5月23日、日本政策金融公庫は、国民生活事業の令和6年度の創業融資実績を公表しました。今回は、公表された創業融資実績とともに、現行の新規開業・スタートアップ支援資金について解説いたします。
令和6年度 創業融資実績
日本政策金融公庫 国民生活事業の令和6年度 創業融資実績(創業前及び創業後1年以内)は、28,032先(前年度106.0%)、1,503億円(前年度比115.5%)と、件数・金額ともに前年度を上回りました。
創業融資を受けた経営者を年代別で見ると、全世代で前年度より件数が増加しております。中でも、30代が最多で9,658件(全体の34.5%)、次に40代が9,221件(32.9%)となっております。また、業種別で見ても、全業種で前年度より件数が増加しております。業種別では、サービス業(理美容業等)が最多で7,917件(28.2%)、飲食店・宿泊業が5,275件(18.8%)、小売業(12.1%)、医療・福祉(11.9%)、建設業(8.1%)と続いております。この背景としては、幅広い層で「創業」を働き方の選択肢の一つとする動きが活発化してきていることが考えられます。
新規開業・スタートアップ支援資金
日本政策金融公庫 国民生活事業では、幅広い方の創業を「新規開業・スタートアップ支援資金」にて支援しております。
【新規開業・スタートアップ支援資金の概要】
対象者 | 対象者新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7 年以内の方(※) |
資金使途 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
金利 | 基準金利(詳細はこちら) |
返済期間 | 設備資金20年以内(うち据置期間5年以内) 運転資金10年以内(うち据置期間5年以内) |
※「新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方」に限定されます。創業計画書等を提出のうえ、事業計画の内容が確認されます。
また、以下の3つのいずれかに該当する方は、新規開業・スタートアップ支援資金を特別利率にてご利用いただけます。
項目 | 利用できる融資制度 |
① 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、女性の方、35歳未満または55歳以上の方 | 新規開業・スタートアップ支援資金 (女性、若者/シニア起業家支援関連) ・女性の場合は年齢制限がございませんが、若者起業家は35歳未満、シニア起業家は55歳以上が対象となります。 ・条件を満たす場合、特別利率Aが適用となり、利息負担を軽減することができます。 ・担保や保証人については相談が可能です。 |
② 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、次のすべてに該当する方 ③新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用しているまたは適用する予定の方であって、自ら事業計画書の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている方 (1) 廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること (2) 廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること (3) 廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること | 新規開業・スタートアップ支援資金 (再挑戦支援関連) ・廃業歴があり再チャレンジしたい方を対象となります。 また、廃業時の負債は新規事業に影響しない程度に整理される見込等であること、やむを得ない理由による廃業であることが条件となります。 ・資金の使い道には、事業開始前後に必要とする設備資金や運転資金の他に、前事業の債務を返済するための資金も含まれます。 ・設備資金は20年以内(うち措置期間5年以内)、運転資金は他の制度よりも5年長く、15年以内(うち措置期間5年以内)に返済する必要があります。 ・利率は基準利率ですが、条件を満たす場合は特別利率になります。 ・担保や保証人については相談が可能です。 |
③新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用しているまたは適用する予定の方であって、自ら事業計画書の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている方 | 新規開業・スタートアップ支援資金 (中小企業経営力強化関連) ・中小会計を適用する方の創業を支援する融資制度です。 ・特別利率Aが適用となり、利息負担を軽減することができます。 ・担保や保証人については相談が可能です。 |