない場合)
  • 事業活動に支配的な影響力を有する個人(上2つの該当者がいない場合)
  • 代表取締役(上3つの該当者がいない場合)
一般社団法人

一般財団法人

  • 事業活動に支配的な影響力を有する個人
  • 代表理事(上記の個人がいない場合)

委任状の書式は、公証役場により異なるため、管轄の公証役場へお問い合わせください。認証済みの定款のうち1通は、会社が事業を行う限り規定の場所へ保存し、もう1通は公証役場で20年間保存します。最後の1通は、会社設立の登記申請を行うときに提出する定款です。

 

かかる費用

定款の認証にかかる費用は、設立する会社の資本金に応じて変わります。

  • 資本金の額等が100万円未満の場合:3万円
  • 資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合:4万円
  • そのほかの場合:5万円

株式会社の場合における資本金の額等とは、定款に記載した資本金の額です。定款に資本金の額を記載していない場合は、設立に際して出資される財産の価額を資本金の額等として費用を算出します。また、両者の記載がない場合の費用は、5万円です。特定目的会社の場合には、定款に記載された「特定資本金の額」をもって算出します。

会社の設立に必要な費用は、定款認証の費用だけではありません。会社設立までに必要な費用は以下のとおりです。

  • 認証手数料 3~5万円
  • 謄本手数料 1ページ250円×ページ数分
  • 印紙代 4万円(ただし電子定款のときは不要)
  • 設立登記用の登録免許税 15万円または出資額の7/1000のいずれか高い金額
  • (募集設立の場合)払込保管証明書約2万5000円
  • 代表者印の作成費用
  • 印鑑登録証明書代 300円×人数分

費用を安く抑えたいのであれば、電子定款のほうが割安です。しかし、電子定款の変更は、容易にできません。双方のメリットを考えたうえで、申請方法を決めましょう。

定款に関するよくある質問

定款についてのよくある質問に回答しました。
定款に関するよくある質問に回答していきます。定款の作成に関するよくある質問は2つです。

  • 定款とは何ですか?
  • 定款は誰が決めますか?

定款とは、会社を運営するにあたって、基本となる原則を記した書類です。別名”会社の憲法”とも呼ばれます。定款に記載する内容は、会社法で定められています。定められた項目の内容を取り決めるのは、発起人全員です。発起人が話し合い、全員の合意の元に記載していきます。

定款とは何ですか?
定款とは、会社を運営するにあたっての根本原則を記した書類です。会社を設立するときは、作成が義務付けられています。定款に、特定のフォーマットはありません。しかし、記載する内容は、あらかじめ会社法で定められた事項を遵守する必要があります。記載事項は、大きく分けて3種類です。

  • 「絶対的記載事項」は、法で定められた必須記載事項
  • 「相対的記載事項」は、必須でないが、定款に記載すれば法的効力が発生する事項
  • 「任意的記載事項」は、絶対的及び相対的記載事項以外の事項

絶対的記載事項に不備があった場合は、作成した定款は無効となってしまいます。記載の際は、注意が必要です。作成した定款は、紙で製本またはPDF化し、公証役場で定款の認証手続きを受けます。認証が必要な定款を作成して初めて、定款に法的効力が発生します。

定款は誰が決めますか?
定款に記載する項目及び内容は、発起人が全員で話し合いのうえ作成します。作成した定款には、発起人全員の署名または記名捺印が必要です。内容を取り決めるのは発起人ですが、定款作成は依頼もできます。定款を作成する人は、3種類です。

  • 設立時社員の全員で作成する
  • 設立時社員のうち一部のものが、ほかのものに代わり作成する
  • 設立時社員の全員が専門家の代理人に委任して作成させる

定款の作成に1名でも代理を立てる場合は、代理で作成するものにあてた委任状を作成します。加えて、定款の奥書へ代理で作成した旨に、氏名の記載と押印が必要です。会社の設立には、多くの準備をしなければなりません。そこで、定款の内容は発起人が決定し、作成作業は委託するのがおすすめです。

 

定款について迷ったら税理士に相談しよう

定款作成は、記載内容やフォーマットがあり、時間をかければ誰にでもできます。しかし、内容に誤りがあると、定款が無効になりかねません。そこで、定款を作成するときは、税理士への相談がおすすめです。税理士へ相談すれば、以下のようなメリットがあります。

  • 司法書士と連携して定款を作成する支援ができる
  • 会社設立に関する税務関連の書類を作成する支援ができる
  • 社会保険労務士と連携して社会保険関連の書類を作成する支援ができる
  • 蓄積されたノウハウを元に、適切な資金繰りのアドバイスができる

税理士へ相談すれば、会社設立に関するあらゆる書類の作成支援がワンストップで対応できます。設立前から資金繰りの相談ができるので、安定した経営により早く近づけるでしょう。

まとめ

定款について解説してきました。定款は、会社を運営するにあたって、根本原則を記した書類です。定款の内容は、発起人が全員で話し合ったうえで取り決めます。定款に記載する項目は、会社法で定められているので、内容さえ決めておけば、代行への依頼も可能です。

会社の設立は、事業の準備に加え、登記書類の作成や税務関連の書類を提出するため、多くのタスクを抱えがちです。かつ、1つでもミスがあれば、書類が無効となるかもしれません。そこで、正確かつスピーディーに定款を作成したい場合は、サン共同税理士法人までご相談ください。

弊社へご依頼いただければ、定款の作成に加え、税務や社会保険関連の会社設立書類の作成をワンストップでお手伝いできます。現在、初回相談無料を実施中です。ぜひお気軽にご相談ください。

近藤 昴
このコラムを監修した税理士
近藤 昴サン共同税理士法人・横浜オフィス所長
東京地方税理士会 税理士登録:2013年 税理士登録番号:123285
2008年5月よりデロイト トーマツ税理士法人GES部門に勤務し、海外拠点を多く持つ日本・海外企業に対する国際人事異動に関するアドバイザリー業務などに従事。
2011年11月、ビジネスタックスサービス部門に異動し、約9年間勤務。マネジャーとして国内上場企業や外資系企業の税務コンサルティング業務及び税務コンプライアンス業務、税務顧問及び業務効率化提案などを行ってきた。
2020年12月、約12年間マネジャーとして勤務したデロイト トーマツ税理士法人を退職。
2021年1月にサン共同税理士法人に参画し、同月、横浜オフィス所長に就任。
>>プロフィールの詳細はこちら
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