この記事では会社を設立する時にかかる費用について株式会社と合同会社を比較し解説します。
※この記事は、弊社のコンテンツガイドラインに基づき作成されています。
目次
会社設立の費用とは
会社設立する時の費用は、株式会社で設立するか、合同会社で設立するかでも変わりますが、税理士や司法書士などの専門家に頼むかによっても変わってきます。
会社設立の場合はその後の税理士の顧問契約も依頼する場合だと割引となるケースもございます。
上記のように設立する方法によっても、大きく金額が変わってくるのでこの記事で詳しく解説しています。
※当社手数料0円の適用には条件があります。詳細についてはお問い合せください。
会社設立の2つの方法
会社設立するにはまず、株式会社にするか、合同会社にするかを選ばなければいけません。それぞれに特徴とメリットがあるので以下で説明していきます。会社設立に際して、どちらにするか悩んでいる方は選ぶ際の参考にしてください。
株式会社とは
株式会社とは、資金を集めるために株式を発行して設立される会社です。株式会社の大きな特徴は、株主と経営者が違うという点です。株式会社は「資本」の所有者と会社経営を行う人が分かれており、資本金の提供者が「株主」となり、経営者は「株主総会」で選ばれます。
株式会社にはいくつかのメリットがあるので以下で説明していきます。
・信用が生まれやすい
会社と聞いて、最初に思い浮かぶのが「株式会社」であるように世間一般でも認知度が高いのが株式会社です。また、守らなくてはいけない法律も多いので、信用を持たれるメリットがあります。
・資金調達を行いやすい
株式会社は株式を発行する事で、資金調達ができます。投資する側も「間接有限責任」というものが適用され、出資額以上の損失が出る事はありません。これによって、投資のしやすさがあるというのも大きな特徴です。
・株主には間接有限責任
株式会社の株主には、債権者に直接責任が発生するのではなく、出資した額だけの責任を負う必要があります。これを「間接責任」と言います。また、「有限責任」というのもあり、会社が潰れてしまった時などに、会社の債権者に対して出資額を限度に責任が発生するという事があります。株式会社の株主にはこの2つを合わせた「間接有限責任」があります。
合同会社とは
合同会社とは株式会社と違い、経営者と出資者が同じで、出資者の全てが有限責任社員になります。
合同会社にもメリットがあるので、以下で説明していきます。
・設立費用を抑えられる
株式会社を設立する時の費用に比べれば、合同会社の設立費用は半分以下の約10万円から設立する事ができます。株式会社と合同会社の設立費用に関しては、後述しておきますので参考にしてください。
・経営を比較的自由に行える
合同会社は、出資比率に関係なく利益配分が可能になっており、経営を比較的自由に行えるのがメリットとして挙げられます。これによって、優秀な社員の利益配分比率を高くするという事も可能になっています。また、役員の任期、決算公告の義務もないので、株式会社よりも自由な経営が可能になっていると言えます。
・年間でかかるコストを抑えられる
先程説明したように、合同会社には決算公告の義務がないので、株式会社だったら毎年かかってくる官報掲載費の約75,000円を払う必要がなくなります。
上記のメリットに対して、世間一般では認知度が低い事であったり、上場できないといったデメリットもあるので、自分の事業形態や将来の事も考えて選びましょう。
会社設立にかかる3つの費用
会社を設立する時には大きく3つの費用が必ずかかってきます。ここではその3つの費用について解説していきます。
法定費用
法定費用には、定款にかかる費用と登記をする際にかかる費用の2つがあります。
・定款費用
定款には紙で作る場合と、電子定款といってPDFなどで制作する2通りあります。大体が50,000円~100,000円程度になると考えておいて良いでしょう。
・登記をするのにかかる費用
会社設立時には登記が必要になるのですが、その時にかかるのが登録免許税と呼ばれる費用です。登録免許税は、株式会社と合同会社でも違いがありますが、最低でも60,000円~150,000円はかかります。詳しい費用の内訳や株式会社と合同会社での費用の違いについては後述しておきますので、ぜひ参考にしてみてください。
印鑑や印鑑証明などの費用
会社を設立すると印鑑と印鑑証明も必要になります。印鑑は設立に実印が必ず必要になるほか、銀行の手続きで使う銀行印、源泉徴収票などで使う角印の3つが必要になります。3本セットで売られている事も多く、インターネットで購入すれば10,000円以内で購入する事もできます。
印鑑証明は基本的に株式会社のみで必要になりますが、設立の時に発起人、役員全員の個人の印鑑証明が必要です。1通300円程度であまり高くありませんが、役場などで印鑑登録をする手間がかかります。合同会社でも、実印を作る時には代表社員の印鑑証明書が必要になります。
資本金
