日本政策金融公庫総合研究所が実施したアンケート調査によると「起業に関心がある」と回答した人は全体の16%に及んでいます。[注1]
そのうち半数は実際に起業したいと考えていますが、自己資金の不足や失敗したときのリスクなどの不安要素から、独立開業に踏み切れない人も多いようです。
確かに起業にはリスクも大きいですが、事前の準備をきちんとしておけば、開業時のリスクを軽減できます。
そこで今回は、独立起業を考えている方のために、起業時に準備すべきことや、おすすめの相談相手、起業時に役立つ開業支援制度などの情報をまとめました。
[注1]日本政策金融公庫総合研究所「起業と起業意識に関する調査」https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_190117_1.pdf
※この記事は、弊社のコンテンツガイドラインに基づき作成されています。
目次
事業計画書の作成からセミナー参加まで!起業時に準備すべき5つのこと
事業をうまく軌道に乗せられるかどうかは、起業前の準備にかかっています。
開業後のリスクを軽減し、起業家として成功できるよう、事前の準備は念入りに行いましょう。
ここでは、起業前に準備しておくべき5つのことをご紹介します。
1. 事業計画書の作成
どんな事業をどのように進めていくのか、基盤となる事業計画を立てておかないと、必要な事業資金や人材が見えてきません。
起業後に障害や壁に直面したとき、事業計画書が具体的であればあるほど慌てずに対応しやすくなります。簡単なたたき台の作成から着手してみましょう。
なお、事業計画書は事業資金の融資を受ける際に欠かせないものです。融資や支援を申し込む場合は、第三者にもわかりやすい内容にすることを心がけましょう。
事業計画書に盛り込む主な項目は、以下のようなものがあります。
● 事業の内容、詳細
● 事業の目的
● ターゲット層
● 売上高の目標
● 必要とする人材
● 想定されるリスクと対応策
事業計画書は、知識のない人が一から作ろうとすると時間も手間もかかりますので、信頼できるプロに相談しながら作成するのがおすすめです。
2. 事業資金を貯める
事務所の新設や材料の仕入れ、スタッフの人件費など、起業するにはそれなりの資金が必要です。
起業に必要な資金は事業の内容や規模によって異なりますが、事業が軌道に乗るまでは赤字経営になることを前提とし、創業時点である程度の資金を用意しておくことが大切です。
事業資金は、金融機関からの融資や、開業支援制度などを活用して確保することも可能ですが、自己資金の有無は融資審査の基準にもなりますので、毎月一定額をコツコツと積み立て、十分な事業資金を準備しておきましょう。
3. 競合調査を行う
既存のビジネスに新規参入する場合、ライバル社の情報や経営実態を調べる競合調査は必要不可欠です。
とくに競合他社が多い業界の場合、新参者が成功するには、インパクトのあるオリジナル性や、競合他社に負けない強みを持つ必要があります。
自社のライバルになり得る競合他社をいくつかピックアップし、どんなサービスを行っているのか、どのような点が高く評価されているのか、念入りに下調べを行いましょう。
4. 業界の最新情報をチェックする
創業後、なるべくスムーズに事業を軌道に乗せるには、時代のトレンドや流行を把握しておくことが大切です。
インターネットニュースやSNS、テレビ、雑誌、新聞など、あらゆるメディアを活用し、参入を検討しているビジネス業顔のトレンドと流行を常にチェックする習慣をつけましょう。
すでに流行しているものではなく、最新情報の動向から、今後トレンドになると予測される有益な情報をピックアップすると、既存の競合他社と互角に渡り合うための有用な材料となります。
5. セミナーを受講する
マーケティングや営業のプロの話を聞けるセミナーは、起業家にとって知識と情報の宝庫です。
セミナーの種類やテーマはさまざまで、営業のノウハウやマーケティングの基礎、起業家の体験談など、ためになる知識を多く入手できます。
独立起業後は何かと忙しく、時間に余裕がなくなってしまいますので、準備期間中になるべく多くのセミナーを受講しておくことをおすすめします。
