少しでもお得になるよう税金を収めたいと考えたことがある方なら、ふるさと納税に一度は興味を持ったことがあるでしょう。さまざまな自治体からもらえる返礼品が豪華であると話題になることも多く、景気のよい話をしばしば耳にします。
しかし一方で、ふるさと納税にはデメリットも多いという話もよく聞きます。またいくつかの面倒なプロセスがあり、自分の手で納税することに関する知識のない人間がへたに手を出さないほうがよい、というアドバイスも少なくありません。
実際のところ、ふるさと納税を利用する価値はあるのでしょうか?
この記事では、ふるさと納税のメリットとデメリット、どのような方が利用するべきか、また利用する際の注意点はどのようなものか、といったことについて解説します。
最後まで読むことで、自分がふるさと納税を利用すべきかが明確に理解できることでしょう。
※この記事は、弊社のコンテンツガイドラインに基づき作成されています。
目次
ふるさと納税って何?
ふるさと納税の根幹を一言でいうなら、「どこの自治体に納税するかを自由に選べること」となります。本来ならば所得税や住民税は現在の居住地に納めるものですが、ふるさと納税を利用すれば、納める先を自由に選択できます。
その上、地方自治体へのふるさと納税の金額に応じた返礼品が送られてきたりします。あくまでも制度の趣旨は、納税先を選べることである点は把握しておきましょう。
したがってお得に利用できるかといった話とは無関係に、「この自治体が好きだからここに納税したい」などの動機もあり得ます。特定の自治体に思い入れがあってふるさと納税をするなら、この記事で解説するようなメリット・デメリットを深く考える必要は特にないでしょう。
しかしふるさと納税を利用する方の多くは、総合的に考えてお得だからという理由で制度を利用しています。その場合には、ふるさと納税の仕組みをしっかりと理解し、今の自分の状況がふるさと納税を利用して得になるものなのか、利用する前に正しく理解することが重要となります。
ふるさと納税のデメリット8つ
ふるさと納税をすでにお得に利用している方からは「ちゃんと利用すれば絶対に得をする」「使わないのはもったいない」といった声が聞かれます。しかしそれはふるさと納税に何のデメリットもないという意味ではありません。以下のような点を事前にきちんと理解しておく必要があります。
- 自己負担2,000円は必ず発生する
- 所得に応じた限度額を超えた分には控除が適用されない
- 寄付した年は先にお金を支払うことになる
- 自分が住む自治体からは返礼品を受け取れない
- 支払うクレジットカードの名義が違うと控除されない
- 手続きに手間がかかる
- 節税や減税になるわけではない
- iDeCoなど他の控除を使っていると限度額が下がる
どの要素も、見逃してしまうと後で想定外のトラブルに見舞われる可能性があります。以下の解説を読んで、しっかりと制度の現状を把握しましょう。
自己負担2,000円は必ず発生する
ふるさと納税と聞くと「寄付によって納める税金が少なくなる制度」だと単純に考える方も少なくありませんが、実際にはもう少し複雑です。具体的なところは後述しますが、まず認識しておくべきなのは、自己負担額の2,000円は必ず発生するということです。
ふるさと納税は、寄付したお金がすべて税金の控除にあてられるわけではなく、2,000円を超えた分が控除の対象になる制度です。たとえばある自治体に5,000円を寄付した場合、控除の対象は3,000円にとどまります。
寄付金の額や返礼品によっては、2,000円の自己負担のため結果的にまったく得をしなかったということもあり得ます。
限度額を超えた分には控除が適用されない
ふるさと納税をする際に寄付金の額を多くするのは個人の自由ですが、結果として損をしてしまう場合もあります。ふるさと納税で控除される税金には限度額が設定されており、それを超えた分はすべて自己負担となってしまうからです。
したがってふるさと納税をお得に利用するうえで重要なのは、限度額を正確に把握することです。しかしこれは一律に説明できるものではありません。どれくらいの金額が控除されるかは、年収や扶養家族の人数、住宅ローンの金額などによって人それぞれまったく変わってくるからです。
限度額を把握する手段については後述します。(「①限度額を把握する」に記載)