株式会社でも合同会社でも、資本金は1円以上であれば会社を設立する事ができます。しかし、設立時の資本金の額によっては消費税面において損があったり、銀行口座を作る事にも会社の資本金は重要になるので、自分の事業内容などに合わせて決める必要があります。資本金の詳しい内容については後述しておきますので、参考にしてください。
株式会社と合同会社の費用の違い
会社を作る時の費用を安く抑えたければ、合同会社での設立をおすすめします。しかし、上場を目指す場合は必ず株式会社にする必要があります。ここでは、株式会社と合同会社の費用の違いを詳しく解説していきます。
株式会社を設立する時の法定費用
株式会社を設立する時の法定費用は、定款の費用と登記にかかる費用の2つです。この費用の内訳や詳細は以下で詳しく紹介します。
定款の費用
まず、定款には「紙の定款」「電子定款」の2つがあります。紙の定款には「印紙代」が40,000円かかります。電子定款の場合は、この印紙代がかかりません。また、株式会社の場合は制作した定款を公証人役場で承認してもらう必要があるので、必ず「認証手数料」の30,000円がかかります。※定款の認証手数料は資本金額によって変動します。
また、登記時に必要な定款の謄本を作成するため、その費用もかかります。謄本手数料は平均2,000円程度になります。
登記にかかる費用
会社を設立する時には、登記をする必要があります。この登記には登録免許税という費用がかかりますが、株式会社の場合は「資本金の額×0.7%」がかかります。この費用が150,000円に満たない時は150,000円かかるので、最低でも150,000円必要だという事になります。
合同会社を設立する時の法定費用
合同会社を設立する時の法定費用は株式会社と変わらず、定款の費用と登記にかかる費用の2つです。しかし、金額や公証人役場の承認がいらないなどの違いがあるので詳しく解説していきます。
定款の費用
合同会社は定款の公証人役場への承認が必要ないので、「認証手数料」がかかりません。なので、紙で定款を作る場合の40,000円のみになります。電子定款で作る場合はほとんど定款の費用がかからないのが、合同会社の特徴です。
登記にかかる費用
登記にかかる登録免許税の割合も「資本金の額×0.7%」と株式会社の場合と変わりませんが最低額が150,000円でなく、60,000円に満たない時は最低で60,000円の登録免許税がかかります。
登録免許税を半額にする
平成26年に施行された「産業競争力強化法」を適用して市町村の支援を受けて会社を設立すると、登録免許税が半額になります。全ての市町村で適用できるわけではないので、設立予定の会社の所在地になる市町村に確認してください。
「産業競争力強化法」による優遇措置は、以下の通りです。
・登録免許税が50%軽減
会社設立時にかかる登録免許税を50%軽減できます。
・創業関連保証に係る保証限度額の引き上げ
2021年8月2日に産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行によって、
創業等関連保証が廃止され、創業関連保証(改正前保証限度額2,000 万円)に統合されました。
そのため、創業関連保証において、保証限度額は3,500 万円に引き上げられました。
2つの制度が1つになっただけのため、合計の金額は変わっておりません。
会社設立の費用の目安
株式会社で合同会社でも会社設立の費用には、上記の法定費用の他にも印鑑の代金や資本金、専門家に手続きを依頼した時はその代行費用もかかってきます。なので、会社設立にかかる費用の目安を以下で詳しく紹介していきます。
※交通費・通信費は別途料金になります。
株式会社設立の費用の合計の目安
株式会社設立の費用の目安は、紙の定款の時は242,000円程度で、電子定款の時は202,000円程度の設立費用がかかります。ここに、手続きを専門家に依頼する場合は上乗せして依頼料や印鑑の作成料金がかかってくるので、全て合計しても300,000円程度に収まると考えて良いでしょう。
※その他、資本金の金額や現物出資の有無によって金額に変動がある可能性がございますので詳しくはお問合せください。
合同会社設立の費用の合計の目安
合同会社を設立する時の費用の目安は、紙の定款の時は110,000円程度、電子定款の時は70,000円程度の設立費用がかかります。ここに、株式会社と同じように専門家への依頼料や印鑑の代金が上乗せされる事を考慮すると、合計で200,000円程度になると考えられます。
※その他、資本金の金額や現物出資の有無によって金額に変動がある可能性がございますので詳しくはお問合せください。
会社設立時に気になる3つのポイント
会社を設立する時の費用や株式会社と合同会社の違いについて解説してきましたが、実際に設立する時にはいくつかの気になるポイントがあると思いますので、よく出てくる質問の3つを紹介します。
会社印鑑はいくらくらいのものがよい?