ビジネスプランの立て方や会計の処理方法など、起業時に相談すべき5つのこと
起業するにあたってわからないこと、不安に思うことがあれば、知識・経験豊富なプロに相談するのがおすすめです。
ただ、漠然とした質問だと相手もアドバイスに困ってしまいますので、相談したいポイントをあらかじめまとめておくことをおすめします。
ここでは、起業時するにあたって、とくに相談しておきたいポイントを5つご紹介します。
1. ビジネスプランの立て方
起業するなら、準備段階で事業計画書の作成が必要と説明しましたが、初めての方はどんなことを・どのような基準で決めればよいか、悩んでしまうところです。
事業計画には自分の夢や希望、目標なども盛り込まれますので、第三者にすべて丸投げするわけにはいきませんが、基本的なビジネスプランの立て方やポイントについてアドバイスを仰げば、内容の濃い事業計画書を作成できます。
また、窮地に陥ったときはどんな対策を練ればよいのか、経験者や専門家にしかわからないことを尋ねておくと、いざというときに役立ちます。
2. 起業の方法とそれぞれの特徴
起業の方法には、個人事業主として開業する方法と、法人を設立する方法の2パターンあります。
個人事業主の場合
少ないコストで起業・経営することが可能ですが、融資を受ける際の信頼や、節税効果が低いところが難点です。
法人設立
社会的な信頼や高い節税効果を得られるところが魅力ですが、起業や経営により多くのコストがかかります。
どちらを選べばよいかは、事業の規模や重視する点などによって異なりますので、的確な判断を下せるよう、経験者や専門家に相談しておくとよいでしょう。
3. 税務・会計の処理方法
どんなビジネスでも、税務や会計の処理を行う必要があります。
事業規模が小さいうちは、自分で税務・会計処理を行うことも可能ですが、年度末に行う確定申告は手続きや処理が煩雑で、かなりの時間と手間を要します。
正しい知識やスキルがないと、税務・会計処理に時間を取られて業務に支障をきたしてしまうこともありますので、起業する前に税務・会計の処理方法についてアドバイスを仰ぐことをおすすめします。
4. 事業資金の調達方法
事業に必要な資金は、すべて自前で用意するのが理想ですが、多額のお金を準備するのに長い時間をかけていると、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。
自己資金だけでは足りないぶんは、金融機関から融資を受けたり、開業支援制度などを利用したりして確保するのもひとつの方法です。
ただ、融資の条件や融資額は借入先によって異なりますので、どのような方法で資金を調達するのが得策なのか、専門家からの助言を求めましょう。
5. 法律関係の手続き・トラブルの対処法
ビジネスを行っていると、取引先と契約を交わしたり、トラブルに直面したりすることがあります。
こうしたケースには法律も関わりますので、適切な対応を行えるよう、最低限の知識や対処法をプロから伝授してもらうと安心です。
起業関連の相談先は、内容に応じて選ぶのがポイント
独立起業を検討するにあたって疑問や不安が生じたら、そのままにせず、然るべき相手に相談することが大切です。
起業に関する専門家・プロはたくさんいますので、相談内容に合わせて適切な相談先を選びましょう。
ここでは起業に関する4つの相談内容から相談先の選び方をご紹介します。
1. 起業に関する相談は起業家へ
ビジネスプランの立て方や開業に必要な手続き、営業やマーケティングのポイントなど、起業に関する総合的な疑問は、すでに起業した経験者に質問しましょう。
実際に起業した人でなければわからない経験談や体験談は、これから起業する人にとって貴重な情報源です。
2. 起業の手続き・助成金関連の相談は司法書士・社労士へ
会社を立ち上げるために必要な手続きや、助成金の申請書類などについて知りたい場合は、司法書士や社労士に相談しましょう。
開業手続きや助成金の申請にはかなりの時間と手間がかかりますので、やり方を教わるだけでなく、一連の手続きをプロにお任せするのもおすすめです。
3. 税務・会計関連の相談は税理士へ
税務や会計関連の相談は、専門家である税理士に相談しましょう。