寄付した年は先にお金を支払うことになる
ふるさと納税によって寄付したお金は、すぐに手元に戻ってくるわけではありません。そのため、利用した結果として一時的にお金のない状態に陥ってしまう可能性があります。
ふるさと納税では最初にいくつかの自治体に寄付をしますが、控除の対象となるのは「その年の1~12月に寄付をした金額」です。その金額が次の(翌年の)確定申告において所得税や住民税から控除される仕組みです。
たとえば2022年からふるさと納税を利用し始めたとすると、所得税の控除は2023年の3月以降、住民税の控除は同年6月頃となります。恩恵を受けるまでにタイムラグがあり、先払いのかたちになることに注意する必要があります。
自分が住む自治体からは返礼品を受け取れない
ふるさと納税においては、基本的に自分が住んでいる自治体にも寄付ができます(一部自治体を除く)。しかしその場合には、返礼品を受け取れないことはあらかじめ理解しておきましょう。
なぜなら自分が住む自治体の税務署に税金を納めるのは「通常の納税」と同じことであり、自治体からすればわざわざ返礼品を贈るようなことではないからです。
もし自分の住む自治体が用意している返礼品が魅力的だったとしても、それを受け取ることはできないので気をつけましょう。返礼品も計算に入れて「お得だから」とふるさと納税に手を出した場合、予想外の損をしてしまう可能性もあります。
ただしふるさと納税を選ぶことによって、税金の使い道を指定をしたり、控除の対象となったりする点はメリットであるといえるでしょう。
支払うクレジットカードの名義が違うと控除されない
ふるさと納税の納付手段としてクレジットカードもありますが、その際に支払う人の名義とカードの名義が異なると、控除を受けることができません。自分名義のクレジットカードを持っておらず、家族のカードで支払いをするつもりなのであれば、やめておくことをおすすめします。
クレジットカードを持っていないけれども、ポイントをお得に貯められるなどの理由でクレジットカードを使ってふるさと納税をしたいのであれば、自分名義のカードを作ってしまいましょう。
継続した安定的な収入があれば、クレジットカードを作ることはそれほど難しくありません。キャッシュレス時代に対応する意味も含めて、早めに作っておくと生活が便利になります。
手続きに手間がかかる
ふるさと納税を利用するには、確定申告が必要になるケースもあります。これまで会社勤めをしてきた方などは、確定申告と言われても何をしたらいいか分からない場合も多いでしょう。作業を簡単にしてくれるツールなどが出回っているとはいえ、手続きに手間がかかる点は無視できないデメリットといえます。
普段確定申告を必要としないビジネスパーソンなどのために「ワンストップ特例制度」が設けられており、これを利用すれば確定申告を行うよりは簡単に手続きを済ませられますが、それでもまったく手間いらずとはいきません。
ふるさと納税を利用すると決めた時点で、ある程度手間がかかってしまうであろうことを見込んでおくことは重要です。
節税や減税になるわけではない
ふるさと納税についてあまり馴染のないのない方は、ふるさと納税が節税や減税になる制度だと勘違いしがちです。
しかし実際にはふるさと納税をしても、所得税や住民税の額が減るわけではありません。むしろ支払った額のうち2,000円は自己負担となるため、ある程度の手間がかかるうえに通常の納税形式よりも2,000円多く支払うことになります。
ふるさと納税はあくまでも「税金を収める先の自治体を自分で選べる制度」であり、節税や減税のための制度ではありません。お得になるとしても、それはあくまでも結果の話です。この点はしっかり認識しておく必要があります。
iDeCoなど他の控除を使っていると限度額が下がる
ふるさと納税による税金の控除額に上限があることはすでに述べましたが、この額はiDeCoなど他の制度によって控除を得ている場合には下がってしまいます。結果として上限が極めて少額になってしまい、ふるさと納税のメリットをきちんと受けられない可能性も考えられます。
所得控除や税額控除を他のかたちですでに受けているのであれば、ふるさと納税を本当に利用すべきか慎重に検討する必要があるでしょう。