会社印鑑の費用は大きさや素材でも変わるので、一概には言えません。しかし、インターネットで買う場合は1本2,000円~30,000円程度となるため実印、銀行印、角印の3本で10,000円ほどでも購入は可能です。
この3本の製作時にはポイントがあって、実印と会社印見分けがつきやすいように、実印を銀行印よりも大きく作るのが一般的です。先程説明したように、会社印鑑は大きさによっても費用が変わるので、1番大きいサイズで作る実印が高くなる事は仕方がありません。
3本の費用の目安としては、20,000~50,000円程度と考えておけばよいでしょう。良い素材を使いたい時や職人の手作りで作ってもらいたい時は1本で100,000円程かかる事もあります。会社の印鑑という事で実印だけは立派なものを選ぶことが多いですが、高くなければいけないという決まりもないので、特にこだわりがなければ、大きさを変える事だけを意識して購入しても良いでしょう。
会社の資本金はいくらが適切?
会社の資本金は銀行で融資を受ける際の信用になるので、少なすぎると受けられない場合もございます。また、人材派遣事業などによっては「会社の資本金を20,000,000円以上」という条件を満たさないとその事業をやってはいけないという許認可制度もあるので、自分の会社の事業内容によっても資本金は変わってきます。
結果、いくらが適切なの?と言われてもその事業や規模感によってもかなり変わってしまいます。しかし、一般的には運転資金の3ヶ月~半年分を資本金として用意する事が多いようです。資本金が10,000,000円以上になると「課税事業者」となり消費税の納付が義務になるので、会社の事業内容と規模によって決めましょう。
資本金は後でも変更はできますので、1円や100円等の金額でも創立直後に銀行の融資等の受ける予定がない場合は大きな問題はないと考えて大丈夫です。
合同会社と株式会社のどちらがよい?
合同会社と株式会社のどちらを選ぶか迷うと思いますが、それぞれの特徴やできない事もあるので、以下で詳しく解説していきます。
株式会社での設立が良い場合
起業前に上場する事を目標としているなど、大きな規模感で会社を動かしていきたいと考えている場合は、株式会社を選ぶ事がおすすめです。合同会社の場合は上場できないため、株式会社への組織変更が必要になり、手続きと費用が無駄にかかってしまいます。
また、株式会社にする事で資金調達を行いやすいメリットもあるため、より大きな規模感で会社を動かしたい場合は株式会社を選びましょう。
合同会社で設立が良い場合
低予算でまずは会社を立ち上げたいという方は合同会社の設立が向いております。
会社を立ち上げたいが十分な資金を用意できていないといった時は株式会社ではなく、合同会社を選んだ方が良いでしょう。
また、1人または少人数での会社経営を考えているのであれば、合同会社の自由度の高い経営などのメリットも最大限活用できます。
会社設立は税理士に依頼したほうがよい?
会社を設立する時には、多くの手続きが発生し、本来の業務に集中できないという方もいます。そのような方は税理士に手続きを依頼したり、会社の設立の代行会社もあるので検討してみても良いでしょう。
税理士によっては、月の顧問料での契約の代わりに会社設立の相談もできたりなどと、さまざまなサービス内容があるので一度、問い合わせてみる事をおすすめします。
まとめ
会社設立の時にかかる費用や株式会社と合同会社のどちらかを選ばなければいけなかったり、さまざまな選択を迫られていると思いますが、自分のやりたい事業や目指す場所を考えれば取るべき選択肢は絞られてくるので、この記事で紹介した選び方などを参考にして、心置きなく仕事を頑張れるようにしましょう。
会社設立に関するよくある質問
株式会社で会社設立するメリットを教えてください
- 信用が生まれやすい
- 資金調達を行いやすい
- 株主には間接有限責任
合同会社で会社設立するメリットを教えてください
- 設立費用を抑えられる
- 経営を比較的自由に行える
- 年間でかかるコストを抑えられる
登録免許税を半額にする方法を教えてください
平成26年に施行された「産業競争力強化法」を適用して市町村の支援を受けて会社を設立すると、登録免許税が半額になります。全ての市町村で適用できるわけではないので、設立予定の会社の所在地になる市町村に確認してください。