月々の会計処理の仕方をはじめ、確定申告や節税などについても有益なアドバイスをもらえます。
税務・会計関連の処理や手続きは複雑なので、事業に専念したいのなら、会計処理や申告手続きを税理士に依頼することも検討しましょう。
4. 法律関係の相談は弁護士へ
法律が関わる手続きやトラブル対策は、こじれると大きな問題に発展するおそれがあります。
いざというときの対処法や契約書作成のポイントなどを相談するなら、法律の専門家である弁護士が適任です。
起業時の負担を軽減する開業支援制度について解説
起業に興味・関心はあるものの「自己資金が不足している」ことを理由に起業していない人は、全体の半数以上にも上っています。[注1]
そこで国や自治体では、起業を志す人を後押しするために、複数の開業支援制度を設けています。
融資金や適用条件は制度によって異なりますが、ここでは主な開業支援制度を3つご紹介します。
1. 地域創造的起業補助金
新しい雇用や需要を生み出し、地域経済を活性化させることを目的に設立された補助金制度です。
制度が適用されれば、補助対象として認められている経費の1/2を上限とし、最大200万円の補助金を受け取れます。
2. 小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の事業経営を後押しするために設立された補助金制度です。
商工会や商工会議所の支援を受けて作成した事業計画をもとに販路開拓等を行った場合、その経費の一部を補助してもらえます。
3. 地方再生中小企業創業助成金
地域の活性化および雇用の輩出を目的に設立された助成金制度です。
指定の地域で起業することを条件に、開業後6ヵ月以内に支払った経費の1/3までを、300~500万円を上限に補助してもらえます。
このほかにも、国や自治体、民間企業等によって設立されている開業支援制度が多数存在します。
いずれもご自分で申請しないと補助の対象にはなりませんので、補助金や助成金に強いプロに相談しながら、ご自分に合った制度を上手に活用しましょう。
起業を検討する際は、プロに相談しながら念入りに準備を進めましょう
独立起業を成功させるためには、プロや専門家のアドバイスをもらいつつ、適切かつ入念な準備を行う必要があります。
起業家の悩みの種である事業資金についても、国や自治体の開業支援制度を利用すれば起業コストの節約につながりますので、専門家の意見を聞きながら上手に活用されることをおすすめします。
起業相談に関するよくある質問
誰に起業の相談をすれば良いですか?
起業相談の内容によります。起業に関することであれば、起業家。起業する際の手続きや法律に関することであれば、税理士や司法書士などの専門家に相談しましょう。
まずは何を準備すべきですか?
事業計画書を作成しましょう。どんな事業をどのように進めていくのか、基盤となる事業計画を立てておかないと、必要な事業資金や人材が見えてきません。
起業後に障害や壁に直面したとき、事業計画書が具体的であればあるほど慌てずに対応しやすくなります。簡単なたたき台の作成から着手してみましょう。
開業支援制度について教えてください
国や自治体では、起業を志す人を後押しするために、複数の開業支援制度を設けています。融資金や適用条件は制度によって異なりますが、以下では開業支援制度を3つご紹介します。
- 地域創造的起業補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 地方再生中小企業創業助成金
2006年 税理士法人トーマツ(現デロイトトーマツ税理士法人)入社
2016年 サン共同税理士法人に代表社員として参画
今日、経営環境は不断に変化し、それに対応して税制・会計基準も複雑化してきております。そのため、そうした動向を絶えずキャッチアップし続け、お客様に常に最高水準のサービスを提供するスペシャリストであり続けたいと願いそれを実行し続けていることを自負しております。上場企業をはじめとしたクライアント様の要求水準は高くなる一方ですが、圧倒的に信頼されるスペシャリストとして、深い知的研鑽を積み、専門的な実務経験に裏打ちされた顧客本位のサービスをご提供し続けることを信念に、邁進して参りたいと思っております。