また、その際にふるさと納税と他の優遇制度のどちらを優先するべきかは、人それぞれの状況によって異なってくるため、一概には言い切れません。ご自身の収入や扶養家族の人数などを考慮して、ベストな選択をすることが大切です。
それでも皆がふるさと納税をする理由
前項では、ふるさと納税のデメリットや煩わしい点などを解説しました。しかしご存じの通り、それでもふるさと納税を利用する方は非常に多くいらっしゃいます。その理由はもちろん、ふるさと納税にメリットもしっかりと備わっているからです。
また、総務省が調査した「ふるさと納税の受入額及び受入件数の推移(全国計)」によると、ふるさと納税受入額、ふるさと納税受入件数ともに上昇傾向にあり、利用者が増えてきていることが分かります。
ふるさと納税を利用するメリットとしては、主に以下の5つが挙げられます。
- 返礼品がもらえる
- 返礼品や寄付する自治体を選べる
- 寄付金の使い道がわかる
- ポイントサイトやクレジットカードのポイントが貯まる
上記4つこそが、ふるさと納税を利用する肝ともいえる部分です。以下の解説をしっかり読んで、制度を自分のものとしましょう。
①返礼品がもらえる
ふるさと納税を使って特定の自治体に寄付をすると、自治体から返礼品がもらえます。この返礼品が、ふるさと納税を利用する最大のメリットであるといえるでしょう。
ふるさと納税においては、寄付した総額のうち2,000円が自己負担となります。つまり見返りが何もなければ、通常の形式で納税するよりも2,000円多く支払うことになり、得をしたことになりません。
しかしふるさと納税の返礼品は、ご当地グルメや限定グッズなどさまざまなものが揃っており、大きな見返りとして期待できます。返礼品の内容や量は納税額によって異なりますが、自分でお金を出して買おうと思ったら2,000円をはるかに超えるものが届くことも少なくありません。差額の分だけ得をしたことになります。
ただし現在では、返礼品の還元率は「寄付金額の3割以下」と定められています。たとえば10万円の寄付をしたのであれば、返礼品は最高で3万円相当のものとなります。
②返礼品や寄付する自治体を選べる
ふるさと納税はとても自由度が高く、寄付する自治体を自由に選べます。たとえば以下のような選び方が考えられます。
- 自分の故郷だから選ぶ
- 災害復興を支援するなどの目的で選ぶ
- 個人的に思い入れのある自治体を選ぶ
- 返礼品が自分好みであるから選ぶ
どのような理由で自治体を選んでもまったく問題ありません。実際に多くの方が、さまざまな理由で自治体を選んでいますし、そこには優劣のようなものは一切ありません。
③寄付金の使い道がわかる
自分が寄付したお金がどう使われるかがわかるのも、ふるさと納税を利用するメリットの1つです。公式サイトなどで具体的にお金の用途を公開している自治体もあれば、寄付する時点で複数の使い道のなかから選択できるようにしている自治体もあります。
寄付金の使い道としてよくあるのは、以下のようなものです。
- 自然保護活動
- 震災復興
- 子育て支援施策
- 公共設備の整備
- 高齢者支援や福祉活動
- 観光事業や祭りなどのイベント
ほかにも「起業家を応援する」「動物の殺処分をなくす」などのプロジェクトを進めている自治体もあるので、いろいろな自治体をチェックしてみましょう。
④ポイントサイトやクレジットカードのポイントが貯まる
ふるさと納税をする方法はいくつかありますが、ポイントサイトを経由して納税するとよりお得です。納税額に応じてポイントを貯められるからです。
ふるさと納税に対応した代表的なポイントサイトは、以下の通りです。
- 楽天ふるさと納税
- ふるさとプレミアム
- ふるさとチョイス
- さとふる
- ふるなび
- ANAのふるさと納税
- るるぽ
- au PAY
すでに利用しているポイントサイトがあれば、そこを利用するのがおすすめです。これまでに貯めてきたポイントと合算できるため、ふるさと納税で得たポイントも消費しやすいはずです。
またクレジットカード決済でふるさと納税をすると、クレジットカードのポイントも貯められます。普段からクレジットカードをよく使っている方であれば、このやり方でポイントをまとめてしまうのがよいでしょう。
ただしクレジットカードが自分名義でない場合は、税金の控除を受けられないので注意してください。
それでもふるさと納税をしないほうがいい人は?
