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介護事業にかかる法人税について
介護サービスにかかる法人税は、基本的には、収益事業としてその収益に対して課税されます。
収益事業とは、法人税法に定められた34種類の事業の中で、事業場を設けて継続的に営まれるものをいいます。
①居宅サービス事業 (②を除く)、居宅介護支援事業、施設サービス事業 :医療保健業
②福祉用具貸与事業:物品貸付業
③特定福祉用具販売事業:物品販売業
④住宅改修事業:請負業
ただし、①の「医療保健業」は法人の種類によっては優遇されます。例えば、学校法人や社会福祉法人及び社会医療法人が行う「医療保健業」は収益事業から除かれるため、課税されません。
税制的に優遇される、社会的にイメージが良いなどのメリットもありますが、設立基準や規制面など法定要件はそれだけ厳しいものになります。
※この記事は、弊社のコンテンツガイドラインに基づき作成されています。
介護事業にかかる消費税の詳細
介護保険法に基づく保険給付の対象となるサービスは消費税は非課税です。
(サービス利用者の選択による特別な居室の提供や送迎などの対価は課税されます)
原則的に消費税は非課税となりますが、下記のようなものは消費税が課されます。
消費税の課税取引となるもの
①特定施設における食事提供
入所施設(介護老人福祉施設等)においては、食事の提供やおむつ代など日常生活にかかる費用に関しては、自己の選定に基づく特別なものを除き非課税です。
一方、特定施設(有料老人ホームなど)の場合、入居者が施設内で自分で食事を作る分には関係ありませんが、施設側が食事を提供している場合は消費税の課税取引となります。
入所施設と特定施設によって消費税の課税取引になるかどうか変わってくるので、知っておく必要があります。
② 福祉用具貸与・特定福祉用具販売
厚生労働大臣が指定している「身体障害者用物品」であれば、その譲渡等は消費税非課税取引となりますが、そうでない場合は原則消費税の課税取引となります。
③ 住宅改修
手すりやスロープなどのバリアフリー工事は消費税課税取引になります。
④ 受託報酬
居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、要介護者のケアプランを作成しますが、この場合の消費税は非課税になります。ただし、地域包括センターから介護予防のケアプラン作成を受託した場合や、市区町村から認定調査を受託した場合の報酬は消費税の課税取引となります。なぜ、課税取引になるかと言うと、居宅介護支援事業所の本来業務(介護保険法に規定されているサービス)ではないからです。
⑤ その他
上記で紹介した物以外にも、以下のようなものなどには、消費税は課税されます。
- 利用者自身が選択した特別室や特別食にかかる費用
- 訪問介護で、訪問にかかる交通費を徴収する場合の費用
- 訪問入浴介護で、自宅の水道水以外の特別な浴槽水の用意にかかる費用
- 定められているサービス提供区域外の利用者を送迎した場合の費用
- 介護保険の対象とならないサービス
◇保険対象かどうかで消費税の取り扱いが変わるのならば医療保険と同じと思われるところですが、介護保険の取り扱いは若干異なります。
医療保険の場合、先進医療にかかる費用や差額ベッド代等一部を除き、保険診療と保険外診療の併用は原則として禁止されています。保険外のものは自費診療として課税収入となります。
一方で、介護保険は保険外サービスとの併用が認められており、併用される自費部分含めサービス全体で非課税となります。
6-7-2 法別表第一第7号イ《非課税となる介護保険に係る資産の譲渡等》に規定する「居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス」及び「施設介護サービス費の支給に係る施設サービス」には、介護保険法の規定により要介護被保険者に対して支給されるこれらの介護サービス費に対応する部分の居宅サービス及び施設サービスのみが該当するのではなく、同法に規定する居宅サービス及び施設サービスとして提供されるサービスの全部が該当するのであるから留意する。
したがって、例えば、次のサービスも非課税となる。(平12課消2-10により追加、平12官総8-3により改正)(1) 介護保険法第43条《居宅介護サービス費等に係る支給限度額》に規定する居宅介護サービス費等に係る支給限度額を超えて同法第41条《居宅介護サービス費の支給》に規定する指定居宅サービス事業者が提供する指定居宅サービス※(2) 介護保険法第41条第1項《居宅介護サービス費の支給》又は同法第48条第1項《施設介護サービス費の支給》の規定において介護保険給付の対象から除かれる日常生活に要する費用として、介護保険法施行規則第61条《日常生活に要する費用》又は同規則第79条《日常生活に要する費用》に定める費用に係る資産の譲渡等
(1)の「居宅介護サービス」で支給限度額超のパターン
介護保険は利用者の介護度によって月の支給限度額が定められており、介護度が高くなるほど限度額は上がります。介護度が低ければ使えるサービスは限られるので限度額を超えてでもサービスを利用するケースはあります。
たとえば一人暮らしの要介護者が転んで怪我をしてしまい、いつも自分でできていることができなくなった場合、一時的にでもサービスを増やさなければいけません。なぜなら、一時的でない場合は、認定区分を変更し限度額を上げる必要があるからです。
医療の場合、限度額はありませんから、混合禁止にできるともいえます。
ちなみに(2)で言っているのは食事代やおむつ代などの話です。
通常はほとんどの収入が非課税となるため、中小事業者はほぼ免税事業者と考えていいと思います。
介護事業にかかる印紙税は非課税になる
介護保険制度の下で作成する契約書は非課税です。
※領収書に関しては、公益法人等が発行するものは非課税ですが、株式会社などが発行する場合は課税です。
社会福祉法人の場合は固定資産税が非課税になる
地方税法348条に非課税の規定があります。
社会福祉法人その他政令で定めるものが
- 社会福祉法第2条第1項に規定する社会福祉事業の用に供する固定資産で政令で定めるもの
- 老人福祉法第5条の3に規定する老人福祉施設の用に供する固定資産で政令で定めるもの
社会福祉法人以外では確認が必要です。
福祉車両における自動車取得税、自動車税、軽自動車税は減免される
第1種又は第2種社会福祉事業に該当する場合
自治体によって取り扱いが異なることがありますので、免除の対象となるかは事前に確認が必要です。
なお、福祉車両の消費税の取り扱いに関しては、要件を満たす事ができていれば、購入や修理代、リース代の全てが非課税になります。
介護事業の税金に関するよくある質問
介護事業の法人税について教えてください
介護サービスにかかる法人税は、基本的には、収益事業としてその収益に対して課税されます。
収益事業とは、法人税法に定められた34種類の事業の中で、事業場を設けて継続的に営まれるものをいいます。
- 居宅サービス事業 (②を除く)、居宅介護支援事業、施設サービス事業 :医療保健業
- 福祉用具貸与事業:物品貸付業
- 特定福祉用具販売事業:物品販売業
- 住宅改修事業:請負業
消費税の課税取引となるものを教えてください
消費税の課税取引となるものは以下です。
- 特定施設における食事提供
- 福祉用具貸与・特定福祉用具販売
- 住宅改修
- 受託報酬
- その他
印紙税は非課税になりますか?
介護保険制度の下で作成する契約書は非課税です。
※領収書に関しては、公益法人等が発行するものは非課税ですが、株式会社などが発行する場合は課税です。