ふるさと納税にはいくつものメリットがありますが、状況によってはそのメリットをあまり受けられない場合もあります。代表的なパターンとしては、以下の3つが挙げられます。
- 所得税や住民税を払っていない
- 所得が低い
- ふるさと納税をした年に退職した
1つ1つ見ていきましょう。
①所得税や住民税を払っていない
ふるさと納税とは、特定の自治体に寄付をすることで所得税や住民税の控除を受けられるシステムです。したがってお得に利用しようと思えば、日頃から所得税や住民税を支払っていることが前提となります。
専業主婦や扶養内でのパート勤めの方は税金を払っていないので、寄付した額はほぼすべてが純粋に単なる寄付となってしまいます。この場合、少なくとも「お得であるか」という観点からはおすすめできません。
高額な返礼品をもらえることばかり考えて、税金の控除について計算するのを忘れてしまうと、結果的に損をしてしまう可能性があるので注意しましょう。
②所得が低い
たとえ税金を払っていたとしても、納税額が低い方はふるさと納税のメリットをあまり受けられません。
総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」によれば、給与収入300万円の共働きで、大学生と高校生の子どもがいる世帯では、限度額は7,000円となります。この金額だと返礼品は2,100円以下とあり、自己負担額の2,000円より100円多いだけです。その100円のためにふるさと納税の手間をかけるのがお得かどうかは微妙なところでしょう。
このように所得が低いと、ふるさと納税をしても手間の分だけ損してしまうことになりかねません。
③ふるさと納税をした年に退職した
ふるさと納税をする年に退職する場合も、あまりメリットを受けられません。退職所得からふるさと納税による住民税の控除はできないからです。控除するべきものがないのでは、ふるさと納税は単なる寄付になってしまいます。
また納税の時期に関しても問題があります。住民税は前年の所得額によって決まるものであるため、たとえば2022年の途中に退職をすると、2023年の住民税は低くなり、ふるさと納税のメリットが下がってしまいます。
退職をした方、あるいはこれから退職の予定がある方がふるさと納税を利用したい場合には、上記の仕組みに注意しましょう。
ふるさと納税をしたほうがいい人
前項とは反対に、ふるさと納税を積極的に行ったほうがよい方の条件としては、以下の3つが挙げられます。
- 所得税や住民税を払っている
- 所得が高い
- iDeCoなどの控除を使っていない
順番にみていきましょう。
①所得税や住民税を払っている
所得税や住民税を払っている方は、ぜひふるさと納税の利用をおすすめします。基本的に環境は問題としません。家庭を持っている方でも独身の方でも、あるいは専業主婦などであっても、所得税や住民税を払っていれば誰でもふるさと納税の恩恵を受けられる可能性があります。
ふるさと納税の自己負担額は2,000円で、それ以上支払った額は、決められた限度額の範囲内で所得税および住民税の控除にまわされます。納める税額が減るわけではありませんが、返礼品とあわせて考えることでお得になるケースが多々あります。
納税者であれば、一度はふるさと納税の利用を考えてみて損はありません。
②所得が高い
納税者の中でもとくに所得の高い方は、ふるさと納税を使うメリットが大きいといえます。納税額が高いほど控除の限度額も高く、それにつれて返礼品の金額も上がるので、所得によっては使い切れないほど多くの返礼品をもらえることもあるからです。
一定以上の収入を得ている方であれば、ふるさと納税のメリットは、必要な手続きにかかる手間をはるかに超えるはずです。もし「具体的なメリットがよくわからないから」「面倒くさそうだから」といった理由でふるさと納税を利用してこなかったのであれば、この記事にたどり着いたことは幸運であったといえるでしょう。
③iDeCoなどの控除を使っていない
ふるさと納税以外の控除を受けていない方ほど、ふるさと納税を使うメリットは大きくなります。なぜなら、ほかの控除を受けていると、ふるさと納税による控除の限度額がそのぶんだけ下がってしまうからです。
たとえばiDeCoなどを利用している場合、すでにそちらから税金の控除を受けているので、収入の割に控除の限度額はそれほどでもないことになります。住宅ローン控除でも同じことがいえます。
そういった控除をまったく利用していない方であれば、ふるさと納税の控除額はマックスに設定されるので、大きな恩恵を受けられるでしょう。
失敗を防ぐ!ふるさと納税の注意点!
ふるさと納税はきちんと利用すれば大きな恩恵を受けられる制度ですが、いくつか注意すべき点があります。たとえば以下のようなものです。
- 限度額を把握する
- 寄附金受領証明書を保管する
- 控除のための申告手続きをする
決して難しい内容ではありませんが、うっかり失念してしまうと、せっかくふるさと納税を使ったのに逆に損をしてしまう結果になりかねません。以下の解説を読んで、きちんと理解しておきましょう。
①限度額を把握する
ふるさと納税によって控除される税金の限度額については、必ず把握しておくようにしましょう。限度額を超えてふるさと納税をしてしまうと、せっかくのメリットがほとんど失われてしまいます。超過したぶんはすべて純粋な寄付として扱われ、税額の控除や返礼品の金額には反映されないからです。
たとえば、ふるさと納税によって控除される税金の限度額が10万円の方が、それより多い20万円のふるさと納税をおこなったとしましょう。この場合、返礼品としてもらえるものの金額は10万円の3割である3万円です。一方で自己負担額は10万2,000円にもなってしまいます。これではまったくの赤字で、少なくとも金銭的なメリットはまったくありません。
このように、ふるさと納税を利用する際には限度額をきちんと把握しておくことが非常に重要になります。
限度額を把握する方法としては、「控除限度額シミュレーション」などの利用をおすすめします。
②寄附金受領証明書を保管する
ふるさと納税は、単に寄付をして返礼品をもらえば、あとのことをすべて自治体がやってくれるわけではありません。自分で確定申告などをしなければ、寄付した分の税金が控除されないので、恩恵を受けることはできなくなります。
確定申告などを行う際には、ふるさと納税を行った自治体から送付される「寄附金受領証明書」を添付する必要があります。この証明書がなければ、確定申告の申請先であるお住まいの自治体の税務署は、あなたがふるさと納税を使った事実を把握できないからです。
自治体から送られてきた寄附金受領証明書は、絶対になくさないよう大切に保管しておいてください。
③控除のための申告手続きをする
ふるさと納税を通して寄付したぶんの所得税・住民税を控除してもらうためには、確定申告をするか、あるいはワンストップ特例と呼ばれる制度を使用するか、どちらかをおこなう必要があります。
これらをおこなわない限り、ふるさと納税をした意味はないとさえ言えるので、最後までしっかりと気を抜かず手続きを全うしましょう。
ワンストップ特例とは?
ワンストップ特例とは、ふるさと納税した金額を確定申告なしで住民税から控除できるようにする制度です。確定申告を必要としないことがメリットなので、もともと確定申告をしない会社勤めのビジネスパーソンなどにおすすめの制度となっています。
ワンストップ特例のやり方は、確定申告と比べればかなり簡易的です。寄付を受け付けた自治体から送られてきた申請書を、本人確認書類とともに「納税した自治体」に送付するだけで完了します。
ただし寄付をした自治体の数だけ同じことをしなければいけない点には注意が必要です。またワンストップ特例を利用できるのは5自治体までで、6つを越える自治体に対して寄付をおこなった場合には6自治体目について確定申告が必要となります。確定申告をするとワンストップ特例の効能は消滅するので、寄付による税額控除はなくなってしまいます。
ワンストップ特例が利用できる条件は、以下の2つに該当することです。
- 確定申告をおこなう必要のない給与所得者等であること
- 年間に寄付した自治体の数が5団体以下であること
代表的なのが会社勤めのビジネスパーソンですが、上記の条件に当てはまっていてもワンストップ特例を使えないことはあり得ます。たとえば年収が2,000万円以上の場合、もともと年末調整ができず確定申告をおこなう必要があるため、ワンストップ特例は利用できないことになります。
個人事業主はワンストップ特例ができない?
結論からいうと、個人事業主はワンストップ特例を利用できません。なぜならワンストップ特例が利用できる条件の1つとして「確定申告をおこなう必要がない」ことが挙げられているからです。
個人事業主は必ず確定申告をしなければならないので、ワンストップ特例の対象にはそもそも含まれていません。個人事業主でふるさと納税をする場合には、確定申告の際に一緒に申請することになります。
しかし個人事業主はもともと確定申告をしなければならない立場なので、ふるさと納税を行うことで特段に作業量が増えることはないでしょう。
ふるさと納税に関するよくある質問
ふるさと納税についてのよくある質問に回答しました。
- ふるさと納税をしない方がいい人は?
- 所得税や住民税を払っていない人はふるさと納税をしない方が良いです。
また、所得があっても年収の低い人はふるさと納税をしてもメリットがないこともあります。
- ふるさと納税をすると住民税はどのくらい減りますか?
- ふるさと納税額から2,000円の自己負担額を除いた分の10%が基本の控除額となります。
また、控除対象となる寄附額は、総所得金額の30%が上限となっています。
サン共同グループが個人事業主の皆様にお手伝いできること
サン共同グループでは、個人事業主の皆様が安心してご自身のビジネスに専念できるよう、多方面からサポートできる体制を整えています。
確定申告のお手伝いはもとより、節税のためのアドバイス、そしてふるさと納税を利用する場合においても、税金控除の限度額の確認や寄附金受領証明書の保管など、皆様が安心して制度をフル活用できるよう尽力させていただきます。
ふるさと納税をはじめとして、煩雑な作業に精神的・時間的負担を奪われたくないとお考えの個人事業主の皆様は、ぜひサン共同グループへのご相談をご検討ください。
2008年5月よりデロイト トーマツ税理士法人GES部門に勤務し、海外拠点を多く持つ日本・海外企業に対する国際人事異動に関するアドバイザリー業務などに従事。
2011年11月、ビジネスタックスサービス部門に異動し、約9年間勤務。マネジャーとして国内上場企業や外資系企業の税務コンサルティング業務及び税務コンプライアンス業務、税務顧問及び業務効率化提案などを行ってきた。
2020年12月、約12年間マネジャーとして勤務したデロイト トーマツ税理士法人を退職。
2021年1月にサン共同税理士法人に参画し、同月、横浜オフィス所長に就任。